JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 ロンドンロシア戦

2012-11-28 14:16:20 | メディア注目選手のその後
ロンドンのロシア戦では、山口舞選手がライトスタメンに入り、第三セット途中から新鍋理沙選手がコートインしました。日本は第三セットを取ったものの、3-1で負けてしまいました。この試合についても、得点-失点数を計算してみましょう。

第一セット
1回目の前衛2枚ローテ 5得点3失点→+2点
2回目の前衛2枚ローテ 5得点6失点→-1点
2枚替えローテ(0.5ローテで終了) 0得点2失点→-2点で、これが3ローテ続けば-12点

第二セット
前衛2枚ローテ 4得点6失点→-2点
2枚替えローテ(0.5ローテで終了) 0得点6失点→-6点で、これが3ローテ続けば-30点

第三セット
2枚替えなし

第四セット
2枚替えなし

この計算から、2枚替えは第一セットでは-12.5点、第二セットでは-28点もの悪影響を及ぼしたことが分かります。これは大失敗です。第一セットは25-25からの2枚替えで2連続失点しました。2枚替えが直接の敗因となったと言えます。第二セットでは、14-18とリードされてからの2枚替えでしたが、この程度の点差を追い上げるシーンもあったので、第二セットの負けを決定づけたのは2枚替えと言えます。

そもそも、この試合で前衛2枚ローテはピンチだったのでしょうか。前衛2枚ローテの得点-失点数は、第一セットでは+2点と-1点、第二セットでは-2点、第三セットでは+2点、第四セットでは+1点でした。これを平均すると、+0.4点です。つまり、試合全体では前衛2枚ローテでは日本が得点を伸ばしていて、前衛2枚ローテはピンチローテではなくチャンスローテでした。そのチャンスローテに、スパイク効果率がマイナスの狩野舞子選手とセカンドセッターの中道瞳選手を入れてチャンスを潰した、それがこの試合の敗因です。そればかりか、ピンチローテとなった前衛3枚ローテで、井上香織選手を荒木絵里香選手に替えるなど、他にすべき交替がありました。それをしにくかったのは、2枚替えで4枚の交替枠を確保しなければならなかったからでしょう。

勝った第三セットでは、狩野舞子選手は井上香織選手に替えてピンサで入り、第三セットでは狩野舞子選手のナイスサーブとナイスディグで3連続得点がありました。また、第三セットでは2枚替えしなかったためにライト同士の交替も出来ました。2枚替えで入れば試合を壊し、ピンサで入れば勝利に貢献できる、これが狩野舞子選手の真の実力です。

狩野舞子選手2枚替え分析 ロンドンドミニカ戦

2012-11-23 15:18:32 | メディア注目選手のその後
ちょっと時間が空いてしまいました。その間、木村沙織選手のトルコでの動向や、栗原恵選手の清々しい笑顔など、バレーボールではいろいろとニュースがありました。ここからはペースを上げて今の連載を続けようと思います。

では、ロンドンのドミニカ戦についても、前衛2枚ローテと2枚替えローテでの得点-失点数を計算してみましょう。この試合は山口舞選手がライトスタメンだったので、出来れば2枚替えに機能してほしいところでした。

第一セット
1回目の前衛2枚ローテ 3得点3失点→±0点
2回目の前衛2枚ローテ 7得点3失点→+4点
2枚替えローテ(1ローテ半で終了) 3得点1失点→+2点で、これが3ローテ続けば+4点

第二セット
1回目の前衛2枚ローテ 5得点5失点→±0点
2回目の前衛2枚ローテ 6得点3失点→+3点
2枚替えローテ(半ローテで終了) 1得点0失点→+1点で、これが3ローテ続けば+6点

第三セット
日本が2枚替えした時にドミニカも2枚替えしたので、比較不可能。

このように見ると、第一セットは+2点、第二セットは+3点、それぞれ2枚替えにより得点したと言えます。ドニミカはもともと負けていると終盤に崩れるため、実質的には+1点か+2点くらいの効果でしょうが、これは一応2枚替えの最低条件は満たしていますね。

第三セットは、相手も2枚替えしたので比較はできません。しかし、第三セットでは2枚替えが機能せず、途中で2枚替えを戻してしまいました。この2枚替えは言うまでもなく失敗です。4回の交替枠を使って、さらに連続失点ですから。第三セットは、一部で、山口舞選手を新鍋理沙選手に交替した方が良いように見えたローテもありました。結果論ではありますが、
・山口舞選手を後衛で新鍋理彩選手に替える
・中道瞳選手を表センターサーブ時にピンサ
・中道瞳選手ピンサ時に竹下佳江選手にワンブロ
・狩野舞子選手を裏センターサーブ時にピンサ
という4つの交替から3つを選んで行った方が良かったのではないでしょうか。

ということで、ドミニカ戦は第一セットと第二は2枚替えが機能したものの、第三セットでは機能しなかったことが分かりました。