JAHPON LAND( Pucci )

スケートファニチャーやステンドグラス作品などJAHPON.comとして活躍する作家 土屋隆亮(プチ)のメッセージ!

INTO THE MILD 57

2012年05月22日 | INTO THE MILD
 今、日本全国の消防団がワイワイしている訳は、二年に一度の操法大会があるからやで!
チームの団結力を試す競技大会は 言わばオリンピック!前回、我が隊は町大会を優勝して府大会三位の快挙を成し遂げた優秀なチーム!真剣に取組む伝統を繋ぐ為にも、おれも何か貢献したいと考えていたんや。
 春の部会議での事「誰か操法要員やってみようってもんは おるか?」と部長の声に、おれを含めて三人の手がパッと挙がるんや!ハッとした!隊の中で 野依人と同級生の赤ちゃんを授かったフレッシュパパのご近所三人組だ!何の打合せも無しに綺麗に三人が立候補した景色を、おれは忘れないと思った。それぞれが密かに燃やしていた情熱が初めて外に光らせた輝く瞬間や!誰も お互いにも 訳とか聞く事も無く察したやろう、父親のパワーを!お乳を出す事は出来ないけれど頑張る背中を見せるだけ。信用出来るパパグループになれた嬉しさで喜んだのは その晩だけで、かなりヤバイ過酷な訓練が待っていたわ。
 操法とは実火災での水出しをスムーズにやる為に、正しい操作手順と速さを競い 更にチームワークの美しさまでをも競うもの。これは 演技と運動能力の混ざった最強の競技やと本気で思うわ!オリンピックの正式種目に入れるべきやで。
 担当する事になったのは1番員。ホースラインと呼ばれる 火事場に向かってホースを伸ばし 放水ノズルの筒先まで確実に連結する役割。操法で花形の重役は 真っ直ぐにホースのロールを転がす技と、ホースを肩に担いでのダッシュの脚力が見せ場。
 今年から小型ポンプ種目の我等、要員は四人 指揮者と3番までのチームで、ゼッケンには 指, 1, 2, 3,競技前に整列する「入る」所から、シンクロばりの動きを揃える練習!息を合わせて足下を見ずにピタッとライン上に収まらなあかんねや。
 動きは全て「規律」と呼ばれる、キビっとビシッと動きに角を付ける様なアクセントが必要で、無駄なく俊敏にが基本!姿勢や角度にガイドラインがあって、足の開きは60度の三角が付いた棒で計られる。メジャーで幅も確認しながら身体に覚えさせる。
 20メートルのホースは二重に綺麗に巻かれて重い。「器具愛護」と呼ばれる道具を大事に扱う規律で 落としたり蹴ってしまったりしてはあかん。要員以外の隊員は 全員担当の指導サポートが決まってて、襟やベルトがズレるだけでも サッと直してくれる!緊張感パキパキの団結で、先輩方に 本当に大事に優しく育てて貰うんや。我が隊には やる気のある奴しかいないぜ!
 入団の時からお世話になっている、チームのアニキ分の部長。ムードメーカーで おれにとって彼ありきの消防団と言える程の徳のある兄貴っぷりに、何とか恩を返したいと タイムを縮める事を真剣に悩んでいるんや。規律に緩みがある部分は修正しながら「そうした方がカッコええからな」とあくまで能動性を引き出すセンスはユニークかつマジカル!一般的なイメージで 消防団は面倒で入りたく無い 更には 息子を入れさせたく無いと言う親までいるのが現実!そこには 全ての隊に徳のある真っ当なリーダーが必ず存在するとは限らない事が 原因していると推測するんやわ。あんな人は そういない。「締める時は締める 抜く時は思い切り抜いて楽しむ!その方が楽しいし気持ちええやろ」と両方を真剣にメリハリつけて全力で取り組む姿勢は納得以上に感動する瞬間の連続!「みっともないもの」の価値観が本当にピッタリくる 愛に溢れたお人や。
 先ず練習に耐える体力不足の不安を補う為にも 大好きな つづみ山を反時計回りに巡る 毎朝のジョギングを続けてるんや。せやけどダッシュが早くなる訳では無いから少し恥ずかしくてコソ練で。隊の皆は殆んどが歳下で、スケボーで来たりする おれのガキっぽい雰囲気から、ちゃんと年齢を把握して貰えて無い様子!悔しいけど 腰も膝も限界ギリギリやで!
 そんな今日 夕方からの訓練を前に緊急サイレンが!ジョギングコースにある見慣れた別荘が火災現場!巡速な消火で 山に燃え移る事無く最小限で鎮火!朝見た小屋が全焼して無くなった!火災は いつの時代でも恐い重罪!節約の行楽として 都会から山菜や栗を拾いに来る奴らのタバコの不始末野郎は まるでエイリアン。現場の周囲は別荘地で週末だけ畑をしに来る家が多く、本住所を他に持つ奴等には町内会どころか消防団などに協力する姿勢は無い。だんだん それらも同じ様に都会からのエイリアンに思えて 筒先を抱えながら苦々しい気分になった。おれだって、消防団の誘いを 頑なに断っていたりしたら 同じエイリアンやった訳や。おれは違う!今朝 金環日食の写真を撮った程に大好きな山が燃えるなんて許せないし、リゾート感覚 趣向品感覚にスローライフとかを嗜むアホな輩なんかとは違う!真剣に故郷として骨を埋める覚悟なんやで!郷土愛とは金では無く体で示すもんやろ!と長靴ずくずくにしながら熱くなった。
 鎮火して疲労でヘロヘロで解散の30分後予定通り操法訓練に集合!皆 制服でビシッと復活して「型だけの、お遊びの軍隊ゴッコや無いでぇっ」て気持ちで気合いが入る訳なんよ。男で良かったてや!父ちゃんは頑張るで~!