漫画の思い出
花輪和一(7)
『因果』『暑い』『寒い』
出鱈目。絵が浮かんでから話をでっち上げたらしい。出鱈目も才能だ。無理に筋を通すと、才能が枯渇する。
「雨之介はもう 発狂寸前です」
畳の目の拡大図。花輪の実体験だろう。
狂気と出鱈目の混合によって、花輪は編集者を試している。作家は編集者の幇間じゃないんだからね。甘えもあるさ。
「拙者は 幸福は つかめんな」
『怨獣』
紙芝居みたいな絵。
話はできている。だが、西洋の恐怖小説みたいで驚異が不足。
くだらない教訓で締め。わざとだ。
『帰還』
乱歩の『芋虫』の模倣。もっと残酷で醜悪で滑稽。
家のどこかに潜んでいる夫を妻が探す。夫の息が聞こえる。
「スーハー スー ハー」
この場面がいい。
(7の終)