ただ自分の声が聴きたくて

毎日(できるだけ)つれづれなるままに^^ 
うつと本に向かい合うiyuk改め「かぷ」ワールド。

★ 井

2008年04月27日 18時33分21秒 | ♪ 琴線ふれた音楽たち
随分ひにちがあいてしまいました。すみません。風邪引きながらも元気なかぷでございます。

井。イノ。LUNA SEAのなくてはならないアルペジオのキング、井、イノ。

私があなたにハマったのは1992年、デビューの頃。
あの頃はおっとりとしている印象が強くて、インタビューでも、発言しようと思っていたらもう別の話題だった、なんてことも当たり前だった。
だけど私はこの人だ!絶対いなくてはならない存在だと思った。

LUNA SEAはギターがもう一人いる。杉。リードギターで、ビロビロ弾くのが好きな人(井発言笑)。
当時はXがとにかく大本で、その真似をする、その影響を誰もが受けた。
Xはツインギターで、ツインリードギターだった。二人がハモって早弾きも何もかも揃って。

そして髪の毛が長いのが何より大事だった。
L'Arc~en~CielのKENちゃんはそれだけでそっぽをむかれた。
社会人からビジュアル系に入ったから当然髪はとても短かったのだ。
L'Arc~en~Cielはエクスタシーレコードじゃないけど、XのYoshikiが作ったインディーズレーベルの「エクスタシーレコード」に周りはどうしても影響されて、「ビジュアル系とはこういうものだ!=X」という図式がファンの中にも出来上がっていた。

そのくらい大きな影響力のあるバンドで可愛がられたのは当時「東京ヤンキース」「レディースルーム」「ZI÷KILL」そして「LUNA SEA」だった。LUNA SEAは一番後輩だった。でもとてもhideちゃんに愛された。どのバンドも愛されたけどね。

誰もがXの後を追った。LUNA SEAも。初期のアルバム聞いてみると良く分かる。真矢のドラムがうるさいうるさい(笑)。Yoshikiが間をいれずに叩くのが「当たり前」だったからだ。

とにかくXはどのビジュアル系のトップだった。
その中に井という存在がちゃんと5人、5角形の中にいたのが不思議なくらいだ。
とにかく井はビロビロ弾くのは好みじゃなかったから、それは全部杉に任せた。
そしてそっと奏でる、高音のアルペジオギタリストが生まれた。

私はずっと井の姿が見られればそれで満足だった。
雑誌のインタビューはあまり読んだ事がなかった。
メンバーが演奏する。それに私は暴れる。そしてマナーは守る。
LUNA SEAのファン「SLAVE」はファンの悪さがメンバーに響くのを一番嫌った。
誰もがゴミ袋を持ち、撒き散らされたビラを回収して帰るのが当たり前だった。

けれど井が一番嫌った「ステージに物を投げる」は会場が大きくなるにつれて増えた。
ファン(その頃メンバーはもう「ファン」を「SLAVE」と呼ばなくなっていた)は可愛い物をプレゼントしたかったのだけれど、ステージが明るい中、突如投げ込まれるのは急に現れた物体と変わらない。客席が見えないほどステージが明るいから。
井の顔から段々笑顔が消えていった。
元々表情出さない人だし喋らない人だし、と思ってライブに足を運び、ただLUNA SEAに会えた事を喜び、暴れる私には何も見えてなかったのだ。井の気持ちなんて。

でも井は喋らない人じゃなくて、言葉を選ぶ人だった。
度重なるツアーで、アルバムが出る度インタビューを受けていたメンバー。井は段々喋らないと伝わらないという思いが強くなっていった。
だから、きっと色々話していただろうって思う。

でも私はライブはメンバーに会える場所で暴れられる場所だとずっと思い込み、インタビューには目もくれなかった。
会えれば良かった。ただそれだけだった。

知らなかったの。ごめんなさい。井。
あなたをLUNA SEAから排除する署名が行われていたなんて。私……全然知らなかったの……。
なんて酷い運動。井がいなくてもいいっていう運動だったらしい。

そりゃ笑顔も消えるよね。
SLAVEと呼べなくなるよね。
ごめんね。知らなくて……あなたの事を守れなかった。
こんなに自分を呪ったことってない。

ブルートランスパレンシーの井と杉のギターのやり取り。
スィートカマアゲインの杉の歌に絡み付くギターソロ。それにうまくマイナス出来る井のギター。
出過ぎた真似はしないあなたのギター。
そしてLUNA SEAの歌をいっぱい歌ってくれた井。

LUNA SEAの舞台では一言も語らないあなただけど、そんなあなたも好きよ。
あなたがいるからLUNA SEAは輝く。INORAN。大切で一番愛してるあなた。

出会えた奇跡を誇らしく思う。愛してるわ……

かぷ

★ 隆

2008年04月18日 21時16分09秒 | ♪ 琴線ふれた音楽たち
毎日LUNA SEA一夜限りのライブをBGMにして過ごしてます。この間は首振り過ぎで次の日痛い目にあいました。かぷでございます。

