定家朝臣 さむしろやまつよの秋の風ふけて月をかたしく宇治の橋姫 二三の句、詞めでたし。　本哥√さむしろに衣かたしき 云々。　こゝの哥も思ひやり...

和哥所歌合に海邊月　　　　家隆朝臣 秋のよの月やをじまのあまのはら明方ちかき沖のつり舟 明方ちかき程に、沖につり舟の見ゆるは、をじまのあまの、 月ををしむとて、こぎ出たる...

        八月十五夜和哥所哥合に深山月 深からぬ外山のいほの寐覚だにさぞな木ﾉ間の月はさびしき だには、すらの意なり。　さぞなは、かくの如くぞといふ意也。 ...

  題しらず　　　　　　　　従三位頼政 こよひだれすゞふく風を身にしみてよしのゝたけの月を見るらん めでたし二三の句殊によろし。　月をみてあはれなる まゝに、思ひやれる...

千五百番哥合に　　　　　　　　通具卿 深草のさとの月影さびしさもすみこしまゝの野べの秋風 めでたし。詞もめでたし。　深草の里の月を、今きて 見れば、昔住て見し時のまゝなる...

題しらず　　　　　　寂蓮 さびしさはその色としもなかりけり槇たつ山の秋の夕暮 めでたし。 　　　　　　　　　　西行 こゝろなき身にもあはれはしられけり鴫たつ沢の秋の夕暮...

百首哥に　　　　　　　　摂政 荻の葉にふけばあらしの秋なるをまちけるよはのさをしかの...

だいしらず　　　　　　七條院ﾉ権ﾉ大夫 秋來ぬと松吹風もしらせけりかならず荻の上葉ならねど めでたし。下句詞めでたし。　かならずは、俗にあながち といふ意なり。こは哥には...

　　　　　　　　　　　　顕昭 水ぐきの岡のくず葉も色づきてけさうらがなし秋の初風 めでたし。詞もすべてめでたし。　上句、万葉十に、...

新古今和歌集美濃の家づと二の卷 秋歌上 百首哥の中に　　　　　　家隆朝臣 きのふだにとはんと思ひし津の国の生田の杜に秋は來にけり 本歌...