税制メールマガジン 第35号 2006/12/26
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◆ 目次
1 巻頭言
2 税制をめぐる最近の動き
3 特集 平成19年度税制改正案の概要
4 お知らせ 平成19年から所得税が変わります(税源移譲の実施、定率
減税の廃止)
5 編集後記
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1 巻頭言
2004年の約1億2778万人をピークにして日本はいよいよ人口減少社会に
突入したといわれています。明治時代以降日本の人口は増加し続けてきま
した。特に戦後50年かけて約8千万人から1億2千万人へと1.5倍の水準に
跳ね上がりましたが、人口の低位推計によればこれから半世紀後には戦後
の水準に戻るということになります。この人口減少が日本の経済社会にど
のような影響を及ぼすのかについては、悲観論から楽観論まで諸説あるよ
うです。ただ、人口の規模が将来元に戻るといっても、その構成内容は大
きく異なります。少なくとも2025年には20歳~64歳の勤労者世代2人に対
し65歳以上の高齢者が約1人という時代を迎えることは不可避であり、こ
れまで何となく当たり前とされてきた「高齢者=社会的弱者」という一律
的な見方では今後の社会が成り立たないことは誰もが感じているはずです。
私個人としては、現在の平均寿命の高さにかんがみれば、そもそも65歳と
いう年齢自体、社会的にどういう意味を持つのか改めて問い直してみる必
要があるのではないかと感じています。
また、最近ではいわゆる「格差」の問題がいろいろな場面で提起されて
います。世代間の格差などは、先ほど申し上げた今後の人口構成とも直結
する大きな問題ですが、その他にも例えば地域間の格差の問題があります。
中央集権の弊害、地方にできることは地方にというキャッチフレーズで地
方分権が進められています。今般の国会でも「地方分権改革推進法」が成
立し、今後3年以内に国と地方の役割分担の見直しなどを内容とする推進
計画を策定することとされました。かつては「国土の均衡ある発展」とい
う大きな政策目標の下で、人・金を一旦中央に集め、それを地方に分配す
ることにより全体の水準を高めるという方法がとられてきました。これは
豊富な労働力人口と高い貯蓄率による高度成長(全体のパイの拡大)に支
えられてこそ成り立っていたものと考えられますが、今後の日本の経済社
会を展望したとき、もちろん生産性の向上などにより経済成長を促進して
いく途を追求していくことはもとよりですが、かつての高度成長期のよう
な構図に限界があることは明らかであり、地方の自主・自立を高める方向
での政策が求められているのだと思います。ただ、これを突き詰めていく
と、地域間、特に都市部と地方の格差の問題に否応なしに直面せざるを得
なくなるのではないでしょうか。つまり、「理念」として大変美しい地方
分権と、それを徹底したときに起こるであろう「現実」とのギャップをど
う埋めていくのか、本当に英知を結集していくことが求められているのだ
ろうと思います。
税制については、平成21年度における基礎年金国庫負担割合引上げのた
めの財源をはじめとする社会保障財源の安定的確保や、わが国経済の活性
化、子育て支援策等の充実等の政策目的の実現に資する役割が求められて
います。いずれにせよこの先わが国は、さらなる少子高齢化が進む中で、
増幅する社会保障等のニーズを社会全体でどうやって担っていくかという
深刻な問題への対応を迫られます。来年秋以降、早期に、本格的かつ具体
的な議論を行い、平成19年度を目途に、少子高齢化社会における社会保障
給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあら
ゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的
改革への取組みが必要であると指摘されている所以です。
こうした流れの中で、このほど平成19年度税制改正の大綱が策定されま
した。19年度税制改正においては、まずはわが国経済の成長基盤を整備す
る観点から、直面する諸課題への取り組みとして、減価償却制度の抜本的
見直しや中小企業・ベンチャー支援などを行うこととしています。また、
国民生活への配慮という観点から、住宅ローン減税の特例や住宅バリアフ
リー改修促進税制の創設、寄付金控除の限度額の引上げなどの措置、さら
に、電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度の
創設、税務手続きの電子化の促進、コンビニで納税できる制度の創設など
円滑・適正な納税のための環境整備も図られることになります。
広報担当主税企画官 鑓水 洋
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2 税制をめぐる最近の動き
(1)「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
日本国とフィリピン共和国との間の条約を改正する議定書」の署名が行
われました。
・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy181209fi.htm
