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税制メールマガジン 第36号

2007年02月06日 | 税制メルマガ
税制メールマガジン 第36号             2007/02/06 

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◆ 目次

1 巻頭言 
2 税制をめぐる最近の動き
3 諸外国における税制の動き ~ドーナツ・クラブ?~ 
4 お知らせ 平成19年から所得税が変わります(税源移譲の実施、定率
 減税の廃止)
5 編集後記

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1 巻頭言 

 今年は暖冬といわれている中、あっという間に一月経ってしまいました。
この間、税制関係では19日に平成19年度税制改正要綱が閣議決定され、ま
た、22日に政府税制調査会総会において香西泰会長が選任されるなどの動
きがありました。さらに最近各種メディアで、地方分権を推進するための
所得税(国税)と住民税(地方税)の間の移し変え(税源移譲)によって、
給与所得者の多くの方が1月から所得税が減り、6月から住民税が上がると
いうことが報道されています。今回はこの点について若干説明させていた
だきたいと思います。

 18年度までの住民税は、所得金額に応じて5%、10%、13%の累進
税率が適用されてきましたが、19年度から一律10%に変更になります。
これに併せ、所得税と住民税の合計の税率ができる限り変わらないように
所得税の税率が変更されることになります。これによって、制度改正前後
で、年間を通じた両者の合計が基本的に変わらないように制度設計されて
いるのですが、所得税の年度区分が1月から12月、住民税の年度区分が6月
から翌年5月という違いがあり、給与所得者については、平成19年1月から
の所得税の源泉徴収から変更後の税率が適用となることから、所得税の変
更の効果が先に現れることとなります。また、給与所得者のうちの多くの
方は、所得税の税率が10%から5%に引き下げられ、住民税が5%から10%
に引き上げられる方ですので、これらの方は、1月の所得税の源泉徴収分
から所得税が下がり(住民税額はそのまま)、6月から住民税が上がる(所
得税は下がってそのまま)ということになるわけです。また、この制度改
正と同時に、19年からは、所得税・住民税にこれまで適用されてきた定率
減税が廃止されるため、先に述べた税源移譲の効果とは別に、所得税・住
民税がそれぞれ引き上げられることになります。
 
 このような改正については、とりわけ給料から「天引き」されていると
あまり意識されることなく過ぎ去ってしまいがちですし、また、意識した
としてもその変動要因が何なのかまでは、なかなか関心をもっていただけ
ないのが実態ではないかと思います。今年も様々な機会や手段を通じてで
きるだけわかりやすい情報発信に努めてまいりますのでよろしくお願い申
し上げます。

        主税企画官 鑓水 洋

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2 税制をめぐる最近の動き

(1)「平成19年度税制改正の要綱」が1月19日に閣議決定されました。
     
 ・内容は、下記URLにてご覧いただけます。
  http://www.mof.go.jp/seifuan19/zei001_a1.htm

(2)下記のとおり、税制調査会が開催されました。

 【1月22日(月)】
  第4回総会
  ・会長互選、平成19年度税制改正案の概要等、自由討議
   
 ・税制調査会の資料等は、下記URLにてご覧いただけます。
  http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

(3)「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
  日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書」の
  署名が行われました。
 
 ・概要は、下記URLにてご覧いただけます。 
  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy19112fu.htm
  
(4)日本国政府は、オーストラリア政府との間で、日豪租税条約の改正交
  渉を開始することになりました。
 
 ・概要は、下記URLにてご覧いただけます。 
  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy190112au.htm

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3 諸外国における税制の動き ~ドーナツ・クラブ?~

 1971年、日本にミスタードーナツが上陸してから35年余り、今では日本
でもすっかりおなじみのドーナツ。ですが、カナダでドーナツがどれだけ
人々の生活に重要な位置を占めているかを聞いたら、さすがに驚いてしま
うでしょう。
 カナダ最大のドーナツチェーン店ティム・ホートンズは、カナダ全体に
2600店舗あり、人口当たりのドーナツ店数はダントツの1位。なんといって
も、新しい硬貨を流通させる際に、造幣局は、ティム・ホートンズに配分
して流通させたほどです。

