漫画の思い出
平田弘史
『薩摩義士伝』
劇画の頂点。これを読まずに劇画を語るな。
宝暦治水事件を素材に、はげしい画面が洪水のように展開する。
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1754年―1755年(宝暦4年―5年)鹿児島藩が行った木曾・長良・揖斐(いび)の木曾三川の治水工事で多数の犠牲者を出した事件。幕府に川普請を命ぜられた鹿児島藩は、膨大な工事費や幕吏との対立に苦しみ、藩士50余名の自刃と30余名の病死者を出して工事を完成。この地方に多大の恩恵を残すことになったが、完成直後総奉行の家老平田靭負(ゆきえ)も責を負って自決した。
(『百科事典マイペディア』「宝暦治水事件」)
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寝転がって読んでいても、いつか起き上がり、正座してしまう。
硬い話だけではない。藩士を慰安する優しいおばさんも出てくる。
(終)