『冬のソナタ』を読む
「冬のソナタ」(上195~210)
2 初めてのデート
冬のある日、バスの中で二人は偶然に出会った。その後、何度も偶然に出会う、街で、山で……
「初めて」(上p152)のデートは約束だけで、実現しなかった。「約束」(上p153)は当てにならない。だから、二人はまるで偶然のように出会うことにする。
*
すぐそこに、ユジンの目の前に、ジュンサンは立っていた。
「ここになんの用なの?」
心とは裏腹に、とぼけた態度でユジンが訊(たず)ねた。
「待ち合わせをしてるんだ」
「あ、そう」
「お前は?」
「あたしも待ち合わせ」
「あ、そうか。まだ来てないみたいだな」
ジュンサンが辺りを見渡しながら言うと、ユジンもとぼけた顔で続けた。
「もうすぐ来るわよ」
とぼけるユジンにジュンサンは笑顔を見せると歩き出した。ユジンは後ろからジュンサンの影を踏みながらついて行った。
(上p197)
*
二人は、デートの約束をしていなかったみたいに、まるで偶然のように会い、連れ立って歩き出す。まるで偶然ではないみたいに。つまり、運命のように。
(終)