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40代以上はなぜ「石丸伸二」を「理解できない、大嫌い」なのか?若者不在の「オールドメディア」と化した「ネットとX」の限界

2024年07月13日 13時07分30秒 | 政治のこと

40代以上はなぜ「石丸伸二」を「理解できない、大嫌い」なのか?若者不在の「オールドメディア」と化した「ネットとX」の限界

7/13(土) 8:00配信 2024



40代以上はなぜ「石丸伸二」を「理解できない、大嫌い」なのか?若者不在の「オールドメディア」と化した「ネットとX」の限界(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 




「高齢者に虐げられる若者」の象徴

現代ビジネス
誰も予想できなかった「異変」
Photo by gettyimages


かつてない数の候補者が乱立し、また各候補者の政見放送が社会に波紋を呼ぶなど、混乱のなかで投開票日を迎えた東京都知事選。結果はご存じのとおり、開票時間になると同時に小池百合子氏の当選確実が報じられる、いわゆる「ゼロ打ち」の圧勝劇となった。


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見逃せないのは2位以下の波乱だ。当初は2位を独走しながら小池氏を猛追、あわよくば小池都政を終焉させるのではないかと支持者たちが盛り上がっていた蓮舫氏が、広島県安芸高田元市長の石丸伸二氏に追い抜かれ、まさかの3位落選となった。


メディアでは「蓮舫氏の大惨敗」「共産と組んだことで票離れを招いた」などと報じられているが、氏の支持はもとより立憲と共産の岩盤支持層頼みでそこまで上振れも下振れもしていない。これは端的に石丸氏の大健闘と評価するべきだろう。公示直後の関係筋の事前調査では、首位の小池氏に肉薄する形で蓮舫氏が2位につけ、そこから大きく引き離されて石丸氏3位という下馬評だった。実際今回の都知事選で衝撃を受けたのは蓮舫陣営だけではない。政治関係者もメディア関係者も、ほとんどの人が石丸氏の大躍進を予想していなかったのだから。


いったいなにが石丸氏をここまで躍進させたのか? そしてなにより、なぜその躍進の兆しを、ほとんどの人が捉えられなかったのか?


Xで渦巻く「理解できない」の声
いきなり結論から言ってしまうと、今回の都知事選の「石丸フィーバー」を支えたのは間違いなく10代~30代の若年層である。


逆に蓮舫氏は、立憲民主党と日本共産党の主たる支持層であるシニア世代の支持を固めた。データでみるとその差は歴然で、報道各社の出口調査を見ると10代・20代・30代では石丸氏が投票先としてもっとも多く、これらの世代における蓮舫氏の得票(支持)はかなり小さいことがわかる。


統計的には、東京は日本でもっとも少子化が進んでいるものの、しかし日本全体を見ればもっとも若年層の絶対数が多い地域だ。つまり若者が「数の論理」によって高齢世代の政治力を跳ね返しうるポテンシャルを持つ、数少ないエリアのひとつであることもまた事実なのである。今回の「石丸フィーバー」は、「若者の絶対数が多い」という東京の特性がわかりやすく顕在化した事例と見ることができる。


しかしながら、いまやアクティブな情報発信や意見交換を行うユーザーをもっぱら中高年層が占めるXを観察してみると、10~30代が石丸氏を熱烈に支持していることについて、理解がまったく及ばない人が多いようだった。


見え方が「正反対」だった
Xのユーザーたちに、若者たちの投票行動が理解できなかった理由はいたってシンプルだ。石丸氏はソーシャルネットワークを利活用してそのプレゼンスを高める「SNS時代」の政治家のひとりであるのはまちがいないのだが、しかし若者層と中高年層では石丸氏の「見えかた」が180度異なっていたからだ。


Xに常駐する中高年層から見える「石丸氏」といえば、たとえば選挙前からX上で拡散していた安芸高田市長時代の「パワハラじみた」言動の切り抜き動画や、言葉尻を捉えた揚げ足取りに終始しているイメージだった。ようは「部下を攻撃的・挑発的な態度で詰めたり、細かい言葉遣いや表現にいちいち突っかかって議論を空転させ、“仕事ができる人っぽい”演出をしているだけの胡乱な人物」との印象を持っている人が多かった。


念のため断っておくと、X民が抱く石丸氏へのイメージがまるっきり偏見や誤りだったと言いたいわけではない。実際に石丸氏には、市長時代のトラブルで名誉棄損訴訟にまで発展した来歴もあり、その不穏当な言動は必ずしも敵対陣営によって誇張された「印象操作」というわけではない。


だがそれは、TikTokやYouTubeショートで「切り抜かれた」、つまり若者たちがスマートフォン越しに見る「石丸伸二」の姿とは相当にかけ離れていたことは間違いない。


「高齢者に虐げられる若者」の象徴
YouTubeショートやTikTokで見る石丸伸二は、Xのコンテクストとはまったく異なっている。「だらけきったシニアに牛耳られた日本の古い政治体制・既得権益に、果敢にも風穴を開ける若き俊英」のように見えるし、そしてなにより、石丸氏と対立して紛糾する議会や議員たちの様子は「既得権益側の年寄りたちが、志ある若者を妨害している」という、現代の日本社会のある種の“メタファー”のようにも見えてしま
うのである。


