税制メルマガ

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税制メールマガジン 第40号

2007年05月31日 | 税制メルマガ
税制メールマガジン 第40号             2007/05/31 

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◆ 目次

1 巻頭言 
2 税制をめぐる最近の動き
3 主税局職員コラム ~税源移譲に伴う税負担の変化にご理解を~
4 コラム公的部門(その2) ~サザエさんと公務員~
5 諸外国における税制の動き ~税制から見るドイツの国民性と日本~
6 編集後記

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1 巻頭言
 
 新緑が美しい季節になりました。とはいっても、地球温暖化の影響でし
ょうか、30度近くになることもあり、クール・ビズが待ち遠しく感じる
今日このごろです。

 先日、大学時代の友人と3人で食事がてら旧交を温める機会がありまし
た。食事とはいってもメインはドリンクの方ではありますが。一人はみず
ほ銀行に勤務するT君、もう一人は厚生労働省に勤務する0君です。別に何
の話をするわけでもなく、同年齢であり大体子供の年齢も同じくらいのた
め、子供の学校がどうだとか、最近こんな仕事をやっているとか、そんな
話をしていたわけですが、少々アルコールがまわり始めると、最近話題の
「公務員制度改革」や「年金問題」などについて、それぞれ人事の経験が
長いT君、年金問題を担当している0君からの幅広い観点からの指摘もあり、
言いたい放題の相当荒れた展開になってしまったような記憶があります。
ともかくも、数時間があっという間に過ぎてしまいました。

 冷静になって思うと3人とも20年前と同じ職場に勤めながら、就職し
たときとは勤務先の名前がいつの間にか変わってしまっています。今から
考えてみれば、就職したころに20年後にこういうことになっているとは
誰も想像していなかったはずです。いったん就職し組織の一員となれば、
ついつい目先の問題解決ばかりに追われがちになりますが、それは仕方の
ないことかもしれません。しかも、自分や友人たちのこの20年を振り返
ってみても、我々のとりまく環境の変化はスピードを増すばかりであり、
あまり先のことを考えてみても単なる「妄想」に終わってしまう可能性も
高いかもしれません。しかし、そうはいってもどれだけ将来の姿に思いを
馳せることができるのか、そして少々大げさになりますが将来世代のため
にどれだけのいい環境を残してあげられるのか、真剣に考えなければいけ
ないと思っています。T君やO君と話をしながら、なんとなくホッとした気
持ちを覚えたのは、どんな立場や仕事をしていても、こうした思いを共通
にもっているからだろうと、勝手に思っている次第です。

        主税企画官 鑓水 洋

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2 税制をめぐる最近の動き

  下記のとおり、税制調査会が開催されました。
   【5月11日(金)】
    第9回企画会合・第4回調査分析部会合同会議
    ・委員からのプレゼンテーション、海外調査(アジア)報告

   【5月17日(木)】
    第10回企画会合・第5回調査分析部会合同会議
    ・IMF税制専門家からのプレゼンテーション、自由討議

   【5月22日(火)】
    第11回企画会合・第6回調査分析部会合同会議
    ・委員からのプレゼンテーション、公益法人制度改革の現状等

   ・税制調査会の資料等は、下記URLにてご覧いただけます。
    http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/top_zei3.htm

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3 主税局職員コラム ~税源移譲に伴う税負担の変化にご理解を~

○ 地方分権を推進するための「税源移譲」が今年平成19年から実施さ
 れています。具体的には、国税(所得税)から地方税(住民税)に3兆
 円が移し替えられることに伴って、所得税と住民税の税率が変更となり
 ますが、1年間の合計で見ると、この税源移譲によって、国税(所得税)
 と地方税(住民税)の合計の負担額は基本的に変わらないようになって
 います(ただし、定率減税の廃止に伴う負担増は生じます)。
  ただ、所得税は1月から12月の暦年が課税年度の区分とされる一方、
 住民税の課税年度の区分は6月から翌年5月までと異なっていることや、
 給与等からの税金の天引きの有無などによって、具体的に税額に影響が
 生じる時期が異なってきます。なかなか分かりづらい部分もありますが、
 以下、具体的に、給与所得者、年金所得者、事業所得者に分けて、税源
 移譲による所得税・住民税への影響について簡単に説明したいと思いま
 す。

○ 給与所得者の方の場合、多くの方が平成19年1月分の給与から天引
 き(源泉徴収)される所得税が下がり、平成19年6月分の給与から天
 引き(特別徴収)される住民税が上がることとなっています。年間を通
 じた所得税と住民税の合計の税負担は基本的には変わりません。

○ 年金を受給されている方で、所得税・住民税を納付する必要のある方
 のうちの多くの方は、平成19年2月の年金支払から、天引き(源泉徴
 収)される所得税が減り、相当する分について6月から住民税が増える
 こととなります。年間を通じた所得税と住民税の合計の税負担は基本的
 には変わりません。ただ、
 (1)所得税は2ヶ月ごとの年金支給時(2月、4月、6月、8月、10
  月12月)に天引き(源泉徴収)されますが、最終的な年税額は確定
  申告(平成19年分は平成20年2月~3月)によって確定すること
 (2)住民税は6月に通知された平成19年度分の税額について年4回
  (6月、8月、10月、1月)に分けて3ヶ月分ずつ納付していただ
  くことから、所得税の1回ごとの減額分と、住民税の1回ごとの増額
  分とは一致しません。この点には是非ご留意いただきたいと思います。