隆。
LUNA SEAのボーカリストでもあり河村隆一でもある隆。
7年間の中で一番成長が分かった人かもしれません。全員凄い成長してまして、目を離す事は出来ませんでしたけれど。LUNA SEAは生きてました。

五万五千人入ったドームでマイクレス……生声で叫んだ、それが響き渡った隆の声。
そんな隆が、今、ひたすらに頑張っているのが「自分の癖を直す」。
歌っているとどうしてもこの人らしい「癖」が出ます。例えばB'zの稲葉さんとか。巻き巻きですよね、語尾。

それが悪いって言ってるんじゃないんです。
最初そんなことに挑む隆を物凄い高みにいるのだと思いました。
自分の癖がつくのなんて当たり前です。感情表現をすればするほど、思い入れが強くなって色々な表現がつくのは当たり前です。

けれど、今思えば隆は可哀相でした。「河村隆一」もLUNA SEAの「RYUICHI」も代わりはない、一人の人間でした。
けれど、河村隆一をやってから、LUNA SEAに戻って来てRYUICHIになった時、誰もが「Jが作った歌でも(ロックでも)河村隆一になる(POPになる)」と判断し、離れたファンも多かったです。
表現方法が変わった、広がりが見えた、そういうことなんですが、「RYUICHI」はもう「RYUICHI」になってくれないと判断したファンは多く、また、そこからPOP色を含んだLUNA SEAのファンが増えて「SLAVE」ではなく、「お客さん」になってしまった、悲しい現状もありました。

そして色々あって、そして終幕して、そして隆は河村隆一になって7年を過ごしました。
今、彼がしてるのは、自分の癖をなくす、という努力をしています。
その上で感情表現はとても大きい隆。

個性がなくなるのかという事ではなく、あの声ですから、隆の声は聞けば一発で分かります。
今、体中から声を出す、オペラ歌手のような隆になっています。
進化し続けています。

でも、自分の癖をなくす訓練をしている……驚きましたし、複雑でした。自分の根本から見直すということです。歌生活20年以上……30年以上の隆を見直すということです。これがどんなに難しい事か、辛い事か……想像を超えます。

LUNA SEAが一年間の休止から復活してまず叩かれたのが隆です。
こんなのRYUICHIじゃない。こんなPOPなのはLUNA SEAじゃない。どんなものを歌っても全てRYUICHIが河村隆一にしてしまうじゃないか。

そこから隆一は常に考え続けたと思います。「僕としては変わりはないつもり」と答えていたけれど、リスナーは正直だから。

そして隆は癖を直し続けているわけです。
これを悲しいと思うのは私だけでしょうか……。
今までの自分を否定しているようなものです。

どれだけ隆は苦しんだんだろう。「RYUICHI」じゃないと言われて。RYUICHIなのに認めてもらえなくて。

私もこれじゃ河村隆一だと思った時もありました。でも、常に隆は成長し続けたから。私はリーダーのいない、五角形のLUNA SEAが好きだったから。

隆。苦しくない?隆。ツラくない?隆。ごめんね。隆の成長の一部だったのに。「今」しか見ないで。
だけどね、この間の一夜限りの復活。隆は完璧に「RYUICHI」だったよ。この、線引きはどこからきてしまうんだろうね。隆は一人なのにね。

隆。隆一。RYUICHI。どれだけ悩んだろう。自分から終幕の話を持ち出して、どれだけ考えただろう。
あなたたちの側にいて、あなたたちの応援をしたくて、したい事を後押ししたくて。だってあなたたち個性バラバラの人間が五角形になる姿が好きだったから。何をしても、五角形は成長していくのは間違なかったから。

隆一。RYUICHI。難しいね。でも、

あなたは素晴らしいボーカリスト。

ごめんね。癖を直すって凄い事だと思ってた。素晴らしい事だと思ってた。でも。今までを……考え直す事になるんだね。自分自身を。生まれてきた意味を考え直すかのように。今まで、その癖で人を引きつけてきた人間が。

でも、隆、なんだよね。

隆。ありがとう。今でもあなたを愛しく思う。私は杉スレでイノスレだけど(笑)。でも結局LUNA SEAスレなんだよ。皆がいないとLUNA SEAじゃない。

隆。好きなように生きて。そして、寿命以外で死なないでね。
私も、愛してるよ……


かぷ

★ DVDを借りまくり見まくり。

2008年04月14日 22時19分03秒 | ♪ すごした時間
整理(違)中なので痛みとともにお送りしておりますかぷの雨脚にブログ!←何このラジオ調
優しいだんなさまは整理の時にはとても気遣ってくれて、女性にしかない痛みですので、すまなそうにしています。ありがとうね。かぷでございます。

さて最近時間があると徒歩一分圏内のレンタルDVD屋さんに行くことが多くなりました。目的は隠れキムタファンの超オススメ作品ドラマ「HERO」のレンタルなんですけど。借りられてる事も多いので、他に色々借りて来ます。
その中でも一番印象に残ってるのが「それでも僕はやってない」です。

