話にだけは聞いていたのだが、実物とお目にかかるのは初めて。
当然、それを食すのも初めてである。
「甘い醤油」、当地のかたはこれで刺身を食う。ウマイウマイと言って食う。
「食わず嫌い」という癖好がほとんどない私のことだから、なんのためらいもなく食ったのだが、
思わず笑ってしまった。ほんとに甘いのである。
しかし刺身にはどうなんだろう?と内心では首をひねりつつ、さりとて不味いかといえば、それほどのことはない。むしろ、これがこの地の味なのだと思ってしまえば、それはそれなりにイケテイルような気もしてこないではないのだ。
朝食のテーブルの上にも、当たり前のようにそいつはいた。
試しに、冷奴にかけて食ってみる。
イケルではないか。
「わからんもんやな」とひそかな発見にほくそ笑みながら、冷奴をもう一かけ、バイキングテーブルからもってきて、「甘い醤油」をかけてまた食ったのだ。