JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

背番号16番レフト江畑幸子選手のコンビ

2012-09-30 10:35:38 | 全日本女子 コンビ
・セッター
江畑幸子選手は本来は打点を活かすタイプですが、低いトスでも同様の強打ができます。特にバックセンターからは、低くなったトスには早めに前飛びをして強打で打ち込みます。そのため、本来は竹下佳江選手の低くぶん投げるトスは不本意でしょうが、それによってパフォーマンスがあまり低下しません。竹下佳江選手は江畑幸子選手のレフトとバックセンターを、速い攻撃として、そして2段処理として、重視して使っています。

・表レフト
木村沙織選手と合わせて2人のエースと言われますが、木村沙織選手はサーブレシーブも担当します。そのため、木村沙織選手がサーブレシーブで乱されて助走にも入れない状況では、江畑幸子選手に2段が上がります。江畑幸子選手は攻撃に専念することにより、木村沙織選手のミスをカバーしています。

・ライト
全日本のライトはバックライトを打てないので、ライトが空になるローテでは江畑幸子選手がバックライトを打つことがあります。S1では山口舞選手がBクイックやAセミに入り、江畑幸子選手がバックレフトを打つ事があります。ライトに山口舞選手が入ると、相手ブロッカーは山口舞選手に釘付けとなるので、江畑幸子選手のレフト攻撃へのブロックは手薄になり、クロス側のレシーバーは体勢が整わなくなります。クロス打ちがやや雑な江畑幸子選手ですが、この状況ではクロス打ちも決まります。ライトに新鍋理沙選手が入ると、格段とAパスが増えます。そのため、江畑幸子選手に苦しいトスが上がる回数が減ります。また、新鍋理沙選手は不完全な2枚ブロックなら嫌がらないため、センターは新鍋理沙選手の方向にブロードします。そのため、江畑幸子選手がさらに楽に打てるようになります。

・センター
江畑幸子選手のバックセンターは、クイックの落ち際を狙ったパイプになります。そのため、センターのクイックやCワイドが決まっている状態ではよく決まります。また、荒木絵里香選手のCワイドや大友愛選手の空中移動のCワイドなど、遅いブロード攻撃と組み合わせると、江畑幸子選手の速いバックセンターはほとんど同じタイミングとなります。これで、江畑幸子選手のバックセンターを後衛からのAクイックに見立てて、前衛のCワイドとダブルクイックのような効果を出すときがあります。

・リベロ
佐野優子選手とはレシーブで隣り合います。この2人のレシーブは、それぞれが自分の役割に集中する感じなので、連携は少ないです。

背番号14番レフト迫田さおり選手のコンビ

2012-09-29 13:02:23 | 全日本女子 コンビ
・セッター
迫田さおり選手は、大体どんなトスでも打ちますが、最高のパフォーマンスを出せるのは一部のトスに限られます。バックアタックは、ロンドンOQTでは竹下佳江選手のトスが戻りすぎて強打できないシーンがありましたが、ロンドンでは修正されていました。レフトからは、ロングBセミに切り込みたがるので、セッターはそれを意識して使います。中道瞳選手は、苦しいときも苦しくないときも、迫田さおり選手にトスが集中してしまう癖があります。

・表レフト
木村沙織選手とはあまり直接的なコンビはありません。木村沙織選手が後衛でサーブレシーブが乱されると、そのトスはほぼ確実に迫田さおり選手に上がります。

・裏レフト
本来迫田さおり選手が裏レフトなので、コート上ではコンビはありません。しかし、ロンドンの決勝トーナメントでは、迫田さおり選手は同じ裏レフトでリザーブだった石田瑞穂選手のユニフォームを重ね着していました。精神面では切っても切れないコンビがあったのでしょう。

・ライト
迫田さおり選手は前衛レフトからは1枚ブロックで最高のパフォーマンスを発揮するので、ライトにマークが付くような状況でチームが上手く回ります。そのため、ライトは2枚ブロックをうまく抜くような技術が要求されます。また、ライトはバックライトを打たないため、ライトが後衛に下がるとライトが空になります。そこから、迫田さおり選手がバックライトを打つコンビがあります。

