http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120315/k10013743201000.html
発達障害の子どもと発達障害ではない子どもの脳を比較すると、神経細胞の活動場所に違いがあることを、金大医薬保健研究域医学系の三邉義雄教授らの研究グループが15日までに、世界で初めて突き止めた。同グループなどが開発した脳の磁場を測定する幼児用の「脳磁計」で調べた。発達障害は現在、問診で診断されており、機器を使った客観的な診断方法が確立すれば、早期発見につながる。
三邉教授と「子どものこころの発達研究センター」の菊知充特任准教授らのグループは横河電機(東京)、金沢工大、島津製作所(京都)と共同研究で「脳磁計」を幼児用に開 発。3~7歳の発達障害の35人と発達障害ではない35人で、脳の神経細胞の活動を調べた。
その結果、発達障害の子どもでは、30人(85・7%)は、神経細胞の活動が空間を認知する能力をつかさどる右脳を中心に行われていた。一方、発達障害ではない子どもで は、32人(91・4%)が言葉やコミュニケーションをつかさどる左脳を中心に神経細 胞の活動が行われていた。
三邉教授によると、成人の脳で神経細胞の活動の違いを示した研究結果はあったが、幼 児に適した計測装置がなく、子どもの脳に関するデータはなかった。
三邉教授は「発達障害が早期に見つかれば、その子どもに合わせた対応ができるように なる」と話した。
研究成果は16~18日に金沢市で開かれる「第2回金大子どものこころサミット」で発表される。