○ 事業所得者の方の場合も、税源移譲によって、年間を通じた所得税と
 住民税の合計の税負担が変わることは基本的にはありません。多くの方
 は、平成19年7月分の予定納税から所得税が下がり、6月から住民税
 が上がることとなります。ただ、
 (1)所得税については、昨年の所得などを基に計算した税額が15万円
  を超える場合、その計算した税額(予定納税基準額といいます)の3
  分の1ずつを、6月に税務署から送付される通知に従い、7月と11
  月の2回に分けて納付していただく必要がありますが(これを「予定
  納税」といいます)、最終的な年税額は確定申告(平成19年分は平
  成20年2月~3月)によって確定すること(所得税の予定納税のな
  い方は、確定申告のときに初めて影響が生じます)
 (2)住民税は、6月に通知された平成19年度分の税額について年4回
  (6月、8月、10月、1月)に分けて納付していただくこと
 から、所得税の1回ごとの減額分と住民税の1回ごとの増額分とは一致
 しません。この点については、是非ご留意いただきたいと思います。

○ このように、給与所得者、年金所得者、事業所得者それぞれで税源移
 譲による影響が生じる時期は若干異なりますが、繰り返し説明したよう
 に、税源移譲によっては、基本的には年間を通じた所得税と住民税の合
 計の税負担は変わりません。
  地方分権を進める上での「税源移譲」の意義についてまずご理解をい
 ただき、そして、税源移譲に伴う所得税と住民税の負担の変化について
 も是非ご理解をいただきたいと思います。

                主税局税制第一課課長補佐 大柳久幸
  
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4 コラム公的部門(その2)~サザエさんと公務員~

 日曜日の夜6時半(青森や山口では土曜日のようですが)からテレビで
放送されているサザエさん。平均視聴率が20%にのぼる人気番組で、の
どかで平和な磯野家をめぐる日常の出来事が描かれています。視聴者のな
かにはエンディングが終わると、「週末の休みもこれで終わりか・・・」
と感じて、憂鬱な気分になる人もいるようです(「サザエさん症候群」と
呼ばれるとか)。

 ところで、この「サザエさん」ですが、登場人物をみる限り、国家公務
員はまず出てきません(学校の先生やお巡りさんは登場しますが、こちら
は地方公務員です)。
 
 たとえば、マスオさんの勤めている海山商事に「税務調査」が入ったと
は聞いたことがありません。また、山川商事で波平さんの同僚が過労死さ
れて「労働基準監督署」の職員が来たり、ノリ助さんが失業して「ハロー
ワーク」のお世話になったり。こそ泥は、唐草模様の風呂敷包みを担いで
近所に出没しますが、捕まって刑務所に入るところまでは出てきません。
海外旅行で空港の税関職員と話すことはあっても、カバンから白い粉が出
たらアウトでしょう。さらに、カツオが乗った船が沈んで、「海猿」こと
海上保安官が捜索したり、大地震で道路が寸断されて、国道事務所の人間
が駆けつけたり・・・、はては自衛隊が出動してくるようであれば、「危
機管理」的な緊張状況に突入です。ここまでくると、磯野家においても、
「テレビの向こう側」の話になってしまうのでは?

 結局、サザエさん的な日常の世界では、国家公務員にはなかなか出くわ
さないのが普通であり、また、その方が幸せなのかもしれません。

 というのも、国家公務員の仕事は、国民皆が安心して暮らせるよう、社
会の制度やルールを企画したり、守らせたりすることが基本だからです。
たとえば、脱税の抑止(税務署)、不法滞在の取締り(入国管理局)、労
働基準法の遵守(労働基準監督署)、領海侵犯や密輸の防止(海上保安庁
や税関)、空の交通管制(航空管制官)、伝染病の流入阻止(検疫所)、
在留邦人の保護(外務省)、生態系を壊す外来種の流入阻止(環境省)な
どなど。これらに携わる公務員に出くわすようでは、何かやっかいな問題
が発生しているはずです。

 このほか、必ずしも一般の方を直接相手にした仕事ではありませんが、
国民生活の向上に関連して、農業・産業政策、医療や福祉政策などの制度
の企画・立案、さらに、国有林や国立公園をはじめ様々な国有財産の管理
などの事務もあります。
 
 しかし、出くわさないほうがよいからといって、なくてもよい仕事とい
うわけではありません。普段はめだたないかもしれませんが、サザエさん
的な平和な暮らしを守るためには、社会の制度を企画・維持し、ルールを
守るよう、公務員がしっかり働いていることが大事です。