 今回は、そんなカナダのドーナツにかかる税金についてのお話です。
カナダにも、日本の消費税に当たる付加価値税があります。カナダでは、
食品に適用される税率はゼロ。つまり、消費者から見れば付加価値税はか
かりません。他方で、レストランなどでの外食は、食品の購入ではなくサ
ービスの購入ですから、標準税率(6%)が課されることになります。
 とは言っても、食品と外食との区分が簡単でない例が多々あります。例
えば、ドーナツ屋での購入時に、店内で食べるか、持ち帰るかを判断する
のは難しい・・・そこで、カナダでは「すぐの消費に適しているか」とい
う基準を設けています。具体的には、ドーナツの場合、6個以上ならばそ
の場で食べきれないと見なされてゼロ税率、5個以下ならば標準税率、と
いう具合です。そのため、ドーナツ屋の前で購入者が集まって、即席の
「ドーナツ・クラブ」が作られ、ドーナツを共同購入しているという、本
当のようなうそのような話が出回ったほど。他にもアイスクリームなどの
冷凍食品については、500g以上ならゼロ税率、飲料品については、600ml
以上のものはゼロ税率など複雑な基準があります。

 ただし、この「ドーナツ・クラブ」は、もしかしたら作り話かもしれま
せん。なぜなら、この複雑怪奇な基準をちゃんと理解しているカナダ人は
とても少ないからです。6個以上ならばゼロ税率と知っている人は半分程
度、たとえ知っていてもその理由については皆ちんぷんかんぷんというと
ころが実際だそうです。

 カナダ人が大好きな、甘くておいしいティム・ホートンズのドーナツ。
そのドーナツを食べるときくらい、「購入の仕方で税金がどう変わってく
るだろうか?」なんて考えずに、ゆっくり楽しむ方がいいような気がする
のですが・・・

                      主税局調査課 山口真由

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4 お知らせ 平成19年から所得税が変わります(税源移譲の実施、定率
 減税の廃止)

(1)税源移譲の実施(所得税から住民税へ)

 平成19年から、地方分権を進めるため、国税(所得税)から地方税(住
民税)へ税金が移し替えられます(3兆円の税源移譲)。

 この税源移譲にあたって、所得税と住民税の税率が変わります。

 これに伴い、ほとんどの方が、
・所得税は平成19年分から減り(平成19年1月以降の源泉徴収及び平成20
 年2月~3月に行われる確定申告)、
・住民税は平成19年度分から増える(平成19年6月以降に納付)
こととなりますが、税金の移し替えなので、所得税と住民税を合わせた同
一課税年度における納税額は基本的に変わりません。
 
 ただし、景気回復のための定率減税措置がとられなくなることや、皆様
の収入の増減など、別の要因により、実際の納税額は変わりますので、ご
留意ください。

(2)定率減税の廃止

 平成11年に臨時異例の景気対策として導入された定率減税が、経済状況
の改善などを踏まえ、
・所得税は平成19年分(平成19年1月以降の源泉徴収及び平成20年2月~
 3月に行われる確定申告)から、
・住民税は平成19年度分(平成19年6月以降に納付)から
廃止され、本来の税額に戻ります。
 このため、税源移譲とは別に、定率減税が廃止されることによる納税額
の増加があります。

(3)その他

・平成11年から平成18年までに入居され、住宅ローン減税の適用を現在受
 けている方又は今年の確定申告から受ける予定の方の中には、税源移譲
 により所得税額が減少することに伴い、本来受けられるべき住宅ローン
 減税額が減少する方がいらっしゃるかと思います。税源移譲により減少
 する住宅ローン減税相当額については、平成19年分以降の申告(基本的
 には平成20年2月~3月以降の申告)により、平成20年度分以降の住民
 税から控除することができるよう措置されています(ただし、毎年同時
 期の申告が必要です。この措置は総務省の所管となります。)。

・平成19年及び20年に入居される方につきましては、1月19日に閣議決定
 された平成19年度税制改正の要綱において、所得税において住宅ローン
 減税の効果を確保するため、控除期間を10年から15年に延長し、1年あ
 たりの控除額を引き下げる特例を創設することとされています(注)。
 この特例は現行制度との選択制です。
 (注)平成19年度税制改正の要綱については、こちらからご覧いただけます。
    http://www.mof.go.jp/seifuan19/zei001_a1.htm

※ 詳しくは、下記URLをご覧ください。
・「平成19年から所得税が変わります。」(財務省ホームページ) 
  http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeigen.htm
・「国から地方への税源移譲(三位一体の改革)」(総務省ホームページ)
  http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html
 
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5 編集後記

 主税局内の話になりますが、このところ主税局ではコピー用紙が不足し
ています。法案作成作業(平成19年度税制改正の法案は650ページを
超えます!)などでどうしても多くの紙を使ってしまいがちですが、電子
メールですませたり、両面コピーや集約コピーをより一層活用したり、み
んなで工夫して、できるだけ紙を減らすようにしています。今回のコピー
用紙不足は来週中にひとまず解消するようですが、これをよい機会として、
環境問題や経費節減のため、できるだけ紙を減らす工夫を続けていきたい
ものです。                        (高宮)

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ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

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