福祉タクシー二郎丸

下関市で福祉(介護)タクシーをやってます❣オーナーは新.中.自動車販売・整備・レンタカーをやっている会社です。

勉強はいつやっても遅いことはない。

2021年11月20日 | 日記

 ここ数日気持ち的にblogの記事アップに進めなかった。 10日ほど前の事なのだが、いつも親しくさせてもらってる同業の△△介護タクシーさんから「 今大変忙しくて〇〇病院で待ってもらってるお客さんの迎えが1時間ほど掛かりそうなので代わりに行ってもらえないですか?」との依頼があった。私もたまにお願いすることがあるので、気持ちよくお受けすることにして、「ご自宅の場所の説明が難しいので、奥さんに尋ねてください。階段を降りるちょっと大変な状況なんですがお願いします。」と言われ、一瞬(大変な状況…⁉…どんなところだろう…)考えてしまった。

 待っていただいてたお客さんに「どうもお待たせしました。△△さんの代理でお迎えに参りました ❣」お客さんは「いやいやご苦労さんです。ごめんなさいね。診察が長かったので早く帰って休みたいのですみませんね。」と気持ちよく私の持参した車イスに乗り換えて頂いた。「お住まいは?」「うん、A町の第三幼稚園が有ったすぐ横なんだけど、軽自動車でギリギリなんだけどいいかなぁ…」長年運転の仕事に携わっているので「先で方向転換さえ出来れば問題ないですよ。さあ行きましょう ❣」実は私が小学校三年生の頃までこの近くに住んでいた場所なのでそれほど不安はなかった。(その考えが甘かったと気づくのに時間は大してかからなかったのである…💦)

 道路幅は2.5m程度、上り坂の急鋭角を曲がると道路幅は1.8mほどになり、右側がガードレールもなく崖となっていて20mくらい進むと2m下に畑の跡らしき空き地が見えてきた。「ここに停めて。その下の家がうちだよ。」坂と空き地の間には、仮付けのような石を四角く切って寄せ集めて重ねただけの階段がある。車から車イスを降ろして「この階段は歩いて降りますね?」「いいえ、△△さんは車イスに乗ったまま降ろしてくれますからお願いしますね。」…  「ええ ❣ここをですか?」(そんなバカなぁ💦)

             

 車イスで階段を降りる場合は、通常2名以上で前向きにやるのが正しい。(下図参照)

                

 しかし、奥さんに前輪側を支えてもらおうと声をかけても家の中に入ってしまって出て来ない…💦 △△さんは車イスの取り扱いに関してはピカイチの人であることはかなり有名であって、補助者なしで階段を降ろせる人は市内はもちろん他の地域でも聞いたことがない。同業者によっては階段の上がり降りがある場合は徒歩でなければお断りするものも有るらしい。

             

 しばらく悩んだ末、階段ではなく1段の段差なら後ろ向きで降りる場合も有るので、前輪がガチャンと当たるけどお客さんを落としては大変なことになると思い「前のタイヤが時々階段に当たってガチャンガチャンとなるので申し訳ないですが後ろ向きでさせてください。」と言って一段、二段、とゆっくり降りて行けた。しかしこの階段は、デコボコがある上に階段の幅が下に行くほど狭くなっていて一番下の階段は元々有ったであろう石がなくなっていて横幅も短くなっていたのであった。私は上から見て確認はしていたのだが、一番下から2段上の時に少しバランスを崩しそうになって、欠けているその最後の段に片足を置こうとしてしまった。

 「あああ~」…… 言うまでもない。お客さんと一緒に車イスごと真横に転倒してしまった ❣❣❣ 

慌ててお客さんを起こしていると、近所の方が「ああ~、なんてことよ ❣ 奥さんはどうして手伝わないの?ここを一人で降ろすなんて無茶よ。」といって起こすのを手伝って頂いた。ご本人は疲れているのもあって「いいよ、いいよ。これくらい心配ないよ。気にしなさんな。」と言っては下さるものの、手首を擦って少し血が出ているのである。「これはいけない‼ すぐ治療に行きましょう。」「いいって、いいって後からテープ巻いておくから、早く家にお願いしますよ。」ようやくベッドまで着いたらそのまま横になってしまわれた。奥さんから「眠たがっているからいいから帰っていいよ。気にしないでね。」

 私は気が動転していたのではないが、そのあと車に戻って(このまま帰って良いのか?何かしなければならないのではないのか?)と自問自答しながら発車させた。しかし悪い時には悪いことが重なるもので、その日は昼から雨が降っていて道路もかなり濡れていた。たまたま車から降りる時に雨がやんでいたのであった。狭い道を進めてT字路に来て方向転換しようとするが、かなりの坂になっているのもあり、スリップして動けない。20回くらいやってみても全然動けないので、諦めて来た道をずっとバックで下がって行った。途中何度か切り返しして30分は掛かっていたと思う。事務所に戻って△△さんに電話で報告し、これからの対応を相談してみた。「お願いしたこちらも悪いので、とにかく明日まで待ちましょう。ケアマネに尋ねてみますから、その返事によって考えましょうよ。」とのことでその日は帰宅した。だがその夜は心配で布団に入ってもほとんど眠れなかった。   

              

 翌日連絡があり、出血が止まらないので今日病院に行くと言ってたとのこと。(これは賠償ものになるか ❣ どうしよう。このうわさが広まるとお客さんの口コミで商売もダメになるのでは…

 この日は朝から終日仕事に身が入らない…。とにかく仕事は丁寧にかつ慎重にと自分に言い聞かせて行動した。夕方△△さんから電話あり「検査してみたら骨折もなく、身体に異常もなく傷口の処置だけで済んだらしいよ。良かったね。」しかしまだ安心はできないと思い、お年寄りに喜ばれそうな和菓子を買い求め、若干の治療代の名目でお見舞いを包みご自宅を訪問した。

 「わざわざありがとうね。そんなに心配しないでよかったのに、△△さんの依頼で来たあなたこそ不運だったねぇ。いつかあなたにお世話になることもあると思うので、その時はよろしくね。」とお怪我をされていたご主人さんも笑顔で手を振ってくださった。

 ああ、良かった。 この二日間は生きた心地がしなかった。 

その後、△△さんからは介護タクシーをやるからにはしっかりと勉強をしていかないとならない。自分で車イスに乗って患者の立場をやってみなさい。なんなら私が車イスに乗ってあげるから階段の上がり降りの練習をしなさい。自分のしようとしてることは間違っていないのかを常に考えながら動きなさい。この仕事はそんなに簡単なものではなく大変なのに利益は少ない。などと厳しく、しかし私に気を使われながらお叱りを頂いた。

 自分は今までこの仕事は長く経験があるのでと、うぬぼれていたなぁ…。正しい経験なら良いが、間違った経験など何の意味もない。つくづく反省の一週間であった。然るに、blogのアップには到底気がいかなかったのである。



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