税制メルマガ

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税制メールマガジン 第41号

2007年07月03日 | 税制メルマガ
税制メールマガジン 第41号             2007/07/02 

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◆ 目次

1 巻頭言 
2 税制をめぐる最近の動き
3 主税局職員コラム ~誰が為に改革はある?~
4 諸外国における税制の動き ~EU旗の星の数は?~
5 編集後記

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1 巻頭言
 
 昨年の8月号から巻頭言を書き始めて、もうすぐ1年になります。そこ
で、今月号の巻頭言は、趣向を変えて、この1年間の税制メールマガジン
を振り返っての対談にしてみたいと思います。対談の相手は編集後記を書
いている高宮くんです。

鑓水(以下「や」): どうも。いつもお疲れさま。この1年間、税制メ
  ールマガジンの編集をやってきて、どうでしたか。
高宮(以下「た」): そうですね。まず、昨年の9月に厚生労働省から
  財務省に出向してきて、役所がメールマガジンを発行していること自
  体に驚きました。官邸のメルマガは知っていましたが、役所が発行し
  ているところもあるんだな、直接国民に対して情報発信をしようとい
  う姿勢はえらいなと。
や: 私は去年の8月に異動してきて、引き継ぎで、税制メルマガの巻頭
  言を毎月書くようにと言われて、これは大変だと思ったよ。毎月それ
  なりにまとまった量の文章を書くわけだから。しかも、毎月書いてい
  ると、ネタがなくなってくる。
た: 編集後記はちょこっとだけしか書かないからよいですが、巻頭言を
  毎月書くのは大変だろうなと思って見ていました。
や: 巻頭言を書くときには、読者の方々に、財政や税制の問題をできる
  だけ身近に自分の問題として考えてもらえるようにということには気
  を付けてきました。そのために、自分の子どもの話題とか、大学生へ
  の講義に実際に行った際の話、人口減少社会の話、子どものうちから
  の租税教育、統一地方選挙の話題、大学時代の友人との飲み会での話
  などのできるだけ身近に感じられそうな話題から、これからの日本の
  財政や税制について書いてきたのだけれど、どうだったかなあ。
た: 誰が読んでも分かりやすい文章を書くことって難しいですよね。編
  集後記では、主税局ってこんなところという、局内の様子が具体的に
  分かるような話を書こうとしています。主税局がどんなところなのか、
  自分も外にいたときには分からなかったですから。なんとなく、主税
  局には税金をどうやって取ろうかいつも考えている人が集まっている
  のではないかという根拠のないイメージもあるような気もしますし。
  普通にそこらへんで生活している人が、自分も税金を納めつつ、悩み
  ながら苦労しながら今後の日本のあるべき税制を考えているというこ
  とがなんとか少しでも伝えられればよいのですが。
や: 読者の皆様からは、ときに厳しい感想メールを、ごくまれに(?)
  励ましの感想メールをいただいたよね。
た: 国の財政が厳しい状況にある中で子どもや孫といった将来の世代に
  負担を先送りしないようにしないといけないと言われても、今の自分
  の生活が苦しいのに、そんな先のことは考えられないという気持ちは
  分からなくはないです。ここ数年の税制改正で税負担が増えたり、社
  会保障制度改正で社会保険料などの負担が増えたり、給付が減ったり
  している人もいるので、なかなか厳しいなあと思います。
や: 確かにその気持ちも分かるんだけど。でも、日本全体では好景気が
  続いていて、税収も増えている中で、国債発行額を過去最大の削減を
  したけれども、平成19年度予算で約25兆円の国債発行だからね。
  今までの借金が積み上がっている分もあるし、それを我々よりも絶対
  的な人数が少ない自分の子どもや孫たちが将来返さないといけなくな
  ることを考えれば、今のうちに、我々の世代でできるだけ借金を少な
  くしておかないと、と思うけどなあ。そうすると、当然、無駄な支出
  や非効率な支出はなくしていかないといけないし、それでも足りない
  部分は、みんなで負担できる範囲で負担し合っていかないといけない。
   マスコミの方々と話をしたり、飲んだりする機会もあるんだけど、
  その場では分かったと言ってくれることも多いんだけど・・・。
た: 総論としては理解できても、無駄な支出や非効率な支出を具体的に
  どうやってなくしていくか、みんなで具体的にどうやって負担し合っ
  ていくかを考えて決めていくのは、本当に難しいことですよね。社会
  保障分野でいうと、高齢者が増えていけば、年金も医療費も介護費も
  自然に増えていくものだし、医療の世界では、「医療崩壊」をなんと
  か食い止めないといけないし、医療の安全性を高めるためにもお金が
  必要です。これをどうやって削減するのだろうと考えても、よい知恵
  はにわかに浮かびません。
や: 難しくても、皆で考えていかなければならない。
   そのためにも、これからも、読者の皆様に、子どもや孫たちといっ
  た将来世代にどのような社会を引き継いでいきたいのかを考え、これ
  からの日本の財政や税制の問題を考えていただけるような、そんな税
  制メールマガジンにしていきたいと思います。

