風に吹かれても!雨にうたれても!

桜田淳子さんの幸せを願うとともに、良き70年代の心を少しでも残したいと思います。

『追いかけてヨコハマ』の魅力

2012-09-02 12:06:20 | 日記
『追いかけてヨコハマ』を一押しするファンはどの位いるか興味がある。

中島みゆきさん提供の二作目だ。

まず、中島みゆきの楽曲には、微妙な角度があるように思う。

聞けば中島みゆきの曲だとわかるのは、そんな所にある。

冒頭部分を取り上げてみよう。
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追いかけてヨコハマ あの人が逃げる
残した捨てゼリフに誰か見覚えはありませんか

追いかけてヨコハマ あの人がいつも
この街をほめたことだけが裏切りの手がかりです

旅の仕度をした人ばかり どうしてこんなに通るのでしょう
ヨコハマヨコハマこの船は 街ごと運んで旅ですか

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イキナリ反対の言葉を投げかけてくる。
『追いかけて』と『逃げる』
『セリフ』と『見覚え』(本来なら聞き覚えのはずだ)
『ほめる』と『裏切る』

この語感のコントラストが、この曲全体の違和感を産み出している。
そして、この違和感こそが、中島みゆきの描き出す『情念の世界』だと思う。

そして、同じような言葉の繰り返しにより、だんだん聞き手をその世界に引きずりこむ。

そして、それは、メロディラインと相まると、何か、ますます座りが悪くなり、違和感が残る。それが、中島みゆきの曲の持つ角度だと思う。

中島の曲は、時代を映し出しているが、どこか屈折している感じがする。その屈折率が微妙なのだ。

中島みゆきが、70年代、80年代、90年代、2000年代と世代を超えオリコン1位を取っている理由が垣間見える。

淳子さんはどうか。
演じるのは一流だが、本来、一途で真っ直ぐな性格だ。
そこが、この曲との角度の差を産んでいる。

そして、価値観が異なる。

この曲は、横浜を意識して異国情緒をオリエンタル風にアレンジしている。

中島みゆきが歌う場合、ビートを聞かせて、追いかけるイメージを増幅させている。
しかも、歌声の調子から追いかける女性に強さを感じる。
いずれ、逃げる男は、捕まるだろうことが予感させられる。
1979年の男女間の距離感をこう表現している。

淳子さんの曲は、フラットになる。それは、センチメンタルジャーニー(感傷旅行)で、追って見たものの、結局、傷ついた女性をイメージさせられる。

見方を変えればば、男に対するそこまでの執念が感じられない。多分、去る者は追わない。
彼女のこれが本能なのであろう。

しかし、この差は妥当なのであろう。
20歳の淳子さんに、男を追い詰める情念があったら怖い。
やはり、傷つく乙女で折り合いのつく所だと思う。

やはり、この人の曲は、年齢に応じた青春を歌いあげるところに真骨頂がある。
そういった意味では、二十歳前後の淳子さんの失恋の代表曲と言える。

決して、中島ワールドに、引きずり込まれなかった。

そのことは、逆に、作詞家、作曲家にとっては不満が残ったことであろう。
すぐに、研ナオコがカバーし、翌年、自身がカバーすることになる。

やはり、淳子さんは、エレガントを貫いた点では、ブレはない。

欲をいえば個人的には、淳子さんなら、むしろ、庄野真代のマスカレードのようなアレンジの方があっているように思ったり、ニューヨーカーが好みそうなラテン系でありながらこってりしてなく、軽い感じがいいかな、なんて思うのは邪道だ。

やはり、淳子さんの曲の聴き方は、
『好きになるまで、黙って聞く』
『良さを体に叩き込む』
ことに尽きる。

追伸
中島みゆきさんは、『アザミ嬢のララバイ』や『時代』も印象に残る。

オールナイトニッポンも軽妙なトークで楽しかった。
しかし、最初、松坂慶子さんがゲストで出たときは、ほとんど喋れなくて、逆に松坂慶子さんがリードして、番組が進行したことを思い出す。
美女にコンプレックスを感じていたそうである。
案外みゆきさんも可愛い面があったりしたのを思い出す。