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地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

バンコク近郊大周遊 (6) メークロン線路市場

2013-09-18 00:00:00 | タイの鉄道


 相当ヤバ過ぎる列車の揺れに半分恐怖を感じ、そしてもう半分は「ヤバ過ぎるほど面白れぇ!」と感じつつ、バーンレームから揺られること約80分。ついにハイウェイの高架をくぐり、俗世に戻って来たと思い知らされる間もなく、線路の両側には民家が増え始め……そしてぬをををっ!線路の両側がテントだらけになり、その下には人人人! こうして、世に名高いメークロンの線路市場に突入!! 駅に近づき最徐行になった頃には、列車のスレスレ数cmの位置に、コンデジやらスマホやらを構えた観光客がビッシリと建ち並び、むしろ線路市場そのものよりも、観光客多過ぎ!な現実の方がオドロキです (滝汗)。



 というわけで、屋根付きのメークロン駅に列車が到着すると、下車する観光客とこれから乗る観光客が互いに目を血走らせて記念写真だ!席取りだ!と狂奔する地獄絵図が展開しまくったわけですが、到着の時点で既にバーンレーム行の発車時刻を過ぎている以上、何時発車ベルが鳴るか見当もつきません。そんな中、何時までもこんな喧噪に付き合っていますと、肝心要の線路市場走行シーンを撮影出来なくなってしまいますので、速攻で人をかき分けつつ線路市場へ! ……しかし、余りにも地元客・観光客が多過ぎ、ちっとも前へは進めない……。そうこうしているうちについに発車予告放送が入り、商店主の皆様はおもむろにテントを畳み、商品を置く台をゴロゴロと店舗側に押して準備完了! 発車ベルが鳴り響いた後、線路市場にいる全ての人々の視線が、黄色い旧塗装顔のTHN系に向けられ、ついに私の僅か数cm脇を通過して行きました……! いや~結構コワイ (笑→私自身が接近し過ぎ ^^;)。しかし、呆気にとられるわけには行きません。通過直後、テントが畳まれる前に速攻後追い! この1~2秒後にはワラワラとテントがDCの顔にかぶって行き、いつの間にか元の線路市場に戻って行ったのでした……。
 こんな感じで、まぁ観光客が多過ぎながらもメークロンの線路市場を楽しんだ後は、駅構内の屋台でバーミー・ナムをすすり、事前にGoogle Mapで調べた通りに商店街を歩いて別のところに向かったのでした。(つづく)


 線路脇には、文明礼貌の気品あふれ、ちょんふぁ民族の偉大なる復興とソフトパワーを一人一人が民間大使として体現した (こんちゃん党機関紙れんみんりーぱお風表現。爆) オラン・チナ観光客がびっしり (@o@ 車内から撮影)
 つーか、○ゲオヤジが構えているデジカメ、レンズフードの位置が90度違くねーか?……というわけで、成○観光客に最新日本製品は「○に小判」状態?! 単にこのデジカメはボディを横長で構えると縦位置画像になるのがデフォ、ということなのかも知れませんが……(そんなのあるのか?)。私自身が最近のデジカメ事情に対する無知を晒しているのかも (汗)。



 一見すると超テキトーな光景かも知れませんが、何が何でもコンデジで通過シーンを撮ってやる!と息巻く観光客と、通過したら速攻でテントを下げて商売再開!と身構える商売人で、何とも言い様のない強烈な緊張感が漂う……という点で、実は極めて不可思議な光景でもあります (汗)。

バンコク近郊大周遊 (5) メークロン行DC到着!