・センター
迫田さおり選手は1枚ブロックで打ちたいため、迫田さおり選手がレフトに居るときにはブロード、ライトに居るときにはBクイックに入ります。また、迫田さおり選手のバックセンターは、クイックの落ち際を狙うパイプになっているため、センターが決めている状況でバックセンターも良く決まります。

・リベロ
迫田さおり選手はバックセンターの助走が長いため、ラリー中もどうしてもコート後方に動いてしまいます。すると、佐野優子選手はバックレフトの前方を守ることになります。そのため、相手がブロードでバックレフトの長いコースを狙ってくると、レシーブできません。佐野優子選手は2段トスを迫田さおり選手のレフトとバックセンターに上げます。どちらも上手くトスが合いません。特に、本来は空中移動して打ちたい迫田さおり選手ですが、佐野優子選手のアンダーの2段トスは空中移動する余地を与えない2段トスですので、球質は合っていないと言えます。

背番号13番レフト石田瑞穂選手のコンビ

2012-09-28 21:49:58 | 全日本女子 コンビ
石田瑞穂選手は、残念ながら、2012年は控え中心のWGPでしか出場機会がありませんでした。そのため、この記事はやや少ないデータを元に書いています。かなり昔の試合も参考にしていますので、石田瑞穂選手の最新のコンビを反映していません。

・セッター
石田瑞穂選手はセッターがノリノリの時にダイナミックなスパイクを決めます。逆に、仕方なく上がってくるオープントスはブロックにぶつけてしまうことがあります。バックアタックは非常に速く、竹下佳江選手の低いトスでも強打できます。バックアタックは打てるスロットが非常に多く、セッターとかなりコンビを詰めているのが分かります。

・表レフト
木村沙織選手とは、乱れる高いトスは木村沙織選手が打ち、高速トスは石田瑞穂選手が打つ、という役割分担が出来ているかのようです。

・ライト
ライトがかなり決めている状況では、石田瑞穂選手の決定率も上がります。逆に、ライトが決まらないと、石田瑞穂選手も厳しくなります。そのため、石田瑞穂選手投入のタイミングはライトの調子を見て判断する必要があります。

・センター
前衛では、あまりセンターとの効率的なコンビをしません。後衛では一応パイプ的なバックアタックをしますが、センターにコミットしたブロックの落ち際を意図的に狙って打っているようには見えません。個人の速さと力で、打つコースを開拓しているような感じです。また、石田瑞穂選手は、センターが上手くワンタッチを取ったスパイクのレシーブは良いですが、掠ったようなスパイクはレシーブできません。

・リベロ
チーム事情でサーブレシーブに入ったときには、かなりリベロにカバーされます。

背番号12番ライト新鍋理沙選手のコンビ

2012-09-28 21:19:21 | 全日本女子 コンビ
・セッター
新鍋理沙選手には、「こんなトスを上げてはいけない」というタブーなトスがありません。そのため、レシーブの返り方に関わらず、セッターは戦略的に新鍋理沙選手を使えます。新鍋理沙選手の打数が少なくても印象が強いのは、戦略的に使えるためです。また、新鍋理沙選手は竹下佳江選手のぶん投げるような低くて速い平行トスを嫌がりません。ロンドンでは、高橋みゆき選手を彷彿とさせるBクイック並みのレフト平行からのブロックアウトなど、まさに竹下佳江選手がやりたいバレーボールをしていました。本来はバックライトを打てますが、竹下佳江選手のバックライトのトスは打てなさそうです。新鍋理沙選手は低くても堅実なブロックなので、新鍋理沙選手の後ろを守る竹下佳江選手はコースを絞りやすいです。また新鍋理沙選手が後衛時には、竹下佳江選手の上を通過するスパイクのレシーブを担当します。この時にコースに入るのは苦手ですが、コースに入れれば綺麗に上げます。また、新鍋理沙選手はAパスを量産するので、セッターを楽にしています。

