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玄界島、復興へ結束 漁協支所が活動の要

2005年06月22日 08時56分15秒 | 福岡西方沖地震
 2カ月に1度の年金支給日が、島にやってきた。6月15日、島の南斜面の付け根にある福岡市漁協玄界島支所は、お年寄りらの会話で弾んでいた。同市中央区のかもめ広場で暮らすお年寄りの顔もあった。

 銀行のない島では、支所が「金庫番」。65歳以上のお年寄りの大半にあたる約120人が支所を通して年金を受け取る。2カ月前は、全島避難先だった市九電記念体育館に設けた窓口で対応した。預金の引き出しや記帳に加え、窓口では身の上相談がやりとりされる。

 「こんな年になって地震なんて、貧乏くじばっかり。早う島に戻ってきて百姓をしたい」。かもめ広場から来た70歳近い主婦が言う。

 地震後、先行きの見えない将来への不安や、体調不良を訴える人が増えた。そんな時、支所窓口担当の寺田--削除--さんはこう励ます。「2年もすれば光が差すけん。前向きにな」。寺田さんも自宅の地盤が崩れ、島の仮設住宅で暮らす。

 支所の組合員は漁師約150人。約700人の全島民のうち、漁業に従事する家庭の人口は全体の7~8割を占める。災害や事故が起きれば支所に一報が届き、職員や漁師たちが出動する。

 支所は島の要。復興に向けた取り組みでも島民を引っ張る。

 5月末、今後の復興策を練る住民集会に同席した市の担当者は、目を丸くした。島の7割の住宅が密集し、損壊の程度も激しい南斜面の全戸解体と再整備の方針が、この日の集会だけで決まったからだ。担当者は「島民の結束力を見た思いがした」と語った。

 集会のとりまとめ役を務めたのは、支所会長の伊藤--削除--さん。「焦ってもいかんが、一日でも早く元気な島に戻したい」。島復興対策検討委員会の委員長として、整備計画案の策定に精力的に取り組む。

 復興委員会は復興後の住宅について、戸建てや分譲マンション、公営住宅などの案を提示している。市などが財政援助の方針を表明しているが、自己負担は避けられない。再建へのハードルをどう越えていくか。これから具体的な集約が始まる。

 集会に参加した榎田--削除--さんは「みんなが一つの目標に向かっている時に、自分だけわがままは言えない」と話す。

 揺れる思いもある。

 「みんなと一緒に、という思いもあるが、家を建て直す金も馬力もない」と漏らす島民もいる。

 6月中旬。復興委員ら35人が阪神大震災に見舞われた兵庫県内の住宅地などを視察した。集合住宅と戸建て住宅が整然と並ぶ街並みを見ながら、伊藤さんが島の将来の姿を重ねて言った。

 「ここまで復興するのに多くの苦労があったと思う。我々も参考にすべきことが多い」

朝日新聞2005年6月21日

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