JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

背番号12番ライト新鍋理沙選手のコンビ

2012-09-28 21:19:21 | 全日本女子 コンビ
・セッター
新鍋理沙選手には、「こんなトスを上げてはいけない」というタブーなトスがありません。そのため、レシーブの返り方に関わらず、セッターは戦略的に新鍋理沙選手を使えます。新鍋理沙選手の打数が少なくても印象が強いのは、戦略的に使えるためです。また、新鍋理沙選手は竹下佳江選手のぶん投げるような低くて速い平行トスを嫌がりません。ロンドンでは、高橋みゆき選手を彷彿とさせるBクイック並みのレフト平行からのブロックアウトなど、まさに竹下佳江選手がやりたいバレーボールをしていました。本来はバックライトを打てますが、竹下佳江選手のバックライトのトスは打てなさそうです。新鍋理沙選手は低くても堅実なブロックなので、新鍋理沙選手の後ろを守る竹下佳江選手はコースを絞りやすいです。また新鍋理沙選手が後衛時には、竹下佳江選手の上を通過するスパイクのレシーブを担当します。この時にコースに入るのは苦手ですが、コースに入れれば綺麗に上げます。また、新鍋理沙選手はAパスを量産するので、セッターを楽にしています。

・表レフト
木村沙織選手とはサーブレシーブでコンビがあります。新鍋理沙選手は守備範囲が広い上に返球率も高いため、木村沙織選手の負担を軽くしています。また、新鍋理沙選手は木村沙織選手によく2段トスを上げますが、この球質は非常に打ちやすそうです。

・裏レフト
新鍋理沙選手は、タイミングがズレていれば2枚ブロックでも楽に打つため、センターは新鍋理沙選手に近づくようにブロードに走ります。そのため、裏レフトが1枚ブロックで決めるパターンが増えました。

・センター
オーソドックスなクイックやブロード囮のセミや平行はもちろんですが、さらにいくつかのパターンがあります。センターのCワイドの内側に切り込むCセミ、センターのLの内側に切り込むDセミ、センターがCワイドで新鍋理沙選手がCセミに切り込むように見せかけてライト平行まで斜めに戻るパターンです。最後のパターンは、山口舞選手の真似で、山口舞選手ほどの幅や速度はありませんが、これをこんなに短期間で完成させたのは凄いの一言です。また新鍋理沙選手が入ると、Aパスが増えてセンターの打数が増えます。

・リベロ
新鍋理沙選手はリベロ並のサーブレシーブをできます。そのため、佐野優子選手は木村沙織選手のカバーに集中できます。

2 コメント

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Unknown (まりお)
2012-11-08 21:14:02
いつも楽しみにこのブログを拝見しております。
JMさんの分析は凄いと思います。
一言、狩野舞子選手は確かにオリンピックの全日本に選ばれましたが、大して出場もしていません。正直、分析は凄いと思いますが、興味も薄くもういいです。
もっと、違う選手の分析に時間をかけて欲しいです。
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まりおさん、 (JM)
2012-11-10 14:42:18
コメントありがとうございます。

私の問題意識は、まりおさんの問題意識とほとんど同じだと思います。つまり、なぜほとんどコートに立たない選手が12人のメンバーに選ばれたのか、という点です。これは、狩野舞子選手が不要品だったか宝の持ち腐れだったことの現れですが、不要品と宝の持ち腐れでは意味が全く異なります。

ネット上では、十分な分析無しに狩野舞子選手を不要品だとか宝の持ち腐れだと断定する方がいらっしゃり、私は狩野舞子選手の名誉のためにもその風潮を断ち切りたいと考えているのです。そのためにも、狩野舞子選手のパフォーマンスを数値的に正当に評価していくことが重要だと考えています。最終的には、狩野舞子選手にはセンターサーブ時のピンチサーバーor竹下佳江選手のワンブロとして活躍して勝利に貢献できる余地があったことをデータから明らかにし、狩野舞子選手への応援記事で連載を締めくくりたいと思います。

もうしばらくは狩野舞子選手2枚替えの分析をし、その後狩野舞子選手のサーブ効果率とつなぎについて分析するため、他の選手の分析は数週間先になってしまうでしょう。それまでお待ちいただければと思います。その後は、全日本の複雑なコンビが本当に効果的かどうか、キューバ女子のシンクロ攻撃はどうして効果的なのか、等々の連載や、Vリーグの観戦記も考えています。お楽しみに!
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