(2)財務省は、「平成19年度税制改正の大綱」を12月19日に決定しました
(詳しくは、3の特集をご覧ください)。
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3 特集 平成19年度税制改正案の概要
平成19年度税制改正の具体的中身について、11月下旬から与党で審議が
行われ、12月14日に与党の「平成19年度税制改正大綱」が公表されました。
これを踏まえ、財務省では、12月19日に平成19年度税制改正案を公表しま
した。この案については、今後、閣議決定を経て、来年の通常国会におい
て法律案として審議が行われることになります。
平成19年度税制改正案の主な内容は、以下のとおりです。
~ 平成19年度税制改正案の概要 ~
現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現す
るためのあるべき税制の構築に向け、我が国経済の成長基盤を整備する観
点から減価償却制度の抜本的見直しを行うとともに、中小企業関係税制、
国際課税、組織再編税制・信託税制、金融・証券税制、住宅・土地税制、
納税環境整備等について所要の措置を講ずることとし、次のとおり税制改
正を行うものとする。
○減価償却制度
・平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産については、償却可能
限度額(取得価額の95%)及び残存価額を廃止し、250%定率法を導入
することにより耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できるこ
ととする。
・平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能
限度額まで償却した後、5年間で1円(備忘価額)まで均等償却ができ
ることとする。
・フラットパネルディスプレイ製造設備等の法定耐用年数を短縮する。
○中小企業関係税制
・同族会社の留保金課税制度について、適用対象から中小企業(資本金等
が1億円以下の会社)を除外する。
・実質的な一人会社(特殊支配同族会社)のオーナーへの役員給与の一部
を損金不算入とする制度について、適用除外基準である基準所得金額を
1,600万円(現行800万円)に引き上げる。
・相続時精算課税制度について、取引相場のない株式等の贈与を受ける場
合には、一定の要件を満たすときに限り、60歳以上の親からの贈与につ
いてその適用を選択することができることとするとともに、2,500万円
の非課税枠を3,000万円に拡大する。
・エンジェル税制(特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税
の特例)の適用期限を2年延長するとともに、適用対象となる企業の要
件の緩和及び確認手続の合理化を行う。
○国際課税
・移転価格税制について、租税条約の相手国との相互協議に係る納税猶予
制度を創設する。
○組織再編税制・信託税制等
・組織再編税制について、会社法における合併等対価の柔軟化(三角合併
等)に伴う税制措置や、組織再編成に伴う国際的な租税回避を防止する
ための措置を講ずる。
・信託税制について、信託法の改正による新たな類型の信託等に対応した
税制を整備するとともに、租税回避防止の観点から、受託者段階での法
人課税を行う等課税の中立・公平を確保するための措置を講ずる。
・企業会計基準の変更に伴い、一定のリース取引を売買とみなした上で、
借手の減価償却の方法についての規定を整備する等所要の措置を講ずる。
○金融・証券税制
・上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の特例の適用期限を1年延長
する。
○住宅・土地税制
・住宅ローン減税について、税源移譲に伴い中低所得者層の減税額が減少
することを踏まえ、計画的な持家取得の支援のため控除期間・控除率の
特例を創設する。
・住宅のバリアフリー改修促進税制を創設する。
・居住用財産の譲渡に係る課税の特例(買換え特例及び譲渡損失の繰越控
除)の適用期限を3年延長する。
○納税環境整備
・電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度を創
設するとともに、税務手続の電子化促進措置(電子申告における第三者
作成書類の添付省略等)を講ずる。
・コンビニエンス・ストアで納税できる制度を創設する。
○その他
・寄附金控除の控除対象限度額を総所得金額等の40%(現行30%)に引き
上げる。
・再チャレンジ支援寄附金税制を創設する。
・地域産業活性化支援税制を創設する。
※ 平成19年度税制改正案全文については、こちらからご覧いただけます。
「平成19年度税制改正の大綱」(平成18年12月19日財務省)
http://www.mof.go.jp/genan19/zei001.pdf
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4 お知らせ 平成19年から所得税が変わります(税源移譲の実施、定率
減税の廃止)
(1)税源移譲の実施(所得税から住民税へ)
平成19年から、地方分権を進めるため、国税(所得税)から地方税(住
民税)へ税金が移し替えられます(3兆円の税源移譲)。
この税源移譲に当たって、所得税と住民税の税率が変わります。