 今年2月の内閣府のアンケート調査によれば、国家公務員の働きぶりに
ついて、56%の方が「国民のニーズに応える働きをしていない」と思わ
れておられるようです。残念なことですが、調査は、どこの誰の仕事を見
てそう感じたのか?ということまでは尋ねていませんので、個別の不祥事
の報道へのお叱りなどの意味も含まれているのかもしれません。いずれに
せよ、モラール(士気)の維持に気を配りながら、これからも国民の皆さ
んのニーズをふまえた働きをしていく必要があります。

           主計局主計官(元主税局広報企画官) 藤城 眞
  
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5 諸外国における税制の動き ~税制から見るドイツの国民性と日本~

 先日、ドイツ連邦財務省発行の税制に関する教材を見る機会がありまし
た。「財政と税制」と題した中高生向けの教材で、主人公である6人の学
生の生活を糸口に、税制や財政のあり方について考えるというストーリー
になっています。中高生向けとはいえ、「税制における公平と公正」「将
来における世代間の負担のあり方」といったテーマもカバーしており、近
年の改正の背景についても言及していて、骨のある内容に感心しました。
子供の頃から財政や税制を生活に密着した問題として考えようとする風土
が根付いていることが伺えます。

 私は2005年から2年間、ドイツ税制の調査を担当していますが、こ
の2年間では過去に類を見ないほど大きな改正が決定され、実施されてき
ました。2005年11月のメルケル政権の成立以降、2007年1月か
らの付加価値税の引上げ(16→19%)、所得税の最高税率の引上げ
(42→45%)、2008年1月からの法人税改革等の改正が決定され
たことは、今までのメールマガジンでもお知らせしてきたとおりです。あ
まり知られてはいませんが、これらの改正は政権成立時の連立協定に明記
された事項を着実に実行してきたもので、ドイツ人の真面目さ、実直さが
良く現れていると言えます。

 このように、ドイツの税制関連資料や決定過程にはその国民性が随所に
現れていますが、これは何もドイツに限ったことではありません。税は経
済社会の鏡であると言われますが、外国税制の調査をしていると、制度の
背後にある社会状況や国民性を垣間見ることが多く、税制が社会のあり方
と密接に結びついていることを改めて実感させられます。

 日本人の習性でしょうか、つい「諸外国ではどうなっているのか」「諸
外国でやっている取組みならば導入した方が良いのではないか」と盲目的
に考えてしまいがちですが、日本と諸外国では背景となる歴史や国民性、
財政状況などが異なり、制度や考え方をそのまま取り入れてもうまくいく
とは限りません。

 わが国の長期債務残高は対GDP比150%に達し、財政状況は先進国
の中で最悪の水準にあります。少子高齢化といった共通の課題を抱える諸
外国の税制改革の経験や視点から学べるところは学びつつ、わが国の実情
に根ざした議論をすることが必要なのではないでしょうか。
                     
(参考)
日本の租税教育のページ
財務省 「ゴー!ゴー!ふぁいなんす★タウン」
http://www.mof.go.jp/kids/top.html

国税庁 「税の学習コーナー」
http://www.nta.go.jp/category/gakusyu/kyousitu.htm

ドイツ連邦財務省 租税教育教材のページ(ドイツ語です)
http://www.bundesfinanzministerium.de/cln_03/nn_54/DE/Aktuelles/043.html

                      主税局調査課 荒井夏來

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6 編集後記

 主税局職員コラムでも説明があったように、6月から多くの方の住民税
が上がります。国から地方への税源移譲によっては、所得税と住民税の合
計額は基本的に変わりません。ただし、税源移譲とは別に、定率減税の廃
止に伴う負担増が生じます。定率減税は、アジア通貨危機や金融機関の破
綻が起こり、日本経済がマイナス成長であった中、平成11年に、景気対
策のための税負担の軽減措置として導入されました。経済状況の改善等を
踏まえ、平成19年からこの定率減税を廃止し、本来の税額に戻すもので
あり、家計のやりくりが大変だと思いますが、将来世代に負担を先送りし
ないためにもご理解をお願いいたします。

※ 詳しくは下記URLをご覧ください。
 ・「平成19年から所得税が変わります。」(財務省ホームページ)
   http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeigen.htm
 ・「国から地方への税源移譲(三位一体の改革)」(総務省ホームページ)
   http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html

 話は変わりますが、先日、主税局総務課の課内旅行がありました。みん
なで毎月積み立てておいたお金で、那須温泉へ1泊2日の旅行。今回の課
内旅行では、昼はゴルフか釣りを楽しみ(私は寝坊して遅刻しましたが)、
夜はみんなで宴会です。職場では見られない一面が見られたり、時間の余
裕がある中で普通の何気ない会話ができたり、思った以上に楽しめました。
日本の多くの職場で、各自が自分の仕事をこなすのに手一杯で余裕がなく
なり、コミュニケーション不足が生じているとも言われています。この解
決の基本は業務量に見合った人員配置でしょうが、普段の職場を離れたコ
ミュニケーションの場を設けることによって、ギスギスしがちな職場が少
し居心地のよいものになるのかもしれません。
                             (高宮)

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ご意見募集のコーナー

 政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm

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