2013-09-11 00:00:00 | タイの鉄道


 タイ国鉄メークロン線では先日、バンコク側の起点であるウォンウィエンヤイ駅の次にあたるタラート・プルー駅にて列車が脱線し、タマ数が少なく貴重なエアコン付き2等車の屋根がホーム上屋の屋根にめり込みまくったとか……(T_T)。その一因は、整備状態最悪な線路にあり、線路の凹みで激しくバウンドした列車が脱線し屋根に衝突したためとか。実際にメークロン線の揺れは、バンコク側(マハーチャイ線)でも相当のものがありますので、線路・枕木交換の一刻も早い推進を期待したいものですが、補助金頼みのタイ国鉄にそんな体力があるのかどうか……。
 さらに、川を渡ったバーンレームから終点のメークロンまでは、さらに驚愕の線路状態……というわけで、今日はその上を列車が走るシーンをアップしてみます。
 この区間は1日4往復という超過疎ダイヤであり、もっぱら地元の少数の買い物&行商客と、物好きな観光客のために運行されている保存鉄道的な存在としか言い様がありません (苦笑)。そんなメークロン行の2本目は時刻表上10時10分発ということで、折角なので乗るついでに是非、限りなく併用軌道に近い雰囲気のヘロヘロな線路をTHN系DCがガタガタ揺れながら迫って来る光景を撮ろうと思いまして、約20分以上前から綿密に立ち位置を検討し、今か今かと待ち構えていたのですが……到着予定の10時を過ぎても全然来ねぇ……(鬱)。3月のバンコク近郊は暑季真っ盛りに突入ということで、頭上から情け容赦なく鬼のような直射日光が照りつける中、逃げ場らしい逃げ場の日陰もなく、じっと「その時」を待つしかありません。しかし……20数分遅れになった頃からイイ加減「まさか突然故障して運休では?」という焦りが募ります……。
 とはいえ、それは杞憂で済み、何と約40分遅れでようやく2連がノソノソと登場!! 今にも脱線しそうなデンジャラス軌道を重い20m車がやっとこさ走る光景……これこそ「激濃ディープ終わってる系鉄道趣味」 (何じゃそりゃ) の真髄です♪



 というわけで、背景の寺院との組み合わせをGoodな感じで後追い撮影した後は、恐らく折り返し時間が極めて少ないだろうと思い、猛ダッシュでバーンレーム駅へ。すると驚くべきことに、ホーム上は外国人観光客がウジャウジャ!! (@o@;;) ドッヒャー!停止位置次第では完全にヤツ等とのボックスシート争奪戦に敗北してしまう……。しかし幸いなことに、列車は彼らが雲集していた駅事務室・売店周辺よりも大分手前で停車し、幸いにしてドアの前に一番乗り♪ ドアボタンを押して速攻でボックスシートを占拠し目出度し目出度し……(笑)。懸念された座席争奪戦も、大体1グループが1ボックスまたはロングシート1列を占拠するようなかたちで自然に収拾し、いざメークロンへ出発です! 見たところ、如何にもロンプラで情報をゲットしましたという風情の白人観光客が約半分、如何にも成金風情な中国人観光客が約半分、そして地元客がちらほら……といったところでしょうか。
 それはさておき、メークロン線・メークロン側の最大の見どころは、どこまでも長閑~な農村、マングローブ生い茂る湿地帯、そして塩田の眺めもさることながら、圧倒的にヤバ過ぎる線路状態そのものであるのかも知れません。マハーチャイ線に乗っただけでも、かなりひどい縦揺れ・横揺れに仰天しまくりでしたが (それでも飛ばすところは時速50~60kmくらい出ます。確かワット・サイ駅の手前だったでしょうか、運河を渡る際に鉄橋とアプローチ部の線路の接合状態が悪いためか、思いっきりガコォォォン!と車体が上下に揺れ、そのままGがかかって運河に転落するのではないか……と肝を潰しそうになるシーンもありました)、メークロン側はもっとひどい……。とにかく荒波の上を列車で揺られている、という表現がぴったりなほどギシギシガガガと揺れ放題! そして……マングローブの湿原と道床の境目がほとんど判然とせず、雨期になれば少々の雨量でも間違いなく冠水しまくりだな……と思われる区間が結構長く続きます (というわけで、恐らくメークロン線は雨期になると水中列車状態になるはず。水中列車といえば、You Tube上のフィリピン国鉄動画が余りにも有名ですが、ここも負けないくらいスゴいことでしょう……滝汗)。したがって、薄っぺらなバラストの下も自ずと湿気を帯びてフカフカな状態であるわけで、当然のことながら最徐行せざるを得ません。
 そこで、列車は別に特定の駅で長時間停車するわけでもなく、ひたすら前進し続けているにもかかわらず、次第に遅れが拡大しまくり……。時刻表上ではバーンレームからメークロンまで1時間ですが、結局80分近くかかりました。なるほど……そもそも時刻表がメークロン線の軌道状態の現実を反映せず、片道を走るごとに20分以上遅れるということで、メークロンからの列車が約40分遅れでやって来たのは当然ということになりますな (滝汗)。
 抜本的な対策は、大胆に設備投資=保線工事を実施して道床を嵩上げし、レールを太くすることしかないでしょう (THN系そのものは軽く時速110~120km程度出ます)。しかしメークロン線の運賃は、ウォンウィエン・ヤイからメークロンまで全線乗ってたったの20バーツという激安さ。しかも普通列車の3等車運賃は、補助金によりタイ国民無料とか何とか……(途中駅で撮り鉄した際、窓口に無料切符が大量に積まれており、余程「オレもこれで乗って良いのか……?」という誘惑に駆られました。まぁ信号扱いをしていた駅員に「オレは外国人なので切符売って下せぇ」と申し出て有料の切符を売ってもらいましたが)。これでは、超零細なローカル線の保線費用を容易には捻出できないでしょう。今回タラート・プルーで起きた事故は、車両屋根がホーム上屋にめり込むというものでしたが、下手すりゃ列車が横転する可能性もゼロではないと思いますので、「壮絶なデンジャラスさも良いけど、事故が起こる前に何とかならんものか」とも思った次第です……。