これは映画のうちから見てみたかったんですけど、なかなか都合があわなくて。TV放送された時も都合があわなくて。とうとう借りるということになりました。

ストーリーは250%のラッシュ時に起きた電車の中の痴漢事件です。
主人公は一切やっていなくて、右隣りの人からはグイグイ押されて困ってる中、自分の背広が電車のドアに挟まってしまい、それを抜き取ろうとして必死だったんですが、今度は左隣りの女性が不審な目を向けて来たので「挟まっちゃって……すみません」と謝り、目的の駅で降りた瞬間、女子高生に手首を掴まれて「痴漢しましたよね」といきなり言われて、駅員さんに掴まり、そこから人生が一転するストーリーでした。

いくらやってないと主張しても「今認めれば示談金でおさまるから」などと言われて全く信用されません。
拘留されて、犯人として扱われ、全ての非難が主人公をおそうなか、友人や弁護士の助けもあり、実際の再現もして、主人公には出来ないという証拠も作り(場所的に本当に無理だった)、冤罪を晴らそうと一年以上戦いますが……裁判長の出した判決は……有罪。有罪だったんです。

人権のあり方、司法のあり方、冤罪というものに物凄く考えさせられました。
特に毎日ラッシュの中通勤しているだんなさまにとっては、明日は我が身、どこでどう間違えられるか分からない、そんな日々なので、両手で吊り革を掴もうかとか、荷物は出来るだけ網棚に乗せようとか色々話し合いました。

痴漢は犯罪です。今では勇気のある女性も増えて来ているし、被害にあわないために女性専用車輌も作られました。
でしたら、男性専用車輌も作って欲しいと私達夫婦は思いました。痴漢と間違えられるなんて冗談じゃありません。それも映画の流れを見ていたら、もう男性は加害者として最初から扱われているのです。駅員室の中から。
こんな状態じゃ間違われたら終わりです。
女性ばかりが被害者とは思えません。実際にこういう現状の中、女子高生がされてもいない痴漢を痴漢と訴えて金をせびったり、カップル二人で目撃者まで作ってお金をふんだくってやる犯罪も増えているんです。

男性専用車輌も作るべきです。女性が偽りを作る事件まで起きているのですから。男性だって守られたいでしょう。そんないたずらな事件からは。

ちなみに私の私服の場合、ロングスカートが多いので、お尻を触られる程度ですが、パンツをはいてる時ですと最悪です。足と足の間を指が這って来るんですから。座っている場合は、腕を組んでる男性は怖いです。その下から指を伸ばして胸を触って来る輩が多いからです。まあはっきり申し上げますと、ブラの上から触って何が楽しいんだテメェと思います。生乳なら分かりますけどね。ってそんなことじゃなくて。で、私座ってる時に二度やられた事があるので、一度目は恐る恐る横を向いたら寝てるふりをしてましたね。二度目は睨み付けましたらまじまじと睨み返されましたよ。何ですかね、あの態度は。逆に騒ぎになりそうで(そういう飄々としてる人は「痴漢です!」と言われても「証拠がない」とかの理由でいけしゃあしゃあと逃れそうだった)面倒だったので、何も言わずに靴だけ踵で踏んで帰ってきましたけど。

まあとにかく可哀相なのは誤認逮捕された男性です。もうどうやって電車に乗ればよいのやら。バンザイですかね。早急に男性専用車輌作ってくれませんかね。

これからは、選挙の時に最高裁判所長の投票もありますが、空欄で投票します。その方々は特に政治家のように演説もしないですし、見た事もありませんからね。そういう意味では裁判員制度も悪くないのかもしれませんね。分かりませんが……

かぷ

★ これだけは言っておきたい。

2008年04月13日 01時27分41秒 | ♪ すごした時間
あっという間に桜が散ってしまいました……今年は雨が多いですね。かぷでございます。

週末は楽しい事がたくさんありました。新しい出会いに嬉しさを覚えます。ヤス、センキュー!テレサ、センキュー!!

思った事が一つあります。
色々な事を書いてる拙ブログも何だかんだで四年目に突入しています。
最初は毎日書くのがブログだと思ってましたが、ブログというものは自分のために書くもの、と私は思います。特別何かなければ、書かなくていいじゃん。って。それがブログで、やってない人もやってる人も興味があれば読む人がいて、それでいいんですよ。

なのに見てる側から文句をつけられるのはいかがなものでしょうねぇ。
楽しみにしてるんでしょう、そうでしょう。
でも毎日書く厳しさを知ってるんでしょうか?
午前様で仕事で帰って来て、激疲れてるのにブログを書く厳しさを知ってるんでしょうか?

