ただの映画好き日記

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ありがとう、金剛丸~星になった小さな自衛隊員 / 桜林美佐

2012-03-29 | 本 犬本


  ありがとう、金剛丸 星になった小さな自衛隊員

  桜林 美佐 著     ワニブックス / 2012.3



  2011年3月11日に東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災。
  その裏で人知れず活動し、天国に旅立っていった警備犬・金剛丸をあなたは知っていますか?
  本書は金剛丸の出生から訓練、そして病気で体調がすぐれない中で実直に人命救助の任務を全うした、
  その4年間の短い生涯を綴る、溢れる感動のノンフィクション。
  被災地の活動で、足をけがして血まみれになってもひるまず、
  水の中も泳いで生存者を必死に捜した金剛丸のことを、私たちは絶対に忘れない。





金剛丸は、最初から救助犬として訓練されたのではなくて、海上自衛隊・呉補給所貯油所の警備犬だったんですね。
金剛丸のハンドラーを任命された松元さんはなんと事務官。
しかも、もともと犬が苦手、というよりも犬嫌いな人だったそうです。
ハンドラー自らが訓練士として一からのスタートで、何もかも自前で勉強されたようです。
そして、金剛丸を国際救助犬試験に合格させるまでに育てあげ、昨年の大震災で実際に救助活動をするまでに至りました。

今回の大震災で、自衛隊に対し、心からその存在に感謝したことを覚えています。
自らも被災し、家族や仲間を失いながらも、被災者を救出し、思いやる姿は、言葉に言い表せない思いでした。
そんな中、救助犬も傷だらけ、泥だらけになりながら必死に頑張ってくれていたんだなと改めて頭が下がる思いがしました。
日本だけではなく、世界中から救助犬が来てくれていたようです。

金剛丸は震災での救助活動を終え、呉に戻った4ヶ月後、肺炎のために4歳という若さで亡くなりました。
その救助犬としての能力の高さだけではなく、自衛隊のみならず被災された方々をも癒してきた存在はかけがえのないものだと感じました。
本来は、呉の警備犬。
その訓練、その役目を更にステップアップすることになったわけですが、それらの試験費用や諸経費はハンドラーの自腹というのが納得いきません(金剛丸にかかった費用が松元さんの自腹かどうかは書かれていませんでしたが、日本の救助犬活動の大半はボランティアに頼っているのだそうです)。

自衛隊が税金で賄われる国の組織であるならば、そこに準じて仕事をしている警備犬にも、更には、被災地で活躍できる救助犬を認め、国が費用を賄うべきではないのかと思います。
そして、自衛隊員と同じように、犬たちの健康診断もするべきだと思います。
もっと早く、できれば、定期的に健康診断をしていたのなら、優秀な救助犬を失うことはなかったように思います。
救助犬1頭で2万人の救助隊員の捜査効率があると言われているそうです。
チマチマとチグハグなことをせず、広く眼を開き耳を傾けてほしいものです。

古来より、人間の助けとなり、命をとして愛情を示してきてくれた犬たちの御霊に心からの感謝の意を表します。


※文字が大きく、言葉も簡単なものばかりで、写真も多いので、子供向けだと思います。

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