バンコク近郊大周遊 (4) バーンレーム駅

2013-08-23 00:00:00 | タイの鉄道


 マハーチャイ駅のバンコク寄り側線に放置された日本製DCの廃車体を激写したあとは、朝っぱらから売った買ったの喧噪が展開されまくっている商店街を通り、対岸のバーンレームに向かう渡船埠頭にやって参りました。チャリンコやバイクもそのまま乗れる実用的な渡し船の船賃は3Bという安さ♪ 暑期の猛烈な暑さに街全体が包まれる中、渡船の上だけは微かな川風で辛うじて涼味を感じられます……。川面には結構デカく派手な漁船が多数浮かび日々大漁の様子で何よりですが、7月末の『朝日新聞』で目にしたところによると、東南アジアの経済発展の旗手であるタイではタイ人の若者が漁業に就業したがらず、漁業の圧倒的な担い手は既にミャンマー人の出稼ぎ労働者となっており、マハーチャイのタイ人人口約5万人に対し、ミャンマー人の人口が20万とか……。そして、もし今後ミャンマーが一気に経済発展し、タイなど外国に低賃金労働者を出さないようになれば、マハーチャイの漁業は人出が枯渇し一気に破滅的な打撃を蒙るのだとか……



 というわけで、明日ミャンマーへ向かうという前日に、そんなタイ・ミャンマー関係の一面を垣間見てしまったわけですが、訪問の時点ではそんなことに気づかず (汗)、魚介類を加工する工場や問屋が並ぶもののマハーチャイに比べれば圧倒的に静かなバーンレームの街を歩き、街外れにあるメークロン線の駅に到着! 街外れに向かうほど、本当にこの先に駅があるのか……というナゾな雰囲気が深まりますが、まぁ川から出来るだけ離れないように道を選べば誰でも到達できるでしょう。一応、毎日4往復の列車発着に合わせて、駅付属の桟橋に渡船が着くようですが、そもそもタイ語が分からん私にとって (字を必死に覚えたもののもう忘れた……^^;) マハーチャイからどの船に乗れば直接鉄道桟橋に着けるか分かりませんし、そんな船に合わせていたら貴重な到着シーン撮影も出来ません。
 だからこそ、メークロンからの列車が到着する10時頃よりも十二分に余裕をとり、9時半過ぎにバーンレーム駅に到着したのですが……列車が来ない間の駅構内は駅事務室と売店を除き人影もなく実にのどか過ぎ……。そして、予備車が2両ほど放置されており、何とも言えないローカル線旅情を醸し出していました。では、行き止まりの一本線でどうやって車両交換をするのか?……答えは簡単、少々メークロン寄りに枝側線がありますので、それを活用するようです。


 アヒル様のお通り~ガァガァ (笑)。



 重整備などのための車両の搬入・搬出はこれを使用?
 それにしても、これが本線とは到底思えん……(汗)。



 これだけですとイベント日ではない保存鉄道の駅のようですが……。
 ところがこの後、雰囲気が一変して大変なことに (^^;;

バンコク近郊大周遊 (3) 日本製DCの廃車体

2013-08-19 00:00:00 | タイの鉄道


 今回のバンコク編を連載するにあたり、大事なことを書くのを忘れておりました……。基本的に、線路内立入撮影しまくっております (爆汗)。勿論、原則としては線路内立入禁止なのは万国共通でしょう。とはいえ、そもそもタイも東南アジア的なまったりさと自己責任の論理が充満していることには違いないわけで、しかも後日紹介するメークロン駅界隈に至っては、自然発生的な線路市場が今や県政府直々の推奨による国際的観光地になっているという……(笑)。
 まぁ当然のことながら、よく整備された直線の線路上を急行列車が時速100km超で飛ばす区間での安易な立入はオススメ出来ないのですが、列車がギシギシ揺れながらチンタラと走るローカル線であれば「まいっか」と思うのは地元の皆様共通の人情なのでしょう。というわけで、圧倒的に知名度は低いですが、マハーチャイ駅手前の踏切周辺 (ポイントがある関係で鉄道用地が広い) も、駅構内兼生鮮市場の延長でちょっとした線路市場となっています。個人的には、こちらは観光客から全く注目されておらず (メークロン線観光をする人の最大の関心事は、終点メークロン線路市場を如何にエンジョイするか、そしてマハーチャイ~バーンレーム間の渡船連絡を如何に上手くやるか……ということ?!)、面としての広がりがある空間の中で完全にジモティーな雰囲気が炸裂していますので、マハーチャイの方が良いかな?という気がします。