        主税企画官 鑓水 洋

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2 税制をめぐる最近の動き

 (1)下記のとおり、税制調査会が開催されました。
  【6月8日(金)】
   第12回企画会合
   ・フリーディスカッション 等
  【6月15日(金)】
   第7回調査分析部会
   ・委員からのプレゼンテーション
  【6月22日(金)】
   第8回調査分析部会
   ・委員からのプレゼンテーション

  ・税制調査会の資料等は、下記URLにてご覧いただけます。
    http://www.cao.go.jp/zeicho/index.html
   
 (2)日本及びパキスタンは、両国間の租税条約に代わる新条約の締結
   交渉について、基本合意に至りました。
   ・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
   http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy190615pa.htm

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3 主税局職員コラム ~誰が為に改革はある?~

 熊本国税局で1年間仕事をして、税制改革に携わりたいという願いが叶
って主税局に来てから2年が経とうとしております。この間、定率減税の
廃止、研究開発税制の集中・重点化、骨太2006に向けての議論、新しい政
府税調の立上げ、減価償却制度の抜本的見直し、政府税調の調査分析作業
などなど、いくつものドラマがありました。

 税制改革に関わる中で、ずっと心にあることがあります。税制改革は誰
のためにあるのか、ということです。これまでの税体系のあり方を大きな
流れで捉えれば、所得税は、高度成長に伴う税負担感を調整するための減
税をおこなってくるなかで、人の価値観は公平から活力へと移り変わって
いるのと表裏一体で所得税率の累進構造はフラットになってきました。法
人税も経済がグローバル化して国際競争が厳しくなってきており、イコー
ルフッティングの観点から税率の引下げを行ってきました。この間、消費
税が難産の末に誕生し、税率が引き上げられました。今後の少子高齢化に
伴う生産人口の減少と被扶養人口の増加という構造の行く末を考えると、
ますます消費税の役割が高くなるというのは、ある種当然のように考えら
れます。

 他方で、税負担増につながる議論に対しては、マスコミは厳しく批判し
ます。こっちじゃなくてあっちから取れというような主張や、税負担増を
求める前にまずは徹底した歳出削減をすべきだといった主張です。私も歳
出削減を進めたらいいと思っています。歳出規模が小さくても国民生活が
立ち行くのであれば、どんどん切り詰めたらいいでしょう。しかし、自分
の負担を小さくしたいという気持ちが多くの人にあるなら、どうして自分
の給付を切り詰めるような歳出削減に率先して賛成できるでしょうか?

