桜田淳子さん、山口百恵さんを語る上で、三人娘を考えていかなければならない。
トリオの由来が、スター誕生、日本テレビ主導によるものとはいえ、それは強固なものであったということは紛れもない事実である。
以前このブログで、1974年の紅白歌合戦での、桜田淳子さん歌唱シーンがそれを物語ることは書いた。
しかし、それは、山口百恵さんが桜田淳子さんを気遣うものであり、気心を知るから自然に出たものであった。
1975年3人は、周囲の期待通りに成長する。
ステージでの立ち居振る舞いから、歌唱、など、歌手として、期待以上の成長を遂げる。
花の高2トリオになり、初恋時代の映画が公開される。
それに伴い、3人に『初恋時代』が贈られる。
見どころは、3人3様の歌唱法が聞かれるところだろう。
最初、昌子さんが歌い、次に淳子さん、最後に百恵さんが歌うというものだ。
リレーをしながら、お互いに視線を向けあうシーンは実に微笑ましい。
私が一番好きなのは、百恵さんが自分のパートを歌い、淳子さんを見つめ、淳子さんと目が合うのを待っているところだ。
まもなく淳子さんは、百恵さんと目が合う。
百恵さんは、深くうなずき、淳子さんも同じように返す。
ほんの一瞬の間に、どれだけ多くの会話が交わされたのだろうか。
『うまくいったね』、ということなのだろうか。
若いがプロ根性を持つ二人にはそうした会話は不要だろう。
もしかしたら、淳子さんの身内に起こった不幸な事件以来の度重なる心労について、
『大丈夫だった。頑張って』と、百恵さんが、投げかけたのではないか。
それに対して、『もう大丈夫』と淳子さんが返したのではないか。
しかし、そうした無言の会話が、二人の間に成立するのだろうか。
淳子さん、百恵さん、二人の歌唱が多くの人を引き付けたのは、人より優れた表現力があったからだと思う。
だから、僕らは彼女らの歌を聴き続けたのだ。
そう考えてみると、それ以前に楽屋での会話も考慮に入れると、淳子さんの歌唱パートを聞いて、百恵さんが、淳子さんの心を感じることは十分可能だろうし、百恵さんの歌唱を聞いて、淳子さんが気遣いを感じることはできるのではないかと思う。
また、淳子さんパートになってから、昌子さんが振り返り、百恵さんと目線を合わして安堵しているかのように見えるのも合点がいく。
何があっても、ファンの前ではスマイルを忘れない。そんな気高い三人をたやすく呼び捨てにできるだろうか。
『私たちには、ファンがいるのよ。』
淳子さん、百恵さん、共にトップアイドルゆえの苦悩を、ぼくらはもう少し考えてあげる必要があったのかもしれない。
追伸、この動画をUPされた方に、感謝いたします。3人娘のファンであることに免じて。