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地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

加悦谷から福知山へ・廃線沿いのバス旅

2010-12-07 00:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 今回の加悦SL広場訪問にあたっては、京都から往復する途中のアプローチも楽しみの一つでありましたが、とりわけ列車を降りてからSL広場に至り再び列車に乗るまでのバスの旅は、単に非日常と呼ぶにとどまらず訪問の成否を占う最もキモな部分! と申しますのも、加悦鉄道なき現在、自家用車を除くSL広場までの唯一の公共交通である丹後海陸交通バス(丹海バス)はただでさえ本数が少ないだけでなく、地方の公共交通がもっぱら通学用や通院用に特化して廃れつつあるという遺憾な現実を露骨に反映して、土曜休日運休または「通学日のみ運転」という便が余りにも多過ぎ……。したがって、土曜休日に鉄道を使って加悦SL広場を訪問するためには、辛うじて毎日運転されている午後のバスを用いるか(現地滞在時間は自ずと制約されますが、まぁ致し方ないでしょう……)、野田川駅からタクシー (辛うじて常駐しているようです)・レンタサイクルを用いるかのいずれかとなるでしょう。しかし、今回の私の場合は、平日の出張ついでを活用できたものの (とゆーか、用務先の京都から足を伸ばしすぎだろう、と ^^;)、夕方の用務本番までには京都に戻って来なければならず、もしバスの選択を誤ったり乗り遅れたりした場合には、SL広場滞在時間がロクになくなるか用務に遅れるかの破滅的な事態が想定されました。
 そこで、全国時刻表と丹海バス公式HPの時刻表をじ~っと睨みつつ、往路は「京都→たんご1号→福知山1013→鉱山口 (SL広場最寄) 1103」、復路は「鉱山口1250または1403→野田川→北近畿タンゴ鉄道→京都」というコースを選択したのですが、往路の福知山駅での接続は「たんご1号」が踏切非常ボタン作動により遅れたため破産し (T_T)、次善の策として練っていた「福知山→北近畿タンゴ鉄道→野田川1203→鉱山口1231」「鉱山口1412→福知山1506→京都」というコースに変更~。かくして、加悦SL広場の滞在時間は減ってしまったのですが、とりあえず綱渡り的な乗り継ぎがうまく行っただけでも御の字かも知れませんし、後で考えてもみればバスを「南→北」方向ではなく「北→南」方向に利用したために到着するバスを順光で撮ることも出来ましたので、まいっか……と (^^;



 というわけで、まずは一瞬で終わってしまった「タンゴディスカバリー61号」の旅ののち、野田川から与謝行きバスに乗車! このバスは天橋立を見下ろす傘松ケーブル乗り場が始発ですので、野田川駅では客を拾ってすぐに発車となり、停車中のシーンをのんびり撮る余裕はありませんが、駅に入って来るシーン (1枚目) を望遠レンズで激写! しかしまぁ……今や地方のローカルバスもこんな最新型のボディーになっているのですなぁ……。モノコックバスは最早望めないとしても、せめて二段窓車で来て欲しいものですが (苦笑)。車内は真っ昼間につき御多分に漏れず空いており (病院帰りと思しき老婦人が2~3人乗っていたのみ……)、最前部の「ヲタシート」は余裕で確保できましたが、シートピッチが狭過ぎ……(-_-;;)。
 さて、宮津線の踏切を渡ったバスは、今やサイクリングロードとなった加悦鉄道の廃線を左に望みながらのんびりと加悦谷へと分け入って行きますが、道の両側にはひたすら立派な作りの旧家が続き、丹後ちりめんの生産で栄えた往時を偲ぶのに十分な光景が広がっているのにはとにかく驚かされます。鉄道はこの街並みの外側を申し訳程度に走っていたわけで……確かに国鉄車扱貨物の大削減で岩滝専用線の命脈が絶たれ貨物収入が激減すれば、朝夕の通学輸送がメインの小さな鉄道を残すよりも街の中を走るバスに注力した方が良いよなぁ……と思わざるを得なかったのでした (汗)。その後バスは旧加悦町の中心街に入り、一旦WillというSCに乗り入れますが(バス停名が「ウイル」で、アナウンス時には「U・I・Ru」とはっきり発音していたのが少々トホホ ^^;) 乗降客は全くなく、その後は恐らく加悦駅跡地を利用したと思われる旧加悦町役場(与謝野町役場加悦支所)にて小休止。加悦駅の駅舎が見事な状態で保存されているのを眺めることが出来ます。




 ここを出発すると程なくして目指す「鉱山口」に到着~♪ 目指すSL広場は進行方向左側(方角は東側)の道に入って約5分です。
 帰りは福知山行きのバスに乗り、まずはいきなりハイライトの与謝峠越えへ! 区間運転バスの折り返し点である与謝を過ぎますと道は急勾配となりますが、福知山と加悦谷を結ぶメインルートにつき立派な道で、決して狭隘路ということはありません。しばらく必死に登ると間もなく……眼下にはのびやかで美しい加悦谷の大パノラマが!! SL広場の楽しいひとときの記憶が既に脳裏にあるだけに、なおさら深い感動がこみ上げてきます! ホント、この大展望は是非SL広場をバスで訪れる方に味わって頂きたいものです…… 
 その後は峠を越えてしばらく西武秩父線沿線や奥多摩最奥部のような風景の山村をつなぐように30分ほど進みますと、宮福線の高架橋が現れて一気に風景が開けます。由良川の雄大な流れの片隅に……よく見ると北丹鉄道の遺構が! 北丹鉄道は、洪水に悩まされながら青息吐息の経営を続け、ついに今から約40年前に潰えた超ローカル線ですが、その跡に寄り添うこのバスは、加悦鉄道から北丹鉄道へ、まさに二つの廃線を結ぶ意義深い路線だったのでした……。
 こうして鉱山口から約1時間の旅を終えて福知山駅前に到着~。また季節を変えて乗ってみたい、心に残る小さなバスの旅でありました……。これ以上減便されないことを切に祈るばかりです。