読むだけの立場の人に文句を言われる筋合いはありません。
見て下さらなくて結構。

色々思う事がありましてね。我慢出来ないので言ってしまいましたよ。


すみませんこんな態度で(笑)。次は楽しい内容になるといいなあ~。

かぷ


※賛否両論のため一時この記事を隠していましたが、
やっぱり自分の心を偽る事は出来ません。
重々考えた上で、この記事を戻す事に致しました。

★ 源氏物語感想。

2008年04月11日 15時40分59秒 | ♪ すごした時間
いやー、長々書かせてもらいました。自分のためのメモ帳のようなものなので、飛ばされてても当たり前とも思ってます。かぷでございます。

ずっとストーリーを追って書いていたので、私自身の感想は控えておりました。ホントは宇治十帖もあっての源氏物語なのですが、どうも好まないため、源氏が亡くなったと思った「雲隠」で終えることにしました。

今まで色々な文章で源氏物語を読んで来ましたが、どうしても源氏が亡くなった所はぼやかされていて、真相を知りたいと思っておりました。
それが今回やっと分かりました。

「雲隠」は、一文字も書かれてない帖だったのです。

ここを楽しみにしていた私は面食らいました。
「雲隠」をめくったら何も書かれてないページが一枚あって、え?と思って次のページをめくると、もう次の帖「匂宮」が現れるんです。
ナニソレ!!ガーン!って感じです。どうやら五四帖の中には含まれてないそうです。

沢山の女性も出てきましたね。

■藤壺
 源氏の何よりも愛する区切りになった人。藤壺に似てるか似てないかで女を決めてた基準の人。そして何よりも愛し、冷泉帝→冷泉院という罪な子を作ってしまった禁断の愛する人。源氏の子を身籠もって幸せだったのかなあ……もうひたすら罪の意識に囚われてたのかな……身分はこれ以上ないくらい高かったから……不倫の子とは決して喜ばしくなかったのかもしれない。でも一人の女性として考えると、藤壺も源氏を愛していたし、露見されなければという思いが常にあったろうけど幸せだったと思いたい……美しくて源氏の永遠の憧れ。

■若紫→紫の上
 藤壺の縁の人。今なら幼女誘拐監禁事件ですね(笑)。しかし本当に出来た紫の上に成長しました。一番愛らしく、そして一番可哀相な人だと私は思います。何につけてもセンスは抜群で本当に愛らしい。けれど源氏の好みの女として育ったために自分の自由はなかったと思うのです。周りの女房にも恵まれていましたし、とっても可愛い人だと思うのですが、源氏の欲求のために出家は許されず、源氏なしでは動けない可哀相な人でもあったと思います。でも見ていて、ホント一番愛を注がれるに値する人でした。大好きです。

■六条の御息所
先の東宮のお嫁さんだった人です。しかし東宮が亡くなってしまったため、一人寂しく六条に住んでいました。漫画「あさきゆめみし」や田辺行く聖子さんの「新源氏物語」では、源氏が何故この人に会いに行っていたかというと、六条の御息所は字がとても上手く、練習のために通い出した、とありました。
 立派な身分の人ですから帝からも大切にしてさしあげなさいと言われるものの、源氏は最初はとても惹かれますが、段々気位の高い所に窮屈になっていきます。好きは好きなんですが、伊勢に下る時もはっきりとは止めません。御息所は好きになるつもりはなかったのに、いつの間にか源氏を物凄く愛してる事に気付きます。そして生きてる間は生霊に、亡くなってからは死霊になり、源氏の愛する人をとり付き殺していきます。六条の御息所が悪いのではなく、いつまでもはっきりしない源氏の自業自得な気もしますね。可哀相な人です。

■朝顔の君
 頑として源氏の愛を受け入れなかった女の一人です。理由は六条の御息所のようになりたくなかったから。愛しすぎてしまったらどうしようという不安もあり、手紙のやり取りはしますが、周りから攻められても源氏の愛には応えなかった方です。でも、本当は源氏のことを好きなんですね。でも恋や愛というものは自分を狂わせてしまうところもありますから、朝顔の君はそれを嫌ったんだと思います。理知的な女性です。

■空蝉
 源氏の愛をことごとく逃げ切った女性の一人です。理由は夫がいるから。この人も愛されるのをとても嬉しく天にも上る気持ちだと思ったでしょう。でも、苦しいかな、すでに夫……源氏よりも劣った夫がいます。ここで愛してしまうのはただの泥沼。冷静に考えて逃げ切る空蝉。周りを考える空蝉。後々の事を考えない源氏。空蝉の勝利でしたね。素晴らしい程に。賢い女性だと思います。源氏の美しさを感じ取っても、夫についていく。もし私が夫がいてLUNA SEAの隆一に口説かれたら寝ます←オィ 手に届かない人が自分を好いて来てるのに受け入れられないというのはとても苦しいことじゃないでしょうか。

■末摘花
 うーん、何といったらいいのか、これこそ源氏の自業自得ですよね。見たら座高が高く顔が馬のように長く鼻の先だけ赤い、という、当時の美しさからはかけ離れた人でした。でも見事な黒髪でそこだけが美人です。ぷっつり音信が途絶えても、ひたすら待ち続ける末摘花はいじらしいです。正直あまり好きではありませんが(苦笑)、源氏も失敗するんだなあと笑ってしまったり。六条の院には入れずに二条の院に入れて面倒を見るというのも……何といいますか、源氏の失敗談なんだなあと思います。でも、どんな人でも関係を持ったら面倒を見るという源氏の思いは優しいなと思いますね。

