日本の生殖医療を世界レベルに!

男性不妊症専門医が学術活動ならびに雑感を徒然と綴ります。

COVID-19 mRNAワクチンの男性妊孕能に関する検討

2021-09-10 08:40:23 | 日記
この度、COVID-19 mRNAワクチンの男性妊孕能に関する検討を行いました。
本邦では接種開始の時期が遅く、また20-50歳という生殖年齢に対する接種は医療従事者からのスタートで、いまだ十分な観察期間がないことは承知しております。ボランティアの医療従事者を対象に行ったスタディに関して、まずはpreliminaryなデータではありますが、結果を公表するに至りました。本検討は継続中であり、順次結果は報告していく予定です。
http://www.reposaka.jp/pdf/rco/covid.pdf
http://www.reptokyo.jp/pdf/rct/covid.pdf

以下、サマリーです。

新型コロナウイルスのワクチンでは、人工的に合成したウイルスの遺伝子を使った「遺伝子ワクチン」が世界で初めて実用化されました。mRNAを使った医薬が実用化されたのはこれが初めてで、このmRNAワクチンが妊孕能に及ぼす影響はまだ知られておらず、不妊につながるのではないかという誤情報が世界中を駆け巡っています。その影響を調査するため、ファイザー社製COVID-19 mRNAワクチン接種の男性ボランティアに対して、ワクチン接種前後の精液検査結果を解析しました。調査結果サマリーとして、精液量、精子濃度、運動率、運動精子濃度、総運動精子数、運動能(直線速度、曲線速度、頭部振幅、精子運動指数)に有意な低下は見られず、精子クロマチン構造アッセイ(精子DNA損傷率、精子高度DNA損傷率、未熟精子率)において有意な上昇はみられませんでした。COVID-19 mRNAワクチン接種の男性生殖能への影響に関しては、世界でもまだ一報しか報告がなく、また精子の「質」にまで言及した報告は今回が初めてです。COVID-19 mRNAワクチンによる精子への負の影響は認められなかったため、現時点では男性側妊孕能への影響は過度に不安に捉える必要はないと考えます。しかしながら、現時点では長期予後は不明であり、また本検討は精液所見が比較的良好な方が多く、検体数も多くはなく、今後もワクチンの追加接種の必要性が報道されていることもあり、今後更なる検討が必要と考えています。

日本テレビで9/9にすでに取り上げていただきました。ご視聴いただければ幸甚です。
https://www.news24.jp/articles/2021/09/09/07936984.html

久しぶりの投稿です

2021-09-06 23:42:32 | 日記
PCを換えたため、パスワードなど失念しており、まったく更新できておりませんでした。
あきらめておりましたが、なんとか再設定することができました。
今後も情報発信など行ってまいる所存ですのでよろしくお願い申し上げます。
手術件数やトピックなど振り返っていきます。