YouTube上やTiktokで拡散している石丸氏の動画は、安芸高田市議会で、市長時代の石丸氏が高齢の市議会議員たちを論戦で言い負かすシーンを切り取ったものが典型的だ。動画には「リアル半沢直樹!」「若さと勢いがある」「日本が変わるドラマを見せてほしい」といったコメントが寄せられ、石丸氏に対して「閉塞的な高齢社会に風穴を開けてくれる存在」という期待感が寄せられていることがわかる。


石丸氏はたしかにXのアカウントを持っているが、しかしそこは彼の「主戦場」ではなかった。だからこそ、Xだけを見て「世の中」を知ろうとしている人(最近は本当にそういう人が多くなってしまったように思う)ほど、「石丸フィーバー」の深層が見えなくなってしまった。それには一般ユーザーだけでなく、政治関係者もメディア関係者も含まれていた。


テレビや新聞といった旧来の媒体はしばしば「オールドメディア(レガシーメディア)」などと呼ばれる。しかしながら今回の一件で確信したのは、ウェブメディアやXなどの主として中高年層が集まるいわゆる「インターネット」の世界は、いまや若者たちが集まる「ソーシャルネットワーク」の世界とは相交わることがないということだ。それぞれの観測範囲や文脈やトレンドがまるで異なる分断線がふたつの世界の間には横たわっている。


端的に言えば「インターネット」も今日においては、もはやれっきとした「オールドメディア」の一員なのである。


Xを見れば、トレンド欄はいつもその日放送されているテレビドラマやスポーツ中継のタイトルばかり表示され、タイムラインでバズる話題はテレビの情報番組で取り上げられたゴシップや事件がそのたたき台になっている。そう、いまの「インターネット」ユーザーがやっていることは、「オールドメディア」のユーザーとなにもかわらない。お茶の間のワイドショーからスマホのアプリにその舞台が移っただけだ。



「国政進出」の後で起きること
いずれにしても、ウェブメディアやXで拡散する切り抜きから見える(≒中高年層がネットメディア越しに見る)石丸伸二と、YouTubeショートやTiktokといった動画SNSで見られる(≒若者層がソーシャルメディ
ア越しに見る)石丸伸二には、同一人物とは思えないようなコンテクストの差がある。


だが先ほども述べたように、どちらか一方が真実でどちらか一方が虚像というわけではない。おそらくどちらも石丸氏の一面を捉えたものだろう。とはいえ石丸氏やその陣営は、自分がどういう「コンテクスト」によって支持を獲得しているのかよくわかっている。彼の支持層たる若者層がもっとも多く住んでいる街が東京であり、そしてその東京で、ちょうど都知事選が行われる――それは彼にとって、自分がSNS上でつくってきた「コンテクスト」の強さを内外に示すまたとない好機に見えたことだろう。


蓮舫氏を抑えての2位という圧倒的な実績を得た石丸氏が狙っているのは、次の衆院選だろう。当人は表面的には国政進出に否定的な発言をしているようだが、確実に出馬するだろう。行政の長から代議士になったとき、これまではやや曖昧だった石丸氏の政治的スタンスも明らかになる。彼の支持層が10代~30代であることや、ライブ配信での言動をふまえると、ネオリベラル的な構造改革派としての政治的カラーを鮮明にしていくのではないかと予想する。


再びマジックを起こせるか?
とはいえ国政では、ほとんどの選挙区で高齢者票をいかに取れるかがそのまま当落に直結してしまう傾向がある。国政に出たとたんに、石丸氏がこれまでの「若者ウケ」のスタンスをいきなり捨てて「シニア寄り」に豹変するとは考えにくいが、今回の東京都で起こったような“マジック”を地方で起こせるかどうかは不安要素では
ある。


次の衆院選にどこで出るのかは未確定であるにせよ(おそらくは地元の広島で出るのだろうが)、選挙区の選択が嵌りさえすれば現職を倒しうる地力があることは、蓮舫氏に勝利したことによって十二分に証明されたのではないか。


一部メディアではすでに今後の去就についての話題がひっきりなしだ。「地元広島、それも1区で出るのではないか」といった憶測も駆け巡っている。たしかに広島1区は市内随一の繁華街を擁しており、県内でも若者が多数暮らしているエリアではある。個人的にはさすがに無謀というかありえないとは思うのだが、もし石丸氏が本当に広島1区で本当に出馬して、そして本当に現職(岸田文雄)を倒してしまうようなことがあったら、それはもはやフィーバーどころではなく、「無血革命」といっても過言ではない。


果たして「石丸フィーバー」が今後どれほどのうねりとなるのか。


ウェブメディアやXのような、分断された「オールドメディア」の世界から眺めているだけでは、もはやなにも見えなくなっている。


御田寺 圭










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