これに伴い、ほとんどの方が、
・所得税は平成19年分から減り(平成19年1月以降の源泉徴収及び平成20
年2月~3月に行われる確定申告)、
・住民税は平成19年度分から増える(平成19年6月以降に納付)
こととなりますが、税金の移し替えなので、所得税と住民税を合わせた年
額の税負担は基本的には変わりません。
ただし、景気回復のための定率減税措置がとられなくなることや、皆様
の収入の増減など、別の要因により、実際の負担額は変わりますので、ご
留意ください。
(2)定率減税の廃止
平成11年に景気対策として暫定的に導入された定率減税が、経済状況の
改善等を踏まえ、
・所得税は平成19年分(平成19年1月以降の源泉徴収及び平成20年2月~
3月に行われる確定申告)から、
・住民税は平成19年度分(平成19年6月以降に納付)から、
廃止され、税負担が増えることとなります。
※ 詳しくは、下記URLをご覧ください。
・「平成19年から所得税が変わります。」(財務省ホームページ)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeigen.htm
・「国から地方への税源移譲(三位一体の改革)」(総務省ホームページ)
http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html
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5 編集後記
本年は、税制メールマガジンをご愛読いただき、ありがとうございます。
本年もいろいろありましたが、来年もいろいろあるのでしょう。来年が読
者の皆様にとってよりよい年になりますようお祈り申し上げます。次回発
行は1月下旬の予定です。 (高宮)
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ご意見募集のコーナー
政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
民の皆様から、御意見を募集しております。
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/iken/iken.htm
当メールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。
mailto:mg_tax@mof.go.jp
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税制メールマガジンのバックナンバーはこちらからご覧頂けます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/merumaga/merumagaback.htm
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その他配信サービスに関する手続は、以下のアドレスでお願いします。
財務省メールマガジンの配信中止・登録内容の変更はこちらでお願いし
ます。
配 信 中 止 → http://www.mof.go.jp/haisin/sakujo1.htm
登録内容の変更 → http://www.mof.go.jp/haisin/henkou1.htm
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◆ 目次
1 巻頭言
2 税制をめぐる最近の動き
3 特集 平成19年度税制改正案の概要
4 お知らせ 平成19年から所得税が変わります(税源移譲の実施、定率
減税の廃止)
5 編集後記
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1 巻頭言
2004年の約1億2778万人をピークにして日本はいよいよ人口減少社会に
突入したといわれています。明治時代以降日本の人口は増加し続けてきま
した。特に戦後50年かけて約8千万人から1億2千万人へと1.5倍の水準に
跳ね上がりましたが、人口の低位推計によればこれから半世紀後には戦後
の水準に戻るということになります。この人口減少が日本の経済社会にど
のような影響を及ぼすのかについては、悲観論から楽観論まで諸説あるよ
うです。ただ、人口の規模が将来元に戻るといっても、その構成内容は大
きく異なります。少なくとも2025年には20歳~64歳の勤労者世代2人に対
し65歳以上の高齢者が約1人という時代を迎えることは不可避であり、こ
れまで何となく当たり前とされてきた「高齢者=社会的弱者」という一律
的な見方では今後の社会が成り立たないことは誰もが感じているはずです。
私個人としては、現在の平均寿命の高さにかんがみれば、そもそも65歳と
いう年齢自体、社会的にどういう意味を持つのか改めて問い直してみる必
要があるのではないかと感じています。
また、最近ではいわゆる「格差」の問題がいろいろな場面で提起されて
います。世代間の格差などは、先ほど申し上げた今後の人口構成とも直結
する大きな問題ですが、その他にも例えば地域間の格差の問題があります。
中央集権の弊害、地方にできることは地方にというキャッチフレーズで地
方分権が進められています。今般の国会でも「地方分権改革推進法」が成
