男性不妊症に対するスクリーニング検査の中で最も頻度が高いホルモンの異常が血清FSHの上昇です。血清FSHが正常範囲内であるときは通常精液中に精子を認めることが多く、無精子症の場合は閉塞性無精子症(精路の通過障害)を疑います。しかし血清FSHが正常範囲内であっても精子形成障害を認めることが少なからずあり、例えば精子形成が精母細胞、精子細胞など途中段階で分化が停止するmaturation arrestがそうです。精巣の大きさが正常であり、また精管や精巣上体に明らかな閉塞が認められない場合においては、このmaturation arrestを念頭におく必要があると考えられます。
血清FSHが低値の場合、視床下部、下垂体系の異常を考慮します。低ゴナドトロピン性腺機能低下症の場合、血清FSH、LH、テストステロンはいずれも低値を示します。この場合は二次性徴の遅延などにより小児期に発見され、内分泌学的治療を受けていることが多いですが、勃起障害(ED)や射精障害、不妊症を主訴に来院されることも少なくありません。
二次性徴は通常に発来しているが、成人になってから視床下部、下垂体の機能低下が出現してきた二次性低ゴナドトロピン性腺機能低下症の場合には中枢神経系の腫瘍や脳腫瘍、頭部外傷などを除外するため頭部MRIを撮像します。
男性不妊で受診される方は、FSHが高値の場合が非常に多いのですが、これは精子が形成されないため、そのフィードバックで高値となっているのです。よく患者さんから「どうすれば上昇している血清FSH値が下がりますか」と尋ねられますが、FSHが上昇しているのは「原因」ではなく、「結果」なので、精子形成が進めばFSHは正常値に近づきますが、これを下げることは治療にはつながりません。
ちなみにMicro-TESE(非閉塞性無精子症に対する)の精子回収率はFSHのデータに相関がありません。私の今までの350例あまりのデータ解析においても、FSH値が低い方が回収しやすいということはありません。すなわちこのデータで一喜一憂する必要はないのです。
血清FSHが低値の場合、視床下部、下垂体系の異常を考慮します。低ゴナドトロピン性腺機能低下症の場合、血清FSH、LH、テストステロンはいずれも低値を示します。この場合は二次性徴の遅延などにより小児期に発見され、内分泌学的治療を受けていることが多いですが、勃起障害(ED)や射精障害、不妊症を主訴に来院されることも少なくありません。
二次性徴は通常に発来しているが、成人になってから視床下部、下垂体の機能低下が出現してきた二次性低ゴナドトロピン性腺機能低下症の場合には中枢神経系の腫瘍や脳腫瘍、頭部外傷などを除外するため頭部MRIを撮像します。
男性不妊で受診される方は、FSHが高値の場合が非常に多いのですが、これは精子が形成されないため、そのフィードバックで高値となっているのです。よく患者さんから「どうすれば上昇している血清FSH値が下がりますか」と尋ねられますが、FSHが上昇しているのは「原因」ではなく、「結果」なので、精子形成が進めばFSHは正常値に近づきますが、これを下げることは治療にはつながりません。
ちなみにMicro-TESE(非閉塞性無精子症に対する)の精子回収率はFSHのデータに相関がありません。私の今までの350例あまりのデータ解析においても、FSH値が低い方が回収しやすいということはありません。すなわちこのデータで一喜一憂する必要はないのです。