日本の生殖医療を世界レベルに!

男性不妊症専門医が学術活動ならびに雑感を徒然と綴ります。

第14回関東アンドロロジーカンファレンス+第15回日本IVF学会

2012-09-30 20:33:00 | 日記
9/29に東京で開かれた第14回関東アンドロロジーカンファレンスでは「生殖医療臨床において男性不妊専門医はどう関わるべきか」というタイトルで60分特別講演、9/30に大阪で開催された第15回日本IVF学会では、「Y染色体微小欠失分析–男性不妊症の原因診断と治療–」というタイトルで30分講演してきました。これまでの臨床経験で得られた様々な知見を自分なりに噛み砕いてお伝えすることができました。
特にIVF学会においては非常に聴衆が多く、コメディカルの方もたくさん参加されていたようで、日本の生殖医療のレベルアップに少しは寄与できたかと考えています。今後も患者さんひとりひとりを大事に、全力を尽くします。

AZF欠失検査について

2012-09-12 20:17:21 | 日記
先日にまとめた、本邦での無精子症患者におけるAZF欠失の陽性率について報告しておきます。

182例の無精子症患者において、AZF欠失を認めた患者は21例(11.5%)でした。
その内訳は、
AZFa 3例
AZFb 1例
AZFb+c 9例
AZFa+b+c 3例
AZFc 5例

AZFc欠失の方はmicro-TESEにて精子回収の可能性があることから、AZFc欠失の5例を除く16例で、micro-TESEを回避してもらうことになりました。これは残念なことではあるのですが、無用な侵襲を避けることができたということで、本検査の有用性が明らかになったわけです。
すなわち、本邦では無精子症の9%の方が手術前に断念すべき症例であったのです。

本検査は無精子症の方には必須の検査と考えます。
日本ではまだまだこの検査が行われないまま、micro-TESEがなされています。
これは大いに問題であり、もっと普及させなくてはいけません。
10月のIVF学会でも本検査の重要性を講演することになっています。


受精着床学会&ASPIRE

2012-09-02 20:26:53 | 日記
参加してきました。今回は発表ならびに講演が盛りだくさん。
スライドを作るのにかなり時間がかかりました。

まず受精着床学会での発表は「停留精巣固定術後の無精子症に対するmicro-TESEの有用性」についてです。
小児期、もしくは青年期になったとしても停留精巣に対し、固定術がなされた後の非閉塞無精子症はmicro-TESEでかなり高率に精子回収が可能であることを報告しました。回収できる群と回収できない群を術前に予測することが難しいことも併せて報告しました。

次いで、学会横で行われたセミナーにおける講演では「AZF微小欠失検査により無駄なmicro-TESEを回避できるか」というもので、これまでの全データを報告しました。いつでもすべてopenにすることをモットーにしています。包み隠さず全てをお話ししたつもりです。現時点で出来ること、出来ないことについてお話ししました。

次いで、国際学会ASPIREの講演では、「非閉塞性無精子症に対する治療戦略」についてお話ししました。これはずべて英語でのセッションですが、やはり30分しゃべると、自分の英語力低下を思い知らされました。

海外のドクターと色々情報交換ができ、またプラスになりました。特に染色体、遺伝子異常に関しては知識がずいぶん整理できたと思います。
最後にASRM(アメリカ生殖医学会)の会長であるDr. Lambと個人的に寿司を食べに行く機会を得て、1時間半熱く議論できたのは幸せなことでした。今後もグローバルな活動を目標に頑張っていきます。