ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Wedding of the Season

2011年02月19日 | F-G

Laura Lee Guhrke. 2011. Wedding of the Season. Avon.

Story:    
Dialogue:  
Hero:     
Heroine:   
Sensuality: 

Guhrkeの作品には波があるけど、これまではだいたい作者の名前だけ見て、あらすじもよく読まずに買ってます。
今回の作品、Abandoned at the alterシリーズの一作目は、アマゾンや個人のブログなどでは絶賛の嵐ですが、私は少数派のほうに入ったようです。う~ん、私にはイマイチだったけど、人気があるワケもわかるような…。


Lady Beatrix Danburyは婚約者William Mallory(公爵)との結婚式まで数日というところで捨てられてしまいます。
Williamは公爵家の跡取りとはいえど、かなり熱心な考古学者。
結婚式の1週間ほど前に、ツタンカーメンの墓を掘るという発掘チームに参加することが許されたと知らせを受け、Beatrixに一緒に来てくれるように頼みます。

BeatrixはそんなWillの願いに愕然とします。
彼女にとっての幸せとは、公爵である旦那様に仕え、子供を生み、公爵領の領民達のために奉仕し、静かに人生を送ること。
Ladyとして、また(未来の)公爵夫人としての責任があるから、この生まれ育った英国を離れるなんて考えられません。
それに、エジプトなんて未開の土地で発掘チームのテントで暮らしたりするなんて、Ladyとして育ったBeatrixには無理。

そして何よりも傷ついたのは、公爵というとても重要な立場や責任を捨てて、出るか出ないか分からないものを堀に行くためにWillが英国を去り、自分をあっさりと置いていったこと…。

WillはWillで、自分の考古学への熱をBeatrixは理解してくれていたと思ったのに、一緒に来てくれるほど自分を愛してくれてなかったのかと傷つきます。
このお話は1900年代の設定で、貴族達の立場や財政は下降の一途をたどる頃。
公爵として残っていてもできることはないと判断したWillは、自分の人生を考古学にささげ、成功することによってお金も稼げ、公爵領にも何かできると、その道を選んだのです。

そして6年後、そんな2人が再会します…。

              

よくある『嫌いだけど本当は好き』というパターンとは少し違います。

二人は幼なじみで、思春期を過ぎた頃から愛し合っていると自覚しています。
問題は、二人が幸せな結婚をするためには、Willは譲歩しなければいけないところがあり、Beatrixのほうはもっと思い切った決断をしなければいけない、というところ。
そこから二人は素直になれず、自分達の気持ちを否定しています。

こういうプロットはものすごく新鮮な感じがしたし、ヒーローとヒロインの心情がどのように変化していくのか、どんどん読み進んでいった私。

でもがっかりでした。

WillもBeatrixも、最後の最後まで「譲れない」「決断できない」の状態。
「どうなるの?」とハラハラさせられたんだけど、主人公達は最後であきれるほどあっさり歩み寄りをし、終わり。うーん、そこがミソだったのか?

私にはWillは全然魅力的な男性には思えませんでした。
6年前に『一攫千金』のために婚約者を置き去りにしたわりには、英国に戻ってきた理由は実は彼女のいとこから発掘調査を延長するための資金援助を頼むため。
あつかましいにもほどがある!

それに、Beatrixが子供の頃など過去に思い切った決断をできなかった出来事を何度も繰り返し、彼女を臆病者呼ばわり。

私は結局、Willがどうして公爵という重要な立場を「もうダメでしょ」みたいにあっさりと責任放棄したのかが理解できずじまい。
この辺の彼の考えには納得できずじまいです。
ツタンカーメンを掘り当て、学者としてお金持ちになって公爵領の建て直しを図るとかなんとか説明はしてたけど、なんてギャンブル。
英国にいたって、できることはあったはずじゃ?(となったらこのお話は成り立たないか!)

私は堅実に将来を見据えるBeatrixの言い分がよく分かるだけに、Willは無神経な男にしか見えませんでした。
Beatrixだって海外旅行したいって。これを、「行かないのはお前に勇気がないからだ」なんて言うWill。
いや、あの、そんな簡単なことじゃないっしょ?あの時代に。特に女性にとっては。
結婚して、新婚旅行とかでWillが連れってあげればいいんじゃないの?

「結婚式はキャンセルになりました」って招待客全員に手紙を出して、贈り物を返す手続きをしなければならなかった女の気持ち、結局Willは分かってなかったような…。



と、ブログ復帰最初のレビューはこうなりました。
この作品で、BeatrixがWillのことをあきらめて婚約したもう一人の公爵というのが出てきます。
その彼が、次の作品"Scandal of the Season"のヒーローです。

お話中、Beatrixが乗りこなした車。


他にも数冊LLGは読んでます。ここ↓にレビューへのリンクがありまーす。
>Secret Desires of a Gengleman



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