■花散里
 大してどこも美人ではない花散里です。夕霧や玉鬘の面倒を喜んで引き受ける優しい女性です。源氏は身分に疲れた時、花散里に会いに行きます。ただいるだけで、ほんわりさせてくれる女性で、また自分の身をわきまえているというか、でしゃばった真似は一切しないので源氏も心から安息出来たんじゃないでしょうか。源氏がかなり久し振りに訪れても文句の一つも言わない、可愛らしい人です。自分だったら「遅かったね。淋しかったようおう」と泣き付くでしょうが、花散里はそんなこと一切しないで、微笑んで源氏を待っている……嫌味の一つもいわない、やっぱり出来た人です。なかなかいないんじゃないかな、と思います。大好きですね。

■葵の上
 源氏の正式な北の方(奥様)です。しかし気位が高く、帝に入内すると思われていただけに、臣下の源氏と結婚させられ、いつまでも打ち解けない難しいお姫様でした。それも赤ちゃんを生んでから変わります。素直になるんですね。そこがとても可愛らしい。最初は何様だと思うんですけど(笑)、素直になった葵の上はそれはそれは可愛らしくて好きです。いい夫婦になれたと思います。……けれど六条の御息所の生霊で突如亡くなられます。「愛」がないから六条の御息所は北の方がいても安息でいられたのですが、そこに「愛」が生まれた瞬間、許せなかったんでしょう。葵の上は可哀相でした。これも源氏の自業自得があります。源氏、遊び過ぎです。葵の上は最後になるにつれて本当に可愛らしく、また死に様も可哀相です。もし生きていたらどうなっていたんでしょうね。紫の上は北の方ではなくなりますし、運命はいたずらです。

■朧月夜の君
 源氏の困った癖の「困難があればある程燃える」恋愛でしたね。とても生き生きとしている朧月夜の君に惹かれます。
 私が一番好きなシーンもここにあります。朧月夜の君に通ってるのが父大臣にバレた時。現行犯なんですが、父大臣が源氏の隠れてる襖を取ると、今更のようにやっと袖で顔を隠す源氏。「ああ、とうとうばれてしまったかな」。この今更のようにやっと顔を隠す所が凄く好きなんです。荒々しく入って来る父大臣の優美のなさと、見つかってからそっと顔を優美に隠す所が両端で。同じ男と思えない。ばれたのに優美な源氏が面白く美しく好きです。

■明石の君
 朧月夜の君とのことがばれたのと、政権が右大臣側に変わったのもあって、左大臣側の源氏は不利になり、自分から都を離れます。そこで出会ったのが明石の君です。とても田舎なので、自分の字や歌、楽器などが劣ってると思い込んでる明石の君なので、源氏にもなかなか会おうとしないのですが、全然田舎者の臭いがしない、貴婦人としてとても素晴らしい女性だったのです。源氏は夢中になり、自宅では一人淋しく待っている紫の上がいるにもかかわらず、関係を持ってしまいます。しょうがない男ですね。
 六条の院に招いて、正月にそれぞれの女性の服を紫の上と決めますが、明石の君にはとてもセンスのいい紫と白の着物を差し上げる事になったのですが、紫の上が嫉妬を忘れる程、明石の君は素晴らしいのかと思うのもまた苦しい女心ですよね。明石の一族はとても素晴らしいと思います。でしゃばらず、自分の子供を紫の上に育てられても耐えに耐えて。苦しかったと思いますね……。

■明石の姫君→女御
 源氏、これだけ女遊びをしていて二人目の子供です。源氏と葵の上との子の夕霧は大変な子沢山ですけど、罪の子冷泉帝も含めると三人しかいません。大事な女の子、入内を考え紫の上が育てる事になります。
 後で女御になってから明石の一族のことを聞いてから「自分は初めから恵まれていた人間ではなかったのだ」と反省する所は、私にない素晴らしい感性ですよね。可愛らしくて愛らしい、そんな印象です。

■秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)
 六条の御息所の一人娘です。絶対に貴方の愛人にはしてくれるな、という御息所の言葉通り、珍しく源氏は手を出しません。出しそうになるんですけども。
 春と秋どちらが好きかと聞かれて秋と答えたのでこの名前がつきました。
 可愛らしいという印象です。そして幸運に恵まれた女性です。
 源氏の六条の院が里帰り先だったり、明石の姫君の腰結いを引き受けたり、とっても優しいですよね。中宮という偉い立場にいながら洒落っ気も忘れない所がとても好きです。

■夕顔
 右大臣側、源氏の北の方、葵の上の兄、頭の中将の愛した女性で、女の子供もいますが、右大臣側から圧力をかけられ、民家に逃げた所、源氏に発見されて愛される、幸運というか、それだけ愛嬌のあった姫君だと思いました。
 夕顔の子供、玉鬘を含めてとても大好きな女性です。光源氏を見ても「もっと輝く方だと思ってたのに」と皮肉を言ったりできる初めての女性ですよね。いいぞー!もっと言ってやれ!笑。
 しかしこの人も六条の御息所の生霊によって死んでしまいます。その時の源氏のうろたえよう、周りの御付きのものが全て寝ているという不思議、まさにあやかしの仕業としか思えませんね。六条の御息所の最初の被害者です。本当に気の毒です。