立し、今後3年以内に国と地方の役割分担の見直しなどを内容とする推進
計画を策定することとされました。かつては「国土の均衡ある発展」とい
う大きな政策目標の下で、人・金を一旦中央に集め、それを地方に分配す
ることにより全体の水準を高めるという方法がとられてきました。これは
豊富な労働力人口と高い貯蓄率による高度成長(全体のパイの拡大)に支
えられてこそ成り立っていたものと考えられますが、今後の日本の経済社
会を展望したとき、もちろん生産性の向上などにより経済成長を促進して
いく途を追求していくことはもとよりですが、かつての高度成長期のよう
な構図に限界があることは明らかであり、地方の自主・自立を高める方向
での政策が求められているのだと思います。ただ、これを突き詰めていく
と、地域間、特に都市部と地方の格差の問題に否応なしに直面せざるを得
なくなるのではないでしょうか。つまり、「理念」として大変美しい地方
分権と、それを徹底したときに起こるであろう「現実」とのギャップをど
う埋めていくのか、本当に英知を結集していくことが求められているのだ
ろうと思います。
税制については、平成21年度における基礎年金国庫負担割合引上げのた
めの財源をはじめとする社会保障財源の安定的確保や、わが国経済の活性
化、子育て支援策等の充実等の政策目的の実現に資する役割が求められて
います。いずれにせよこの先わが国は、さらなる少子高齢化が進む中で、
増幅する社会保障等のニーズを社会全体でどうやって担っていくかという
深刻な問題への対応を迫られます。来年秋以降、早期に、本格的かつ具体
的な議論を行い、平成19年度を目途に、少子高齢化社会における社会保障
給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあら
ゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的
改革への取組みが必要であると指摘されている所以です。
こうした流れの中で、このほど平成19年度税制改正の大綱が策定されま
した。19年度税制改正においては、まずはわが国経済の成長基盤を整備す
る観点から、直面する諸課題への取り組みとして、減価償却制度の抜本的
見直しや中小企業・ベンチャー支援などを行うこととしています。また、
国民生活への配慮という観点から、住宅ローン減税の特例や住宅バリアフ
リー改修促進税制の創設、寄付金控除の限度額の引上げなどの措置、さら
に、電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度の
創設、税務手続きの電子化の促進、コンビニで納税できる制度の創設など
円滑・適正な納税のための環境整備も図られることになります。
広報担当主税企画官 鑓水 洋
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2 税制をめぐる最近の動き
(1)「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
日本国とフィリピン共和国との間の条約を改正する議定書」の署名が行
われました。
・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy181209fi.htm
(2)財務省は、「平成19年度税制改正の大綱」を12月19日に決定しました
(詳しくは、3の特集をご覧ください)。
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3 特集 平成19年度税制改正案の概要
平成19年度税制改正の具体的中身について、11月下旬から与党で審議が
行われ、12月14日に与党の「平成19年度税制改正大綱」が公表されました。
これを踏まえ、財務省では、12月19日に平成19年度税制改正案を公表しま
した。この案については、今後、閣議決定を経て、来年の通常国会におい
て法律案として審議が行われることになります。
平成19年度税制改正案の主な内容は、以下のとおりです。
~ 平成19年度税制改正案の概要 ~
現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現す
るためのあるべき税制の構築に向け、我が国経済の成長基盤を整備する観
点から減価償却制度の抜本的見直しを行うとともに、中小企業関係税制、
国際課税、組織再編税制・信託税制、金融・証券税制、住宅・土地税制、
納税環境整備等について所要の措置を講ずることとし、次のとおり税制改
正を行うものとする。
○減価償却制度
・平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産については、償却可能
限度額(取得価額の95%)及び残存価額を廃止し、250%定率法を導入
することにより耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できるこ
ととする。
・平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能
限度額まで償却した後、5年間で1円(備忘価額)まで均等償却ができ
ることとする。
・フラットパネルディスプレイ製造設備等の法定耐用年数を短縮する。
○中小企業関係税制
・同族会社の留保金課税制度について、適用対象から中小企業(資本金等
