日本の生殖医療を世界レベルに!

男性不妊症専門医が学術活動ならびに雑感を徒然と綴ります。

12月の予定

2012-11-30 07:14:02 | 日記
12月の予定です。参考にしてください。

外来診療
石川病院(兵庫)(9:30-12:00, 予約不要)12/3, 5, 7, 10, 12, 14, 17, 19, 21, 26, 28
英ウィメンズクリニック(兵庫)(9:00-14:30, 予約要) 12/2, 8, 15, 16, 22, 29
親愛産婦人科(兵庫)(10:00-12:00, 予約要) 12/9
京野アートクリニック高輪(東京) (15:00-17:00, 予約要) 12/25

手術は石川病院(兵庫)、英ウィメンズクリニック(兵庫)、木場公園クリニック(東京)、京野アートクリニック高輪(東京)、岡山二人クリニック(岡山)で行っております。micro-TESE(日帰り手術)は毎日行っております(週末の手術も可能です)。精索静脈瘤手術は土日の1泊2日の入院でも対応しています。年内の手術も可能です。お問い合わせください。
セカンドオピニオン希望の際はこれまでのデータを出来る限りお持ちになってください。

11月の手術件数
micro-TESE 21件
simple TESE 6件
精索静脈瘤手術 9件

クラインフェルター症候群

2012-11-20 19:02:54 | 日記
染色体異常において、我々男性不妊専門医が最も目にするクラインフェルター症候群についてです。
一般的にクラインフェルター症候群は非閉塞性無精子症の中では難治性のものとされてきました。
欧州や豪州ではまだmicro-TESEが一般的に行われておらず、needle aspiration(経皮的に針でつく)やsimple TESE(小切開でのTESE)が非閉塞性無精子症患者にも施行されています。CaucasianはAsianに比べてSertoli cell only syndrome(精子形成細胞が全くない状態)の割合が低く、needleでも比較的良好な結果が得られます。しかしながらクラインフェルター症候群は精子形成している精細管は非常に少なく、また局在しているため、needleやsimple TESEではいい結果が出ません。
私が行っているmicro-TESEはこのクラインフェルター症候群で特に有用です。精巣内をほぼすべて網羅する形で観察ができ、良好な精細管だけをpick upすることができます。また私自身、現在Asianを治療することがほとんどで、どうしても一般の非閉塞性無精子症の方はSertoli cell only syndromeを示すことが多く、逆にこちらの精子回収率が低くなります。

2012年も年末に差し掛かってきましたが、今年は現時点で200例以上という非常に多くのTESEを施行させていただきました。
この1年間(というか11カ月間)でクラインフェルター症候群の患者における精子回収率は、現時点で15/21=71%と過去最高のデータです。
これまでの精子回収率55%と比べても、今年は非常に高いデータです。
一方、非閉塞性無精子症は71/156=46%です。
これだけ差が出ることを考えても、クラインフェルターは逆に私たちにとってはやりやすい症例なのです。

ラボ(培養部門)もこれだけ症例を経験すると、かなり洗練されてきて、精子回収率は昔に比べると良好なデータとなっています。
術者(私自身)のlearning curveはもうplateauに達していると思いますが、精細管処理、精子回収を担当するラボ陣のlearning curveはまだまだ上昇しそうに思っています。これだけの症例をほぼ同一のチームで行うことにより、sophisticateされていくこの感覚、とてもいいものです。他のどの施設でも対応できない(妊娠できない)ような症例を、チーム一体となって最先端そして最高の治療で妊娠していただくこと、今私自身の目標はここにあります。

患者さんにとって、そして従事している私たちにとってもいい医療ができるように努力を重ねていきます。

AERA

2012-11-15 22:25:17 | 日記
先週発売の朝日新聞出版「AERA with Baby特別編集ママになりたい」で男性不妊の監修を行っております。
不妊症全体が非常によくまとまった一冊となっています。
ご参考になさってください。

第57回日本生殖医学会@長崎

2012-11-10 21:48:41 | 日記
人生初めての長崎に行ってまいりました。
学会の内容は残念ながらもうひとつで、特に新たな知見はなかったように思います。

特にシンポジウムがどうしても普段あまり臨床をやっておられない先生が多く、自分のデータが非常に少なく、論文のreviewに終始している印象でした。日本の学会はどうしてもこういう傾向があり、昼間よりも、夜の懇親会の方が学術的に盛り上がるという、おかしな傾向があります。
その中でも特筆すべき点は一般演題の発表でした。私が豪州で研究してきたimmotile cilia syndrome精子無力症に関しての一例報告です。
富山の施設で、(こんな言い方をしては失礼ですが、、)ほとんどはじめて経験したであろう症例に対し、エビデンスを基に非常に見事に治療されており、妊娠に至っているケースレポートでした。
その発表は見事にまとめられており、質問に対しても非常に理路整然と答えられていました。
私も一言コメントをさせていただきましたが、こういう演題は本当にうれしくなります。
困難症例を妊娠に持っていくには、情報と知識と経験をすべて集結させて、さらに全力でやらないといけません。
たとえ、症例数が少ない地方でも、このような素晴らしい結果が得られているのには本当に頭が下がります。
いろんなことがあった学会ですが(テレビで見られてご存知の方もおられるでしょうが、、)、私の一番印象に残ったのはこのケースレポートでした。