■玉鬘
 夕顔の生んだ姫君です。父は頭の中将。しかし源氏は自分の家に引き取ってしまいます。そして愛してしまうのでした。犯しませんでしたけど。
 許せないと思ったのは髭黒でしたね。一番興味ない男に犯され、楽しんでやっていた尚侍もそこそこに髭黒の邸に奪われてしまう。玉鬘は彼のために生まれたわけじゃないのにとまで思ってしまう程、私は髭黒が嫌いです。
 あんなに華やかだった玉鬘。次第に髭黒の北の方として諦めてなりますが、源氏との仲は一生忘れないでしょうね。あー髭黒大嫌い!笑。

■女三の宮
 幼い若紫を育てた事もあって、育ててもらおうと源氏の元に降嫁してきた人。源氏は断るものの藤壺の縁の人と知ってついOKを出してしまう……それくらい藤壺を愛していた上の間違い。
 何か言ったら小気味良く返して来た若紫と違って反応がない女三の宮は源氏の寵愛をあっという間になくしてしまいます。ますます紫の上が恋しくなるけれど、紫の上は自分より高貴な方の女性に、ぐらぐらと自分の地位を揺らぐ心を持ち始めます。
 どの女君に対しても苦しい事しか生まれないこの女性の存在は、悲しいくらい暗い……正直好きじゃない帖です。柏木を引き入れてしまう思慮浅い女房といい、紫の上の死といい……


紫の上の死は源氏の魂も持って行った、と思います。色々浮気しまくりですけど、その影には紫の上の涙があったことを源氏は知っていたのかな?紫の上がいなかったら源氏はこんなに光輝かなかったでしょうね。影の主役は紫の上だったんではないでしょうか。

色々な女性と色々なドラマを描く紫式部。本当に才能豊かですね。


かぷ

★ 漫画喫茶に行ってみたい

2008年04月03日 12時26分46秒 | ♪ すごした時間
くだらない内容ですみません(笑)。でもどうしても最後が知りたいのがあって。ヒント、「どろぼうねこ」です。かぷでございます。

そう、おわかりでしょうね、「キャッツアイ」でございます。
うーふーふーふー(不気味)。実家に帰ったら私が昔文庫本で出てた「キャッツアイ」が一、二、六巻があって(間はどうした←聞いてくれるな、実家の書庫はもう本で溢れてるのだ)、一巻は物凄く新鮮だったんだけど、段々慣れて来て。
で、六巻見てみたら熟読した後があって、確かに覚えているストーリー。
むおおおおおおおラストが知りたい!
結局どうなるんだっけ?!確か金髪に変装したキャッツが「仲間にならない?」とトシに誘うところを朧気にうっすらと覚えていて…そこでちょっとつまらなくなって買うのをやめた……ような……←曖昧笑。

知り合いに聞くと「キャッツアイ」のことは知ってるんですけど、誰もラストまで知らないという……んんんもどかすぃーー!

というわけで買うと鉄拳くらうので、漫画喫茶に行きたいんですが、……未経験なんです……漫画喫茶……。
どういう仕組みでお金を払えばいいのかとか全然分かりません!

だんなさまは「カイジ」を読みたくてたまらないようです。アニメも終わってしまいましたからね~。ざわ……ざわ……
いい天気の日に漫画喫茶にこもるのもどうかと思いつつも、行きたい!

というのも、自宅から徒歩一分圏内に漫画喫茶があるんですよね。いつでも行ける。だけどシステムが分からないので行けないまま……。じり……じり……

詳しい方&キャッツアイのラストを知ってる方!募集!笑。

かぷ

★ 瀬戸内寂聴訳「源氏物語 巻七」読了。

2008年04月01日 20時22分23秒 | ♪ 興味ある本たち
凄い風です。吹き飛ばされそうです。花粉が物凄く舞ってそうな気が致します。花粉症ではございませんが。足を捻挫してるので外に出ようという気になりません。かぷでございます。

さて、私にとっては最後の巻です。源氏物語。巻七。

源氏物語 巻七 (講談社文庫)源氏物語 巻七 (講談社文庫)
紫式部 瀬戸内 寂聴

講談社 2007-07-14
売り上げランキング : 3326

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


前巻の「若菜」上下では、女三の宮に柏木が通い、柏木の子を身籠もってしまうお話でした。そしてそれに気付いた源氏が柏木を皆の前で皮肉り、嫌味を言い、柏木はそのまま実家に帰って寝付いてしまう、そんなお話でした。

「柏木」
何も知らない両親は自慢の長男の思いがけない病状に悲しみ惑うばかりで、なすすべもありません。柏木は死を覚悟して女三の宮に手紙を書きます。小侍従がもたらした女三の宮の短い手紙には「あなたの死におくれるものですか」という激しい一言があり、柏木は歓喜しました。
その夕刻から女三の宮は産気づき、翌朝男の子を出産致します。その子を自分の子だと信じてる柏木は、無事出産されたことに喜びますが、女三の宮は産後の衰弱と、生まれた子に冷たい源氏の恐れから出家を望みます。
ひそかに見舞った朱雀院は女三の宮の懇願を受け入れ、源氏の反対を押し切ってその場で出家させておしまいになりました。
――――それは女三の宮に取り憑いていた六条の御息所の死霊の仕業でありました。

