JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

男子の世界標準バレーの名選手 ライト

2013-01-21 13:59:45 | 選手紹介
またまた間が空いてしまいましたが、今回は男子の世界標準バレーの優秀なライトの選手を紹介します。

・ロシアのミハイロフ選手
ミハイロフ選手は、大型のスーパーエースですが、動きは何となく小型レフトを思わせます。パワー、高さ、巧さ全てを兼ね備えていて、また打点のバリエーションがとても多様です。空中での重心移動がトスの移動と平行なため、どこで打つか分からないわけです。また、S1でのレフト打ちは、右利きなので問題ありません。ブロック技術は標準的(しかし長身なのでそびえ立ちます)、レシーブは守備免除とは思えないほど得意です。

・セルビアのミリュコビッチ選手
ミハイロフ選手と対照的に、しなやかさよりパワーを前面に押し出しているのがミリュコビッチ選手です。そのため、身長の割にはボール通過点が低く、ドシャットされるときは豪華にドシャットされます(笑)しかし、試合全体で見れば、レフトとセンターがマークされてミリュコビッチ選手には2枚ブロックが完成しないことが多いため、ブロックされない巧さよりレシーブされないパワーの方を優先しているのでしょう。S1レフト打ちも問題なしです。ミリュコビッチ選手は去年代表を引退しました。素晴らしいプレーを見られて、とても幸せでした。

・ロシアのムセルスキー選手
ロンドンの金メダリストは飛ばせませんね。ムセルスキー選手は、規格外の大きさを活かし、本来はセンターでBクイックを主体に攻めてきます。しかし、ロンドンの決勝で、2セットダウン後の第3セットから、なんとライトにコンバート。そこから、ライト平行、ライトオープン、バックライトと、高さとパワーを活かしたスパイクを怒号のように決めました。本来、Bクイックとライト打ちは、全く異なる技術です。もしかすると、ムセルスキー選手ほどの体格があれば、相対的なトス距離が短く感じられ、どこから打っても同じように感じるのかも知れませんね。

男子の世界標準バレーの名選手 センター

2013-01-12 22:41:14 | 選手紹介
男子の世界標準バレーでは、センターは、コミットしないと止められないクイックを打てること、縦Bを打てること、そしてブロックの横移動と完成が速いことが求められます。

・ロシアのムセルスキー選手
認めたくはありませんが、ここまで長身でパワーがあれば、自動的に世界ナンバーワンになるのではないでしょうか。クイックはBクイックが中心で、速さはそこまでありません。しかし、高いところで打つため、ブロッカーは速く跳ばないと止められません。これこそ、まさに高くて速いクイックの典型例です。ロシア男子の場合は、前衛の攻撃で間に合ってしまうためなかなかパイプは使いませんが、ムセルスキー選手はパイプの囮としても優秀な動きをします。また、ボールの芯をきっちりと強打できるため、レシーブで対応するのも難しいでしょう。

・セルビアのポドラスチャニン選手
ポドラスチャニン選手は、高さ・スピード・パワーを全て平均的に持っています。空中の体勢が後ろ側に倒れているのですが、これは被シャットを防ぐためと思われます。打数は少なくても、絶対に決めないといけないときに絶対に決めてくれるのが素晴らしい。さらに、後衛のパイプの場所によって、そのパイプの選手を隠すようなクイックに入ります。試合の流れの中で自分のクイックがどういった位置を占めるのかが分かっているからこそ、上記の2点が可能になります。また、レシーブが下手そうな体型ですが、センターにしてはかなり拾ってくれるのが安心です。

男子の世界標準バレーの名選手 レフト

2013-01-12 22:35:34 | 選手紹介
男子の世界標準バレーのレフトは、サーブレシーブに入り、レフトとバックセンターからの速い攻撃が仕事になります。JMの独断と偏見で、このポジションの世界最高峰の選手を紹介します。表裏は気にせず列記しますね。なぜブラジル男子からのエントリーを避けたかは、今後の記事で説明しますね。

・セルビアのニキッチ選手
小型ながら、全てのプレーで素晴らしい動き。空中で、体中の筋肉を捻って全力で打ち込むフォームから、バカバカ打ってくれます。また、崩れたトスを、レフトからチョロでブロックアウトにするのが芸術的で、あの動きを出来る男子選手は少ないでしょう。特に美しいのは、バックセンターの左寄りでサーブレシーブしてから、自分で大ジャンプのパイプを打ちにいく攻撃です。これが好きなようで、セッターのペトコビッチ選手は、ニキッチ選手がここでサーブレシーブしたら必ずパイプに上げます。良いチームですね。打ってくるコースも分かっているのに、なぜか止められない印象です。

・ポーランドのクレク選手
メンタルがちょっと…。しかし、球質が良いトスが上がれば、狙い澄ましたスパイクを打ちます。その狙いは、「ブロックのここの隙間を通して、相手の誰々の右側に強打する、そのためには空中でこの位置からトスを待ってこのタイミングで打つ」というレベルのものです。それを手首のしなやかさで実現しています。バックセンターについては、もっと本数を増やしても良いのではないでしょうか。

