JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

背番号4番ライト山口舞選手のコンビ

2012-09-20 12:03:00 | 全日本女子 コンビ
・セッター
山口舞選手は、一定のトスを多様に打ち分けます。空中で、トスを最も多様に打ち分けられるようなブロードジャンプをし、トスと平行に空中移動するのです。そのため、一定なトスを上げる竹下佳江選手とは良く合います。しかし、タイミング二の次で球質優先の中道瞳選手のトスは、合いません。また山口舞選手は竹下佳江選手とブロックとレシーブのコンビがあります。竹下佳江選手のブロックの後ろのカバーは完璧で、強打のレシーブもかなり上げています。山口舞選手が前衛なら、ブロックアウトを取られにくいブロックをでき、また打ちつけるコースは完全に塞がれるので、竹下佳江選手は足長スパイクかフェイントのどちらかのレシーブに集中できました。どちらに集中するかはデータを見て決められます。ただ、山口舞選手はサーブレシーブが悪いため、かなりの数のBパスを供給してしまいました。

・表レフト
木村沙織選手とはサーブレシーブでコンビがあります。かなり木村沙織選手にカバーしてもらっていました。これはもちろんネガティブなのですが、木村沙織選手がそこまでして山口舞選手のカバーに行ったということは、やはり山口舞選手にはそれを上回る何かがあったのでしょう。また、木村沙織選手とはS1で前衛で左右が逆転します。山口舞選手はレフト打ちが苦手なので、木村沙織選手にトスが集中します。またロンドンのロシア戦等は、S1で山口舞選手をサーブレシーブから外して、木村沙織選手をレフト打ち、井上香織選手と山口舞選手がライトにダブルブロードするコンビも見せました。

・裏レフト
山口舞選手がコンビに入ると、裏レフトへのブロックが確実に減ります。そのため、裏レフトにトスが集中しても山口舞選手がいるとブロックされません。

・センター
山口舞選手はセンターに絡むため、センターの決定力があってこその選手です。しかし、決定力は無くても、井上香織選手とはタイミングがばっちり合ったダブルブロードなどが出来ます。しかし、山口舞選手がサーブレシーブに入ると、センターを使えない状況が生まれることがあり、大きなジレンマになっていました。ブロックでは、センターとぴったり合った2枚ブロックを出来ます。

・リベロ
サーブレシーブが苦手で、リベロの佐野優子選手にはかなりカバーされていました。さらに、佐野優子選手のライトへの2段トスが、山口舞選手のLにぴったり合う特別仕様となっていました。これには本当に驚きました。

背番号3番セッター竹下佳江選手のコンビ

2012-09-20 11:35:28 | 全日本女子 コンビ
・表レフト
表レフトの木村沙織選手は、竹下佳江選手が一番信頼して上げられる選手でしょう。しかし、度重なるトスの速度の変更もあり、コンビを熟成させられませんでした。レフト打ちは速すぎてブロックにぶつけたり、遅いトスならタイミングが合わずに最高点で打てなかったり。バックセンターは、低すぎてトスが合いませんでした。それでも失点を最小限にとどめたのは凄いの一言です。また木村沙織選手はサーブで狙われるので、竹下佳江選手のトスの上げやすさは木村沙織選手にかかっています。

・裏レフト
江畑幸子選手は、竹下佳江選手の一定でぶん投げるような高速トスによく順応しました。迫田さおり選手は、竹下佳江選手のトスに打ち所がたくさんあるという点と迫田さおり選手に滞空力があるという点がマッチして、江畑幸子選手とは違う形で良いコンビになっていました。

・ライト
山口舞選手は、一定のトスを空中で多様に打ち分けるので、竹下佳江選手と良く合います。しかし山口舞選手には使いにくさもあり、打数は控え目でした。山口舞選手は竹下佳江選手のブロックの裏に落ちるボールなどを拾って良いコンビを見せていました。新鍋理沙選手は、竹下佳江選手の高速トスに順応できました。サーブレシーブでは、新鍋理沙選手がチーム最高のAパスを供給しています。

・センター
荒木絵里香選手はAクイックやBクイックを打ちたいでしょうが、竹下佳江選手の特性からCワイドやLでの攻撃や囮が多くなります。特性は合っていません。竹下佳江選手は荒木絵里香選手のライト攻撃も使っています。大友愛選手は、きちんと助走で先回りできれば、竹下佳江選手のCワイドやLのトスは非常によく合います。井上香織選手は、打つ段になるとトスが合わないことがありましたが、竹下佳江選手の溜めるトスのタイミングと井上香織選手のA→LやCワイド→Lの一人時間差のタイミングが合っていて、AかCワイドを打つのか、Lまで走るのか、ギリギリまで分からないコンビが出来ていました。

・リベロ
佐野優子選手は竹下佳江選手がレシーブした際にはセッターをします。そのため、竹下佳江選手はアタックライン付近にレシーブを上げて、佐野優子選手にオーバーを使うように無言のプレッシャーを与え続けましたが、伝わらなかったようです。もしオーバーを諦めるなら、もっとネット寄りに上げるべきなので、このコンビのズレは話し合いで解決してほしかったです。