ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

戦場で出会った子犬の物語 / ジェイ・コペルマン

2008-10-28 | 本 犬本
 

  戦場で出会った子犬の物語

  ジェイ・コペルマン 著     日経BP社 / 2008.8



  米軍規則「一般命令1-Aに定められた軍人の禁止行為。
  種類にかかわらず家畜や野生動物をペットもしくはマスコットとして飼い、
  世話をし、えさを与えること」

  宗派対立、自爆テロなど依然、厳しい状況が続くイラク。
  2004年11月。アメリカ軍のイラク侵攻第1週目に、
  アメリカ第3海兵隊第1大隊のメンバーがファルージャの廃屋で雑種の子犬を「発見」する。

  ファルージャの司令所で私(著者)は子犬と出会う。
  軍ではペットは一切禁止。
  私はラヴァと名づけられた子犬の処置に迷うが、結局、規律違反を犯して子犬を飼いながら、
  国外に連れ出す策を練る。
  ジャーナリストのアン・ギャレスの助けでヨルダン国境を抜けようとするが失敗。
  結局、ラジオプロデューサーの手で空路、アメリカへと脱出する。
  本書はその体験を綴った全米ベストセラー。

  イラク戦争への賛否には一切触れていないが、
  厭戦気分が増してきたアメリカ国民の対イラク戦争への「気分」を反映した作品となっている。
  子犬を助けることでイラク人、アメリカ人、軍民を問わず多くの人が協力する美しいエピソードが心を打つ。 
  主人公である愛らしい子犬の写真を多数収録。






とにかく、読みにくいです。
原著が悪いのか、翻訳が悪いのかは判りませんが、全然、頭に入ってこなくてイメージするのが難しかったです。
ただ、第2部はなぜか1部より読みやすくなっていて、、、ちょっと不思議。

著者自身、インタビューされていたように、「同じ時間を使うなら、犬より人を救うべきだったと言われたらどう答えますか?」と聞かれても、それは酷というのもでしょう・・・。
想像を絶する異常な空間で見つけた天使なんですから、その質問に答えられなくても私はいいと思います。

やはり、第1部は特に読みにくくて、文章もさることながら、犬の話なのか戦争の話なのか、掴みきれずどっちつかずの為、どちらに対しても感情移入できません。
これが、この本の残念なところで、もっともっと、戦争の愚かさと、命の尊さを訴えられたのにな~と思いました。

ただ、今思えば、戦争の愚かさの方が印象強く残っているかもしれません。
というのも、ほんの少しですが、軍用犬について触れられていて、それがあまりにショッキングだったからそう感じたんだと思います。
文章を引用したいのですが、ちょっと長くなってしまうので、私が解釈したことを書いておきます。
つまり、軍用犬は普通の訓練を受けただけの犬ではないので、引退後、一般家庭に『養子』に行くには無理なケースがほとんどなんだそうです。
軍にあくまで献身的で、とことん服従しているため、一般家庭に養子に行っても、幼児を襲う危険があるそうで、でも、これはあくまで愛国心がさせてしまうんだそうです。
だいたい10歳くらいで引退、ほとんどが安楽死。。
人間のために役にたってくれている犬たちには感謝の気持ちでいっぱいだけど、でも、軍用犬って、、なんでかなと思います。

それと、戦争の愚かさについて、もう一点。
イラク軍を狙う武装勢力の手口についてです。
リモコン式の急造爆弾が重用されだした頃、米軍に電波妨害で抵抗された為、今度は妨害されない爆弾を考えたワケです。
それは、犬、牛、ロバ、信じたくないけど、ダウン症を患っている人に爆弾をセットして・・・。
これ以上は書けません。


ラヴァはたくさんの人の協力のお陰で、無事にアメリカに到着し、今は幸せに暮らしているそうです。
異常な空間の中で光り輝いていた子犬のお陰で、その異常な空間を『異常』に思えたことが、ジェイにとっては何よりの贈り物だったのかもしれません。
一匹の子犬の命を通じて、兵士であるジェイの心の葛藤が描かれたことに、この本の意味があるように思います。
本当に読みにくかったけど、必死に汲み取ろうと頑張りました!(笑)


余談ですが、私の1番好きな本を紹介します。

『吠えろアンティス!~戦場をかける犬~』アンソニー・リチャードソン著

やはり、戦場で兵士と犬が出会い、かけがえのないパートナーとなるのですが、もちろん、山あり谷ありで・・・。
今はもう絶版の為、古書しか入手できませんが、本当に感動します。

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2 コメント

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戦場をかける犬を読んで (がっぺ)
2008-12-11 10:54:57
こんにちは。
私はこの本を30年前、小学生だった頃に感想文の題材に買いました。
元来、本を読むことが苦手な私には買ってはみた物のほとんど読むことはありませんでした。
小学生でこの本を選んだことに無理があったのかも知れません。
本を選んだ理由はカバーの絵が犬だったから。。
あれから30年、暇な時間があれば読もうと思い、
仕事、旅行等どこへ行くにも持っていきました。
しかし結局読むことはありませんでした。
次第にカバーがボロボロになり本も色が変色し黄色くなってしまいました。
最近荷物の整理をした時にこの本が出てきて、
急に読みたくなり仕事の合間を見つけては読みふけりました。
いい本でした、小学生の時に読まなくてよかったと思います。
あの時読んだらきっと感動が半減していただろうと。
アンティスの最後はショックですがヤンの生活を考えると仕方がない選択だったのでしょう。
読み終えて、古い本なので映画化とかされてるのかも?と思いネットで検索してここのHPを知りました。
もし映画になってなければ是非映画化してほしいですね。

ちなみに、感想文は同時に買った「冒険者たち」で書きました。
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がっぺさんへ (izumi)
2008-12-14 14:14:12
こんにちは!
コメント、ありがとうございました。
お返事が遅くなり、申し訳ありません。。

そうでしたか~、30年前にご購入されていたんですね。
ずっと持ち歩いていても、読む機会って無い時は無いものなんですね。
でも、今、読む機会が訪れたということは、私を読んでください!というこの本との縁があったのかもしれませんね。
私は古書屋で探して購入しました。
昭和41年の初版本で、もちろん、変色、シミ、ニオイ(笑)が・・・
本来、古書は苦手なのですが、どうしても読みたくて・・・。

本当に感動しますよね。
犬ってスゴいな~と思わされますし、人と犬の絆も、やはりスゴいな~と感じます。
そして、愛犬の最期を看取るのも飼い主の責任で、苦痛を取り除く選択をするのもやはり飼い主なんですよね。
うちにも犬がいるので、決して他人事ではなく、10年以上も共に暮らす家族として、最善の方法をしっかりと見極めたいと思っています。

映画化されたら嬉しいですね!
涙、涙で劇場を出られそうもない、ですかね(笑)。

『冒険者たち』は読んだことがありませんが、ガンバですか?
アニメは大好きでした~。




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