ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

The Madness of Lord Ian Mackenzie

2010年01月28日 | A

Jennifer Ashley. 2009. The Madness of Lord Ian Mackenzie. Leisure Historical Romacne.

これ、見逃していた方、絶対読むべし!

Story:       
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

90年代は忘れられない良い作品がボロボロ出ていたもんだけど、そういうものを創りだすにはヒストリカル・リージェンシーロマンス分野の作家さん達には最近はもうちょっとがんばってもらわないと…という低調気味が続いてたように思うんです。

でもこのJ.Ashley、やってのけてくれました!

現代だったらいわゆる自閉症とされるだろうLord Ian Mackenzie(公爵の弟)がヒーローです。
Ianはとても賢く、嘘がつけず、兄達や世話係も兼ねている側近以外との人間関係を築くのはとても難しいので、公爵の政治・外交の仕事の手伝いをしたり、趣味のアンティーク陶器を収集したりして人目を避けるように暮らしていました。

Ianの中で一番彼が怖れていたのは、自分の激しい怒りを抑えることができないこと。
彼の特異な性質もあいまって、子供の頃、自分の父によって「頭がおかしい」とされ精神病院へ送られてしまいます。
実験、治療と称する虐待を受け続け、Ianは悲惨な子供時代をそこで過ごしたけど、父が泣くなり、長男が公爵領を継ぐとすぐさま、ついに家に連れ帰ってもらうことができました。

が、世間はIanを「気ちがい」とみなしたままだし、Mackenzie家にまつわる悪いうわさなども兄達は一向に気にする様子もなく否定しません。


そんなIanの心を射止めるのは、Mrs. Beth Ackerly。
Bethも貧困のつらい子供時代を過ごしたけど、ロンドンの下町の牧師と結婚し、一時の幸せを味わいます。
牧師の死後、再び貧困生活に見舞われたけど、なんとかかんとか、とある上流社会の身寄りのない老婦人のコンパニオンとなります。
そして、この老婦人は彼女の遺産全てをBethに残し亡くなり、Bethはお金持ち未亡人となります。

もう情熱も悲劇もメロドラマもいらない、残りの人生は静かに暮らしたいと願うBethは、Ianと出会った瞬間、彼と関わりあうとまた色んなことに巻き込まれそうな予感がします。

Bethを一目見たIanは彼女がすごく欲しい!と思います。
高価で魅力的な陶器を目にして「絶対に手に入れたい」と思うような、捕りつかれたような執拗さで、IanはBethを自分のものにすると決心します。
比喩表現やジョークも分からなければ、恋愛感情も理解できないIanだけど、この捕りつかれたような思いが愛に変わっていく様子をたっぷり楽しめます。

この作品が他の作品と一味違うのは、お定まりのラブシーンからも脱出しているところ。
IanがBethを誘惑する手練手管、ご堪能アレ~


Ianには公爵をはじめ兄達が3人いるので、シリーズに期待
今回の作品内には次回作?の伏線がいっぱいでした。
楽しみ楽しみ



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