 現役世代は参政権があるので、負担が多い、給付が少ないと主張できま
す。でも将来世代は、そうした議論に参画できず、ただそのツケを背負わ
されているわけです。私はここに構造的な歪みを感じるとともに、なんと
かこの問題を解決したいと思っています。税制は、行政サービスの費用を
どのように分担するかという現役世代の視点とともに、適切な税収を確保
し負担を先送りしないという将来世代の視点が不可欠なのです。その上で、
どういう国家がいいのか(例:高福祉高負担VS低福祉低負担)、国民の選
択とコミットメントが重要なのです。これを読んで頂いた方々には、是非
そうした議論を身近な方々と始めていただきたく思います。それが、ひい
ては日本をあるべき姿に近づけていくのだと信じています。

               主税局総務課総務第一係長 津田 夏樹
  
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4 諸外国における税制の動き ~EU旗の星の数は?~

 皆さんはEUの旗を思い浮かべることができるでしょうか。ブルーの背
景に黄色の星。では、その星の数がいくつあるのかご存知でしょうか?

 今年の1月1日、EUにブルガリアとルーマニアが新たに加わりました。
2004年に加盟した10カ国とあわせて第5次拡大と呼ばれますが、こ
の拡大により、旧社会主義国を含めた中東欧諸国などが加わり、それまで
西欧中心に15ヶ国であった加盟国の数は、一気に27まで増えました。
EUの単一市場に加わったこともあり、中東欧諸国がますます好調な経済
発展をしていることは良く知られているところだと思います。

 ということは、EU旗の星の数は27。こう思った方もいらっしゃるか
もしれません。しかし、そんなに多くなかったような気もします。実際に
EUの旗を見てみると、円の上に星が均等に並べられ、時計の文字盤のよ
うに12個の星が調和されているのが分かります。実はこの星の数、加盟
国数とは関係ありません。(私が小学生の頃、EUの加盟国の数は12で
あり、「星の数=加盟国数」と覚えた記憶がありますが…)

 星の数を決めるにあたっては、国の数と同じにするべきだなど、やはり
様々な議論があったようです。最終的には、約数の個数が完全数(6)で
あり、さらに約数の和も完全数(28)であるという性質を持つ「12」
に、「完全」「無欠」などの意味が込められ、このような調和された旗が
できたのだといわれています。

 EUでは、税制の面でも調和が図られています。第24号のメルマガ
「欧州における税制の調和」でもご紹介しましたが、消費税や酒税、たば
こ税などの間接税については、理事会指令などにより各国の制度の調和が
進んでいます。最近では、法人税においてもEU共通の課税ベース
(CCCTB)を定めようという試みがあり、各国の活発な議論が交わさ
れています。

 法人税の調和の試みには、「各国の課税主権を侵害する」「将来、税率
までもEUで決められる恐れがある」などの理由で根強い反対論がありま
すが、欧州委員会で税制の責任者であるコバーチ氏は、来年にも
CCCTBを提案したいとしています。

 EU旗の星のように、調和が進んでいくのでしょうか。今後ともEUの
税制から目が離せません。

(注)「完全数」とは、その数を除くすべての約数の和が、その数と等し
くなる数で、6、28、496などがあります。また、約数の個数及びそ
の和も完全数となる数は「sublime number」と呼ばれています。

(参考)
駐日欧州委員会代表部(欧州の旗)
http://jpn.cec.eu.int/union/showpage_jp_union.day.php

税制メールマガジンバックナンバー
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/merumaga/merumagaback.htm

主税局調査課 杉浦 達也

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5 編集後記

 今年の夏は暑いようです。主税局内でも、クールビスでネクタイを外し
ていますが、それでも暑いです。特に、夜になると冷房も止まってしまい、
結構大変です。しかし、地球温暖化を防止し、子どもや孫たちといった将
来世代に住みやすい地球環境を引き継ぐためには、我々一人一人ができる
ことをやっていくことが重要です。と、なにやら前の方でも読んだような
フレーズですね。
                             (高宮)

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ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.iijnet.or.jp/cao/kanbou/opinion-zeicho.html

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