JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

男子の世界標準バレーは時代遅れ!

2013-03-21 00:18:27 | 用語解説
挑戦的な記事タイトルですが、是非最後までお読みください。

男子の世界標準バレーは、日本から見れば最先端のバレーに見えます。全日本男子は、特に山本隆弘選手の全日本復帰後からは、世界標準バレーを目指したチーム作りが行われています。左利きにこだわったスーパーエース山本隆弘選手や清水邦広選手の選出、サイドへのトスが速い宇佐美大輔選手の選出、身長は無くても速いトスが打てる越川優選手や福澤達哉選手の選出など、メンバーも世界標準バレーを意識した登録になっています。そんな中、北京では、旧世代バレーにフラッと回帰したりしましたが、北京後はまた世界標準バレーにシフト。しかし、追いかけても追いかけても追い付かず、強豪との差が広がるばかりで、ロンドンの出場権を逃しました。

では、その強豪は一体どんなバレーをしているのでしょうか?実は、強豪チームにとっては、既に世界標準バレーは目標ではなく出発点。いかに世界標準バレーを土台として、各チームのオリジナリティを出すかが勝負の分かれ目になっています。例えばスーパーエースのサーブレシーブ参加。例えばスーパーエースとレフトの後衛でのポジションチェンジ。例えば遅いクイック。例えばセンターからのバッククイックとライトからのパイプ。それにCクイックやDクイック。さらにブロードもどきまで。これは、全て世界の強豪チームが取り入れ、得点源にしているプレーです。

世界標準バレーとは相容れない単語が並びましたね。ブロードなんて、女子とタイ男子だけと思っていたら大間違い。強豪が似たことをやっているのです。では、次回記事からは強豪チームを1つずつ取り上げ、それぞれのチームがどんな驚きのバレーを展開しているかを明らかにしていきます。強豪と言えるかは別として、日本のトップチームについても取り上げますので、お楽しみに。

この連載の中に、全日本男子復活のヒントが隠されているはずです。

2 コメント

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女子まで男子の標準を目標にしてどうするのだろう (trefoglinefan)
2013-03-23 01:12:38
 スポーツの技術は常に進化してバレーも例外ではないと思います。それなのにファンの方は世界標準とずれていたら、それだけでそれを理由に弱いと決め込んでいたりします。そもそも体格に劣る日本人が世界標準とやらを目標にしたら、その時点で他国を超える要素がなくなってしまうのに、そのことをどう思っておられるのかさっぱり分かりません。やはり日本はオリジナリティで勝負するしかないですよね。
 それでその世界標準とやら、女子までそれに近づくように妄想を抱いているファンが多いですよね。女子が男子に近づくことが強化の近道だと思っておられるのでしょうか。
 正直世界標準に近いかどうかでしか優劣を見分けるファンにうんざりしていたところ、実に痛快な記事を載せて頂いたと思っております。
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trefoglinefanさん、 (JM)
2013-03-23 02:16:01
コメントありがとうございます。

本当におっしゃる通りで、世界標準バレーを神格化することの意義が分かりませんよね。もちろん世界的に成功した戦術ですから大いに参考になり、取り入れるべき部分は多いです。しかし、全日本男子は「学び、理解し、自分たちに応用する」のではなく「一部を切り出し、ストップウォッチで数値化し、数字の真似事をする」という状態です。これでは知らない外国語で物真似をするのと同じで、歪なものが出来上がってしまいます。

私としては、世界標準バレーの中で盲目的に全日本男子が取り入れるべきなのは、
・リベロのセカンドセッター化
・綿密なサーブ戦術
等の、体格の影響を受けにくい項目に絞るべきだと思っています。その他については、盲目的には受け入れられません。もちろん、きちんと検証し、実践し、結果がでた項目については、これ以外でも受け入れます。

女子が男子の世界標準に近付くかどうか、非常に難しい問いですね。スーパーエースを置き、センターはブロードしない、という男子化の傾向は、最近よく見られます。しかし、ロンドン決勝では、ブラジル女子のスーパーエースのシェイラ選手の調子が上がらない中、センターのファビアナ選手の意外性のあるブロードが効果的でしたし、ワクフバンクでも、ブラコチェビッチ選手のバックライトよりフュルスト選手のブロードを選択するシーンが目立ちました。体格に勝る欧米や南米のチームでさえ、完全な男子化には至っていませんから、それを全日本女子が現時点で目指すのは、いささか無理があるかと思います。山口舞選手のようなオリジナルの動きの選手を使ったり、新鍋理沙選手で平凡バレーをするように見せかけておいてメダルマッチでポジションを変えて見せたり、そういった意表を突き続けてロンドンでメダルを獲得したノウハウを、今後にも活かして欲しいなと思っています。

全日本男子にしろ女子にしろ、世界が脱世界標準バレーに傾いている今こそ、次世代の戦術を先回りして開発するチャンスです。主要大会がない2013年に、勝ち負けには拘らずに様々な可能性を見せてもらえると嬉しいです。

これからも連載を続ける中で、本当にびっくりするような強豪たちの工夫をご紹介しますので、是非またご意見をお願いいたします。
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