・アルゼンチンのコンテ選手
男子バレーで、破綻していないレフト平行では、アルゼンチンのデセッコ選手からコンテ選手へのトスが最速ではないでしょうか。高さを犠牲にしないレフト平行としては、コンテ選手が世界一な気がします。バックセンターからは、スピードもそうですが、何といっても空中移動距離が凄いです。かなりネットの近くから打ち込むため、ドシャットさえ無ければ鋭角に打てます。さらに、ライト打ちも素晴らしく、デセッコ選手のワンハンドバックトスをクイック並のテンポで強打します。このコンビは、世界でもアルゼンチン男子にしか出来ないものです。

男子の世界標準バレーその2

2013-01-06 01:11:22 | 用語解説
今回は、それぞれの攻撃を、組み立ての中で解説します。

・常に3方向から攻撃参加→ライトにはスーパーエースを配置
男子バレーでは、常にレフト・センター・ライトにアタッカーを配置することが基本的な戦略になります。そのため、ライトには、前衛後衛関係なく攻撃参加できるスーパーエース、多くは長身左利きの選手を置きます。そのため、センターはライトにブロードする必要がありません。

・「バンチ」リードブロックをレフト平行で引き裂く
男子バレーで主流なバンチリードブロックとは、3人のブロッカーが中央付近にいて(バンチ)、トスが上がってからブロックに行く(リード)ブロックシステムです。バンチを引き裂くために、サイドブロッカーさえ追い付かないような高速レフト平行が多用されます。

・バンチ「リード」ブロックをAクイックとBクイックで引き裂く
バンチを引き裂いて中央への警戒を薄めたところで、センターのAクイックやBクイックで「これはコミットしないと止められないな」と思わせます。

・引き裂いたバンチリードブロックの上から、バックセンターを打つ
真ん中でセンターのブロッカーが一人クイックにコミットする状態が作れれば、その落ち際を狙う、高速のバックセンターを使います。

・苦しい時にはスーパーエース頼り
上記はA~Bパスが前提です。それが崩れたら、ハイセットをスーパーエースに託します。

・スーパーエースも高速攻撃に参加
ハイセットしか打たないように思わせておき、A~Bパスでもスーパーエースに高速攻撃に参加させると、相手のブロッカーはかなり惑わされます。

大体のセッターは、このような組み立てを考えますが、それは相手チームも承知のこと。この組み立ては、セオリーであるがゆえに、読まれているのです。このセオリーを理解しつつ、常に意表を突けるかどうかが、セッターの腕の見せ所です。特に、縦のBクイックを使えるかどうか、また高速レフト平行とレフトへのハイセットを戦略的に使い分けられるか、がセッターの技量に関わってきます。

さらに避けて通れないのは以下。

・リベロのセカンドセッター化
セッターがレシーブした際には、アタックラインより後ろに上げて、リベロがオーバーでトスを上げます。

これは、ブラジルのセルジオ選手が第一人者です。彼が上げるパイプや縦のBクイックのトス、惚れますね!

男子の世界標準バレーその1

2013-01-06 01:10:47 | 用語解説
全日本男女ともに、2013年には新たなチーム作りが始まります。新たなチームを見据えるときに、やはり気になるのは「世界標準」を目指すのか「日本オリジナル」を目指すのか、という選択です。今回は、男子の世界標準バレー解説その1になります。

・オーダー
バックオーダーを採用します。S1に難がないチームは、前衛3枚ローテを増やすためにS1スタートになるので、
S1---------
R c ③L
①l ②C S
で試合開始になります。

S1に難があるチームは、S1ローテを減らすためにS6スタートになるので、
S6---------
①l R c
②C S ③L
が試合開始のオーダーになります。

その後は以下のようになります。

S5---------
C ①l R
S ②L ③c

S4---------
S C ①l
②L ③c R
(レフトのレシーブの左右は入れ替わることもある)

S3---------
①L S C
②c R ③l

S2---------
c ①L S
R ②l ③C

・サーブレシーブ
サーブレシーブは、常にレフトの2人とリベロが行います。S1以外は、前衛レフトが左側でレシーブ出来るように配置され、後衛2人で真ん中と右を守ります。弱いサーブに対しては、リベロと後衛レフトの2枚レシーブで対応することもあります。

表レフト…フロントレフト2ローテ、フロントライト1ローテ、バックレフト2ローテ、バックライト1ローテ
裏レフト…フロントレフト3ローテ、バックレフト1ローテ、バックセンター1ローテ、バックライト1ローテ
リベロ…バックセンター3ローテ、バックライト3ローテ

・レセプションアタックの位置
表レフト…レフト打ち2ローテ、ライト打ち1ローテ、バックセンター3ローテ
裏レフト…レフト打ち3ローテ、バックセンター3ローテ
表センター…左から走り込むクイック2ローテ、真ん中から入るクイック1ローテ、バックアタック無し
裏センター…左から張り付きクイック1ローテ、真ん中から入るクイック1ローテ、右から走り込むクイック1ローテ、バックアタック無し
ライト…レフト打ち1ローテ、ライト打ち2ローテ、バックライト3ローテ

次回は、攻撃の組み立てなどについて書きます。