・表レフト
木村沙織選手とはサーブレシーブでコンビがあります。新鍋理沙選手は守備範囲が広い上に返球率も高いため、木村沙織選手の負担を軽くしています。また、新鍋理沙選手は木村沙織選手によく2段トスを上げますが、この球質は非常に打ちやすそうです。

・裏レフト
新鍋理沙選手は、タイミングがズレていれば2枚ブロックでも楽に打つため、センターは新鍋理沙選手に近づくようにブロードに走ります。そのため、裏レフトが1枚ブロックで決めるパターンが増えました。

・センター
オーソドックスなクイックやブロード囮のセミや平行はもちろんですが、さらにいくつかのパターンがあります。センターのCワイドの内側に切り込むCセミ、センターのLの内側に切り込むDセミ、センターがCワイドで新鍋理沙選手がCセミに切り込むように見せかけてライト平行まで斜めに戻るパターンです。最後のパターンは、山口舞選手の真似で、山口舞選手ほどの幅や速度はありませんが、これをこんなに短期間で完成させたのは凄いの一言です。また新鍋理沙選手が入ると、Aパスが増えてセンターの打数が増えます。

・リベロ
新鍋理沙選手はリベロ並のサーブレシーブをできます。そのため、佐野優子選手は木村沙織選手のカバーに集中できます。

背番号11番センター大友愛選手のコンビ

2012-09-27 22:14:02 | 全日本女子 コンビ
・セッター
大友愛選手は、一般的なCワイドとLだけではなく、Cワイドより少し長い位置で踏み切って空中でLに移動するパターンや、Cワイド→Lの一人時間差など、ブロード攻撃のパターンが多彩です。そのため、タイミングや長さを一定に上げられる竹下佳江選手とはトスが合います。中道瞳選手は、タイミングや長さが合えば球質が良いので打ちやすそうですが、やはり竹下佳江選手のトスほどは合っていません。これは、中道瞳選手が全日本入りしてから大友愛選手が怪我で離脱していた次期が長かったからかもしれません。大友愛選手は表センターに入ることが多く、セッターとブロックで並びます。大友愛選手のブロックは、剥がれたり、剥がれないようにすると体が流れたり、あまり上手くないです。そのため、低いセッターと並ぶとかなりの穴になってしまいます。

・表レフト
木村沙織選手の正確なサーブレシーブがあってこその大友愛選手の速攻と言えます。しかし、大友愛選手はBパスからのブロードの囮にもブロッカーを引きつけてくれるため、木村沙織選手のミスをカバーしているとも言えます。大友愛選手の不安定なブロックを抜いたスパイクのレシーブは、主に木村沙織選手が担当しています。

・裏レフト
裏レフトの選手、特に迫田さおり選手は、1枚ブロック時にはかなりの確率で決めてくれます。そのため、大友愛選手はブロードの囮で裏レフトへのマークを1枚減らしています。

・ライト
山口舞選手とはダブルブロード等のコンビがありますが、タイミング等は井上香織選手のダブルブロードよりは合っていません。大友愛選手のCワイドに2枚コミットされた際に山口舞選手がLを決めるパターンはありますが、これはLではなくライト平行でも良かったはずで、ダブルブロードをしているメリットはあまりありません。新鍋理沙選手は、2枚ブロックでクロス側のブロッカーのタイミングがズレている状況で、かなり良いスパイクを打ちます。そのため、大友愛選手は積極的にCワイドに入ってクロス側のブロッカーを遅らせてくれます。またこの動きにより、裏レフトへのブロッカーが減ります。特にロンドンの韓国戦の迫田さおり選手と新鍋理沙選手の得点にはほとんど大友愛選手が絡んでいました。

・リベロ
佐野優子選手のレシーブのおかげで大友愛選手が使えるようになります。サーブ後にはリベロ代行をします。レシーブはかなり厳しいですが、オーバーでの2段トスは打ちやすそうです。