 しかーし!今回はバンコク近郊日帰り大周遊計画の時間的制約からして、余り暢気にマハーチャイで油を売ることは出来ません。まぁどうせマハーチャイまでは30~60分間隔で本数が多く、またそのうち撮りに来ることが出来るさ♪というわけで、マハーチャイ線路市場を列車が通過する光景は撮影を省略しました (^^;)。その代わりに注目したのが……線路市場からさらにバンコク寄りに300~400mほど行ったところにある側線上の廃車体!
 この車両は、1960~80年代のメークロン線はもとより、昔のタイの鉄道写真を書籍やネットなどで見ていると必ず登場する、1960年代~70年代初頭に日本で製造されたディーゼルカー・RHN系の成れの果て。その一部は整備に整備を重ねられ、イーサーン (東北タイ) のローカル列車で辛うじて現役のようです。しかしメークロン線はバンコク近郊路線であるだけに、現在のTHN系に置き換えられて久しいようで……辛うじて現存する車体はこうして強力な生命力を誇る緑と一体化したオブジェと化しつつあります。まぁ、これはこれである意味、期せずして出来上がった究極のアートでしょうなぁ……。それに、鉄道車両としてのかたちもまだ残っており、現役時代を辛うじて偲ぶことができますので (車内にもやっとこさ入ってみましたが、まさにキハ20的な雰囲気が……)、そっち系の趣味をお持ちの方にとっては、メークロンの線路市場などよりも先にこの廃車体を確実に見ておくのが良いのかも知れません。


 地元感あふれる線路市場がたまらん♪



 アメ横を幅広にしたような、生鮮乾物何でもござれの駅前商店街!



 寺+緑+水。これぞタイ中部の風景です☆



 手作り感が炸裂する木造 (?) 漁船がジャンジャン行き交います!

バンコク近郊大周遊 (2) マハーチャイ駅

2013-08-17 00:00:00 | タイの鉄道


 タイ国鉄メークロン線は、最近ガイドブックにも載るなど、観光名所のひとつとしても知名度を上げつつあるようですが、元はといえば国鉄ではなく、バンコク市街と豊かな漁港マハーチャイ、そして一面の塩田が広がるメークロン (サムットソンクラム) を結ぶ私鉄として開通したため、他の国鉄線とは完全に孤立しているという特徴があります。そのメークロン線はマハーチャイで行く手を川に阻まれていますので、終点のメークロンに行くためには渡船+徒歩で対岸のバーンレームに向かいメークロン行きの列車に乗り換えなければならず、そんな面倒臭さと旅情がない交ぜになっていることもメークロン線の人気を盛り上げていると言えましょう。



 というわけで、一口にメークロン線と言いながらも実質的には、それなりに旺盛な通勤通学輸送や買物客輸送も見られるマハーチャイ線 (ウォンウィエン・ヤイ~マハーチャイ) と、不便さゆえに1日4本しかないメークロン線 (バーンレーム~メークロン) の2路線に分かれており、マハーチャイ線車両の保守は終点マハーチャイ駅のどん詰まりにある機関区が一手に担っています。
 そんなマハーチャイは、首都バンコクのすぐそばにしてタイ湾に面した良港であるため、漁獲高面ではタイで最も繁華を極めているとか! というわけで、屋根付きの駅構内は生鮮市場と完全に同居しているほか、駅前商店街は海鮮系の乾物問屋の類がズラ~リと軒を連ねて壮観! それこそ一年365日、魚介類の匂いが充満しているような一帯です。そんな中、ステンレス製DCがたむろするこの空間だけは、海の匂いと油の臭いがブレンドされた、何とも言い様のないむせるような空気が充満し、そういえば昔の日本の田舎鉄道にもこんな感じの車庫があったなぁ……(例えば、ほのかな緑の匂いと機械油の臭いが混ざった上田原や石岡……) ということを思い出したのでした。