が1億円以下の会社)を除外する。
・実質的な一人会社(特殊支配同族会社)のオーナーへの役員給与の一部
を損金不算入とする制度について、適用除外基準である基準所得金額を
1,600万円(現行800万円)に引き上げる。
・相続時精算課税制度について、取引相場のない株式等の贈与を受ける場
合には、一定の要件を満たすときに限り、60歳以上の親からの贈与につ
いてその適用を選択することができることとするとともに、2,500万円
の非課税枠を3,000万円に拡大する。
・エンジェル税制(特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税
の特例)の適用期限を2年延長するとともに、適用対象となる企業の要
件の緩和及び確認手続の合理化を行う。
○国際課税
・移転価格税制について、租税条約の相手国との相互協議に係る納税猶予
制度を創設する。
○組織再編税制・信託税制等
・組織再編税制について、会社法における合併等対価の柔軟化(三角合併
等)に伴う税制措置や、組織再編成に伴う国際的な租税回避を防止する
ための措置を講ずる。
・信託税制について、信託法の改正による新たな類型の信託等に対応した
税制を整備するとともに、租税回避防止の観点から、受託者段階での法
人課税を行う等課税の中立・公平を確保するための措置を講ずる。
・企業会計基準の変更に伴い、一定のリース取引を売買とみなした上で、
借手の減価償却の方法についての規定を整備する等所要の措置を講ずる。
○金融・証券税制
・上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の特例の適用期限を1年延長
する。
○住宅・土地税制
・住宅ローン減税について、税源移譲に伴い中低所得者層の減税額が減少
することを踏まえ、計画的な持家取得の支援のため控除期間・控除率の
特例を創設する。
・住宅のバリアフリー改修促進税制を創設する。
・居住用財産の譲渡に係る課税の特例(買換え特例及び譲渡損失の繰越控
除)の適用期限を3年延長する。
○納税環境整備
・電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度を創
設するとともに、税務手続の電子化促進措置(電子申告における第三者
作成書類の添付省略等)を講ずる。
・コンビニエンス・ストアで納税できる制度を創設する。
○その他
・寄附金控除の控除対象限度額を総所得金額等の40%(現行30%)に引き
上げる。
・再チャレンジ支援寄附金税制を創設する。
・地域産業活性化支援税制を創設する。
※ 平成19年度税制改正案全文については、こちらからご覧いただけます。
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4 お知らせ 平成19年から所得税が変わります(税源移譲の実施、定率
減税の廃止)
(1)税源移譲の実施(所得税から住民税へ)
平成19年から、地方分権を進めるため、国税(所得税)から地方税(住
民税)へ税金が移し替えられます(3兆円の税源移譲)。
この税源移譲に当たって、所得税と住民税の税率が変わります。
これに伴い、ほとんどの方が、
・所得税は平成19年分から減り(平成19年1月以降の源泉徴収及び平成20
年2月~3月に行われる確定申告)、
・住民税は平成19年度分から増える(平成19年6月以降に納付)
こととなりますが、税金の移し替えなので、所得税と住民税を合わせた年
額の税負担は基本的には変わりません。
ただし、景気回復のための定率減税措置がとられなくなることや、皆様
の収入の増減など、別の要因により、実際の負担額は変わりますので、ご
留意ください。
(2)定率減税の廃止
平成11年に景気対策として暫定的に導入された定率減税が、経済状況の
改善等を踏まえ、
・所得税は平成19年分(平成19年1月以降の源泉徴収及び平成20年2月~
3月に行われる確定申告)から、
・住民税は平成19年度分(平成19年6月以降に納付)から、
廃止され、税負担が増えることとなります。
※ 詳しくは、下記URLをご覧ください。
・「平成19年から所得税が変わります。」(財務省ホームページ)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeigen.htm
・「国から地方への税源移譲(三位一体の改革)」(総務省ホームページ)
http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html
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5 編集後記
本年は、税制メールマガジンをご愛読いただき、ありがとうございます。
本年もいろいろありましたが、来年もいろいろあるのでしょう。来年が読
者の皆様にとってよりよい年になりますようお祈り申し上げます。次回発
行は1月下旬の予定です。 (高宮)
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ご意見募集のコーナー
政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国
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