ただ自分の声が聴きたくて

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うつと本に向かい合うiyuk改め「かぷ」ワールド。

★ 浅倉卓弥「四日感の奇跡」読了~

2005年01月25日 20時00分58秒 | ♪ 興味ある本たち
 こんばんは、iyukです。
今日はマァマァ(奥様風)よく晴れましたねぇ!
そして風もほどよく吹いてたみたいですねぇ~!
杉花粉が例年の30倍だとかいう今年の花粉情報に、
今年こそ輝かしく花粉症デビゥかしら、なんてゾっとしてしまいつつ
相変わらずのヒキコモラー発揮中なのでした(ダメじゃん!)。

 今日の気分は(誰も聞いてないって←まぁ聞いてくれヨ←誰!)、
良くもなく、悪くもなく、といった感じで、
無音でも「気が狂わない」程度には良好でした。

 これはナイス機会!と思い、
無音での読書を体中で味わってしまおうとたくらみ、
先日、実家に帰ったときに「いいよコレ」と持たされた小説を
手に取ってみました。

浅倉卓弥さんの「四日間の奇跡」(宝島社文庫)
ベストセラーだったというから、
ご存知の方も多いんだろうと思います。
 というか、今更、なのかな?読むの。
出たのちょうど一年前なんですね。
本は好きなんですが、どうもベストセラー!とかに疎くて。

 「魂の救いのファンタジー」というオビで、
本の後ろのあらすじを見ると、
「第一回『このミステリーがすごい!』大賞金賞受賞作」とあって、
「エ……?ファンタジーなの?
それともミステリーなの?」が第一印象(ヘンな感じ)。

 読んでいったら、
うーん、ファンタジーだった、と思います。
でも、ファンタジーな事柄を
医学的に話していたりするところが、
「ファンタジーすぎない」本だなぁ、と思いました。

 脳に障害を持った知的障害の少女と、
ピアニストの道を閉ざされた青年が「四日間の奇跡」を体験する、
そんなお話です。

 実はiyukは、これを言ったら反感食らうかもしれないのですが、
意識的に「障害をもった登場人物が出る本」を避けていました。

 避けてしまう自分に、罪悪感も感じます。
目を背けても、そういう方々がいて、大事なことだと、
分かっているつもりです。
でも、自分から、なかなか手をのばせないのです。

 避けてる自分と、それに罪悪感を感じ矛盾してる自分を、
直視したくないからかもしれません。
 ハンディキャップをもってるのが前提のお話は
それだけで感動を呼ぶ気がする、という
変な固定観念がどうしても拭えないから……かもしれません。

 きっと、この小説の存在も、
父に渡されなかったら手に取らなかった気がします。

 でも読み進められたのは、
脳に障害をもった少女「千織」があまりにかわいらしくて。
知的障害の方は総じてそうだと思うのですが、
「千織」も例にもれず、
どこか一つの事に突出した才能があって、なにより純粋で……。
とても愛らしかったのです。

 そしてそれを見守っている青年も、
彼自身苦しみを抱いているのに温かい。暖かい。心地よい。

 読後、ゆっくり、ゆっくり、ホンワリした気分になりました。
余韻に浸る、というのでしょうか。
そしてまた「奇跡の一日目」から読み直したくなりました。

 自分が、うつなのが悔やまれてなりません。
正常な頃とくらべて、
確実に、情景が頭に描けなくなっているのです。
 文章が「絵」としてなかなか出てこない。
なので世界に入りきれない。
どこか遠くから「第四者」くらい遠くから見てる気がする。

 本を読んでいて、何が楽しいって
その世界にトリップでき、何かを感じられるからだと思うのです。

 今の私には、それがガクンと落ちてしまった。
出来なくなってしまった。
 それが本当に悲しくてなりません。
この世界に入れていたら、
もっと、もっと、もっと、心にキていたと思います。

 あ、作者さんの描写は下手じゃありませんよ!(あせりあせり!)
むしろ分かりやすくて、すいすい読めて、
頭に情景を浮かびやすい文章を作ってくれる人だなぁって思いました。
だから、それを感じ取れない自分が悲しい。

 心のうつが、いつか治ったら……
ぜひまた手に取って読み直したいと思う一冊でした。

 カバーの折り返しに、次回作として
「平安時代から鎌倉時代への動乱期を舞台にした長篇を執筆中」
と書いてあるのですが、これってもう出てるのかなぁ。
この浅倉卓弥さんの文章、嫌いじゃないし、
時代背景も大好きなものだし、
ちょっと探してみようかな。

 読みたい本はいくつもあるのに
なかなか思い通りにいかなくて「うゥン困っちゃウ(色気←ない)」な
iyukでした★←せめてもの色気←ないって