
東急がかつて、溝の口から先の人煙稀な (?) 山里が果てしなく広がる多摩丘陵に突如複線の鉄道を建設し、田園都市線として開業させてから早くも45年。3450形の2連が広漠たる丘陵地に釣掛の雄叫びを響かせながら駆け抜けていたという、まさに隔世の感がある当時の模様はRP誌の東急増刊号からもうかがい知ることが出来ますが、以来田園都市線はつくし野→すずかけ台→つきみ野と終点を延ばすとともに、破竹の勢いで進んだニュータウン開発によって利用者数も激増し、今や押しも押されぬ沿線不動産人気路線としての名誉と首都圏最混雑路線の一つとしての悪名の両方を受けて今日に至っています。
そんな田園都市線は同時に、小田急(とくに江ノ島線)沿線住民にとっても、中央林間から都心へ座って通える有難いバイパス路線でもあり、8500系急行の猛烈にダイナミックな走りを堪能しながら都内との間を往復出来るという点で、今や趣味的にも最高にアツい存在として注目を集めていることは多言を要しないでしょう。1984年春に田園都市線が中央林間まで全通した際 (中央林間駅の構造は、さらに延伸を考慮したものになっていますが、恐らくその可能性は低いでしょう)、東急と小田急は合同で、東急デハ8501と小田急クハ8251を券面に印刷したD型硬券の「連絡運輸開始記念切符」を主要駅で発売したものですが、とりあえず青葉台で発売されたバージョンをゲットするために国道246号線をチャリで飛ばしたのも懐かしい思い出です (→電車賃が勿体ない貧乏中学生だったもので。^^;)。また、そのついでに恩田の工場にも初めて寄り道し、入換用の怪しい車両陣 (当時は詳しい形式名を知らない……^^;;) がゴロゴロしている光景に驚嘆したものです……(遠い目)。

そして……時の流れは早いもので、溝の口~長津田間の開業から45年、中央林間までの全通からも27年が経過し、車両も3450・5000・7000・7200といった中型車から8500とメトロ8000の天下へと移り変わり、さらに今や新5000の大増殖や東武50050の「東武田園都市線」状態な運用によって8500の立場が大幅に狭まっているなど、一見すると未だに「新線」というイメージを抱いてしまいがちな田園都市線にも既に「歴史」が相当降り積もっていることを痛感します。しかし誰が何と言おうと、「田園都市線を最も代表する車両は8500系である」ということは、恐らく多くの愛好家の共通認識なのではないでしょうか (個人のゲリラ放送ブログにつき、「走るんです」派の反論は受け付けません。笑)。
何とも嬉しいことに、実は東急社内でも同じ認識であったようで……このたび8606Fに田園都市線 (溝の口~長津田) 開通45周年記念HMの貼付が始まったのは、誠に東急ファンのはしくれとして快哉を叫ばずにはいられない一大慶事です♪♪ バンザーイ!!\(^O^)/ しかも8606Fといえば……今や8500系唯一の幕装備・スカート無し編成であり、2006年、そして今年の2度にわたって奇跡の検査入場を果たし、とくにインドネシアに渡った同僚たちとは全く対照的に登場時の姿を大略そのまま保っているという神秘的な存在!! 主な変更点は正面のHゴム色と内装程度でしょうか? そんな、検査上がり立てでピカピカな8606FがHMを掲げている姿は、東急から東急ファンへの最高の贈り物と呼ばずして一体何なのでしょうか?! (*^O^*) 本来であれば、開業45周年に合わせて4月にHMを出す予定だったのかも知れませんが、掲出時期がこの夏に延びたのは恐らく震災の影響でしょうか? (HMには「がんばろう!日本」の文言が入っています)
あるいは今回のHMは、副都心線直通準備が終了したのち再開されると思われる5000系新造・8500系大量廃車を控えた前夜祭のようなものかも知れません。しかし少なくとも、8606Fの検査期限まであと3~4年あるわけで、それまでのあいだ事実上の8500系非軽量鋼体車さよなら運転を兼ねた様々なHM企画が展開される可能性もあるでしょう (東横線と同様のさよなら運転は、相互乗り入れの形態や沿線撮影地の少なさからして難しいでしょう)。一ファンとしては、そのことに熱く期待せずにはいられません☆