柏木は女三の宮の出家を聞き、ますます重態になります。親友の夕霧が見舞った時、柏木は「源氏の不興を買っている」と告白して、そのとりなしと、死後、女二の宮のお世話を頼みます。
そして間もなく……柏木他界。

源氏は赤子の五十日の祝いなど、表向きの儀式は自分の実子らしく盛大に執り行いますが、すすんで赤子を抱こうとも致しません。女の子なら人目に触れさせず育てられたのに、男の子なので、人目にもつきやすく、もし実父のおもかげを残していたらどうしようとご不安になります。
そして日が経つにつれ、赤子の顔つきが柏木に似たところを見て、複雑な気持ちになります。
夕霧は柏木の遺言と、女三の宮の唐突な出家を思い合わせ、もしやという疑惑が心に芽生えます。後のほうは、夕霧が柏木の遺言を守り、女二の宮を度々見舞うようになり、母御息所とも親しくなり、想像よりしっとりした優美な女二の宮の気配から次第に同情が恋心に育って行きます。

「横笛」
早くも柏木の一周忌が来ます。源氏は柏木の不義密通の罪を今も決して許していませんが、その一方で、前途有為な若者の死を惜しむ気持ちもおありです。源氏も夕霧も柏木の追善供養を心を込めて営みました。
夕霧は律義に女二の宮き一条の宮邸を見舞い続けています。自分の邸は子供が多くなりいつでも乱雑を極めて騒がしいのに、一条の宮邸はひっそりしていて上品な雰囲気に包まれています。
柏木の遺品の琴があるので思わず引き寄せて少し掻き鳴らし、琵琶をとって「想夫恋」を弾くと、御簾の奥で女二の宮も控え目にほんの少し琴を弾き合奏致しました。
御息所は柏木の愛用していた笛を形見として夕霧に贈ります。その夜、夕霧は柏木の夢を見ます。
「その笛はあなたが持つ筋のものではない。ほかに伝授したい者がいる」と。
翌日、六条の院を訪れまして、横笛を見せます。そして気にかかっていた柏木の遺言も伝えます。源氏は曖昧な言葉で柏木の遺言に心当たりがないふりをして、笛は預かっておくと言って取り上げておしまいになりました。
この日、女三の宮の子供が遊んでいる姿を見て、柏木に似ていることを発見し、自分の疑惑が当たっていた事を直感しました。

「鈴虫」
夏、女三の尼宮の持仏の開眼供養がありました。源氏も紫の上もあらゆる援助を惜しみません。
女三の宮は出家後、心の平安を得ているようです。
秋、源氏が訪れて秋の野らしく造った庭に放った鈴虫の音を聞き、女三の尼宮と唱和いたします。琴を引き寄せ、源氏が久し振りにお弾きになります。普段は源氏を疎ましく冷たく思う女三の尼宮でしたが、さすがにこれは熱心に聞き入ります。
そこに蛍兵部卿の宮や夕霧が訪れまして鈴虫の宴となります。

たまたま冷泉院からのお誘いの使いがいらして、一同を引き連れて源氏は冷泉院へ行かれます。
そのついでに秋好中宮を訪ねると、母、六条の御息所の怨霊の噂に心を痛め、追善供養をするために出家したいと打ち明けられます。しかし源氏はそれに強く反対し、追善供養をすすめるのでした。

「夕霧」
雲居の雁の姫君と筒井筒だった結婚生活にも倦み、女二の宮に次第に心を迷わせているのでした。しかし女二の宮は一切見向きも致しません。ここの静けさと宮の物静かな気配に日と共に惹かれていく夕霧は、直接女二の宮に自分の心を訴えたいと思っておりました。しかし二の宮の母君、御息所が病気になり、小野の山荘にお移りになります。
夕霧は小野の山荘に見舞い、夕暮、深い霧にまぎれて、女二の宮の部屋に忍び込み、恋心を訴えます。その夜は霧が深いから危ないといって夕霧は無理に泊まり込みます。
女二の宮は次の部屋に逃げましたが境の襖に鍵がかかりません。夕霧はそんな襖を押し開けるのは造作もありませんが、乱暴な振舞いは一切しません。それでも女二の宮は打ち解けようとしないので、明るい月の光のさす方へ抱いて連れて行ってしまいます。女二の宮は必死に顔をそむけていますが、痛々しく痩せていて、優美にも魅力的に見えます。女二の宮は
「父朱雀院も柏木の求婚に応じるようにすすめたから結婚したものの、その柏木でさえ結婚後、自分に冷たく、愛してくれなかったではありませんか」とお嘆きになります。
その夜は、夕霧はそれ以上の行為には踏み込まず、早朝帰ります。

