『ロビン家宝物殿よりNO.11』
伊万里の大皿です。
直径は約50㎝程。同じ柄の二枚組です。
この大皿、以前は奥座敷に飾られていたのですが、
ある出来事を境に蔵に仕舞われることになったのです。
それは10年程前の春のことです。
ある日県外ナンバーの車に乗った男性が我が家を訪ねて来ました。
古物商だと名乗りました。
田舎の農村を回り、古い家で蔵のある家を見つけると訪ねて
蔵に眠っている古くて要らないものを買っているのだそうです。
その男性は布が専門で、昔の布団で古い生地のものがあれば買いますと言いまして
唐草、特に赤唐草なら一枚7000円は出すって!
蔵の長持の中には昔の重い綿のカビ臭い布団がたくさん押し込んであります。
もう使うことはないでしょうし、要らないものをいい値段で買ってくれるのなら片付くし
一石二鳥とばかりに「分かりました。蔵を探してみますからちょっと待っていて下さい」と蔵の中でいろいろ探しました。
その頃、地方の農家は戸締りなどが甘く空き巣に入られたという話や、
普段は使わない蔵に久しぶりに入ったら、蔵の中のものがごっそり無くなっていた、
という話を聞いたりしてまして・・・
結構時間がかかって玄関に戻るとその男性が、
身体半分玄関前の部屋に入りこまんばかりに身を乗り出し、
「いや~この茶ダンス素晴らしいですねえ~奥の座敷にも黒檀の棚が見えますねえ~ちょっと上げて見せて下さいよ~」などと図々しい事を言うのです。
えっ!?なんだか怖いーーーーーーーー
「それはちょっとダメよ」と断り、布団を二枚(唐草模様じゃないけど)これでもいいならと出すと
「う~~んこれなら一枚2000円だね」と買って行きました。
帰ってからなんだかどんどん怖くなって来て
「もしかしたらあいつは窃盗団の偵察役か!?」
「布団を探させると時間がかかるからゆっくり家の中の様子を探れるのか!?」
と疑心暗鬼になってきた。
母も「怪しい怪しい」と座敷に飾ってあった物をとりあえず蔵に仕舞おうということになったのです。
それ以来、ずっと仕舞いっ放しと言う訳です。