けれど、朝帰りするのを見ていた人がいて、それを聞いた御息所は驚き、宮を呼び寄越して問い詰めますが、宮は弁明も出来ず泣くばかりでした。御息所は二人の関係を誤解して思い込んでしまいます。
手紙を送る夕霧ですが、二度目の手紙は宮ではなく御息所の手に渡り、それを見て今日訪れないという事に酷くご立腹なさいます。男女のことがあった後は、三日連続で通うのが礼儀であり、一夜で捨てられるのは女の一番の恥でした。それでも夕霧の本心が知りたくて、病床の中御息所は手紙を書きますが、書いている途中に容体が急変してしまいました。
夕霧は自邸でこの手紙を受け取ったものの、鳥の足跡のような字で判読しかねているところへ、後ろから雲居の雁が忍び寄り手紙を奪い取ってしまいます。夕霧は狼狽して、花散里の手紙だと偽り取り返そうとしますが、隠されてしまったので返事が書くことが出来ません。翌日になってやっと手紙を見つけ出し、慌てて返事を出しますが、瀕死の床で、夕霧の手紙が届いたと御息所は聞き、それでは今夜も来ないのかと、落胆の余り御息所は絶命してしまいます。
女二の宮は母の死も夕霧のせいだと思い、一層夕霧を疎ましくお思いになります。夕霧は心を閉ざした冷淡な宮に手を焼きながら決して諦めないのでした。そして御息所の葬儀一切を取り計らい一条の宮邸を勝手に修理して、無理に女二の宮を連れ戻し、主人顔をして居座ってしまいます。
宮はそんな夕霧にますます嫌悪感が募り、塗籠の中に閉じこもって抵抗しますが、ついに次の夜、夕霧は女房の手引きで塗籠に入り、宮を強引に自分のものにしてしまいます。どうしようもない成り行きで屈伏をしたものの、宮はこういう強引な行動をする夕霧を恨みに思い、ますます心を閉ざしてしまいます。
夕霧は翌日も居続けますので雲居の雁は夕霧を恨み、怒って子供を半分連れて実家に帰ってしまいます。
仕方なく夕霧は妻の里に迎えに行くけれども、雲居の雁はのんびり遊んでいて、夕霧と一緒に三条の邸に帰ろうとは致しません。父大臣も娘の味方で、帰る事はないと言うのでした。

「御法(みのり)」
紫の上の死が書かれている帖です。

三月、紫の上発願き法華経千部の供養をして、法華八講が二条院で行われました。
それはこの世の極楽のような素晴らしい法会で、今上、東宮、秋好中宮、明石の中宮はじめ、源氏関係の人々がこぞって参列しました。紫の上はこれらの人々と会うのもこれが最後と思い、昔、源氏の愛を争った、明石の君や花散里の君も今は懐かしく、永の別れの想いを込めた歌を贈答します。

法会のあと、また病床に臥す紫の上。源氏は法会を機会に、尊い仏事を多く行い、あらゆる修法を命じて、紫の上の快癒を祈ります。
しかし祈願の験は一向にあらわれず、夏は暑さのため一層衰弱し、時々気を失う事さえあります。
明石の中宮の生んだ宮たちの中で、紫の上は特に三の宮を特に可愛がっていて、三歳になったばかりの三の宮に
「大人になったらこの軒の紅梅と桜を見て楽しむように。そして仏になった私にも花を供えてちょうだいね」
と遺言するのでした。

秋。明石の中宮がお見舞いに来ます。中宮と話しているうちに紫の上は気分が悪くなり、中宮に手を取られたまま臨終を迎え、その夜、帰らぬ人となりました……。
享年四十三。八月十四日。

源氏はあまりの悲嘆に茫然自失し、夕霧が遺体の側に入って来た事を咎める意識も失ってらっしゃいました。
翌。八月十五日、葬送はすべて終わりました。正体もない源氏に代わって夕霧が頼もしく全てのことを采配致しました。七日、七日の供養も丁重に終えました。
源氏は悲しみのあまり何も考えられません。今こそ出家しようという気持ちになりますが、それも世間が何と噂するかと思い、決行できないでいらっしゃいます。

「幻」
紫の上の死の翌年のお話。
紫の上の死後、源氏は紫の上との思い出の濃い二条院に籠っています。社交家だったのに、今は人間嫌いになり、年賀の人にさえ逢わない状態です。夕霧と蛍兵部卿の宮以外には誰とも面接したがりません。
六条の院の女の君たちをさえ訪れようと致しません。
三月。満開の桜の花を散らすまいとして、木の周りに几帳をめぐらせようという三の宮の無邪気な言動に、源氏は慰められます。
四月、五月、六月、七月、八月、九月、十月、十一月、十二月。それぞれに紫の上の想い出が頭をよぎって一年が経ちます。ようやく源氏は出離の決心も固まったように見受けられます。
十二月の十九日から三日間にわたる仏名会の日に、源氏は一年間誰にも見せなかった姿を、初めて人々の前人気現します。昔よりずっと美しく、神々しく、仏そのままのような源氏の生身の姿を仰いで、人々は思わず感涙にむせんだのでした。

「雲隠(くもがくれ)」


かぷ