団地小説短編集を歩く

団地小説短編集の舞台を歩きながら団地や地域の魅力をお伝えします。

番外編 8 夢か幻か モノレールと姫路城と桜の競演

2017-04-28 07:02:39 | 日記
        夢でも幻でもありません真実です。まずは解体工事の進捗状況です。

       平成29年3月27日

         

   外壁を残して中央部の解体が進んでいます。モノレールの軌道部分の断面の配筋の様子が分かります。前回の橋脚の

  断面では周囲のみでしたが中心部にも鉄筋が入ってます。橋脚の鉄筋は20㎜でしたので同じものでしょう。 

       平成29年4月3日

        

   解体工事の主役の鋼鉄の鋏です。崩した瓦礫を足場にして総掛かりで解体しています。

        

   道路をまたぐT字型をした大きな橋脚の上の部分を小さく切って下ろしています。写真 右 の橋脚の目のような二つ

  の穴はクレーンで吊るためのロープを通す穴です。

       平成29年4月12日

        

   解体がドンドン進んでいます。軌道とホーム部分がよくわかります。
       
        

   普通の橋脚は三分割でしたが大きな橋脚は切り刻まれました。しかし重量はいずれも20トン程度です。これは20

  トン積のトレーラートラックで搬出するためです。橋脚は土留めやテトラポットに再利用されることもなく、粉砕され

  くず鉄とバラスとなります。普通の橋脚の太さがが1メートル強なのに対して大きな橋脚は2メートル弱あります。

  このためつり下げるための穴があけられないのでフック打ち込んでて少し吊り揚げブロックの下にワイヤーを通してこれを

  つり下げて地上に降ろしたそうです。大きな橋脚だけ足場が組まれた理由です。

       平成29年4月19日

        

   さすがにモノレール駅の大空間部分には太い鉄骨が入っています。それ以上に鋼鉄の鋏は強力です。

        

   写真 右 橋脚の撤去工事が終わって作業スペースとなった架設盛り土の撤去が行われていました。

   株式会社 広築の皆様お疲れ様でした。また色々教えていただきましてありがとうございました。

      ちなみに 旧モノレール橋脚・橋桁撤去工事  橋桁撤去 3橋  橋脚撤去 4橋 のお値段は

             77,056,000円でした。  予定価格は86,757,000円でした。



          もしもモノレールが書写山まで延伸されていたら。

        

   写真 左 モノレール船場駅から姫路城方面です。姫路城は若葉で見えなくなってしまいました。姫路城西駅までは

        モノレールは桜の花の雲の上を飛ぶように走ります。

   写真 右 二回目の姫路城はモノレール姫路城西駅からは千姫の小径を清水門方面に歩いてください。きっと新しい

       発見があります。

           今でも乗れる姫路(動物園)モノレール
        
        

   姫路城をバックに快走するモノレールです。ずいぶん年季が入ってます。もしかしたらこちらが元祖姫路モノレール

  かも知れません。モノレールの記念レールのおまけに動物園の入場券と乗物券を付けましょう。自虐ネタですがマス

  コミで報道されれば知名度は全国区、予算のかからない企画です。試してみる価値はあります。次の塗り替えは是非、

  青色に。

         

   写真 左 桜の花をかすめて走るモノレール。正面には姫路城が。

   写真 右 城下町姫路で有りそうで無い風景それは武家屋敷の白壁と堀の風景です。そこに桜があれば満点なんですが

  実は世界遺産の姫路城には絵になる武家屋敷の風景がありません。明治9年に非常に大雑把ですが兵庫県(摂津国)飾磨県

  (播磨国)豊岡県(但馬国)名東県(淡路国)の大合併での県庁所在地になり損ねた姫路が代わりにもらったのが陸軍で日清

  戦争後は第10師団として師団司令部が置かれました。番外編 4 姫路モノレールだけでは無かった石見市長親子二代

  の執念(2017.2.2)の明治41年の姫路地図をご覧下さい。上級武士の住んでいた武家地は全て軍用地になっています。

   これが姫路城に武家屋敷が残っていない理由ですが、写真はいかにもそれらしい風景です。実は塀の中は野里小学校

  です。白壁も新しいものですが姫路市も地道に努力をしています。野里門の西になります。堀は中堀です。三度目の姫路

  城は是非ここにも足をお運び下さい。



      番外編 13 高尾団地・姫路モノレール大将軍駅 解体工事完了 まとめ(2018.1.26) があります。


              

小説神戸学園都市 1 プロローグ 

2017-04-21 08:15:43 | 日記
           小説神戸学園都市は学園都市を舞台にした小説です。

       

   学園都市のシンボルはこの大きなドームです。キャンパススクエアは大型書店や居酒屋もある学生街でもあります。

   菊久屋書店さんでは期間限定で「団地小説短編集」を販売していただきました。「団地小説短編集」を片手に舞台

  となった場所を歩く方もおられました。小説神戸学園都市は地元の方にも親しまれた小説です。

        

          小説神戸学園都市

   ある土曜日の青木家である。
  
   「お見合いの写真が来ているけど‥‥‥。きれいなお嬢さんだけども、圭介と同い年ね。大学の同級生みたいだけれど

  知ってる?」


   同じ日の原田家である。

   「相手の方は公務員だし、いいお話と思いますよ。あなたも、もう28歳いい加減に決めてね」

    母は役人は嫌いだが、お見合い相手に公務員は好きである。むげに断れない。

   「春に着ていく服がない」悦子の常套手段である。夏も秋も冬も買ってもらったが春はまだである。仏の顔も四度目で

  ある。母が言った。

   「お父さんに買ってもらいなさい」

   父はすぐに承諾した。いや、後難をおそれただけだである。

   悦子は思った。可愛い娘も28歳で粗大ごみ扱いか。少なくとも、風呂で歌っているあの下手な歌は嘘である。「嫁に

  行く日が来なけりゃいいと男親なら誰でも思う‥‥‥」


   父と二人での買い物はきっと小学生以来であろう。しかしこれでいいのである。父はハンドバッグになぜ神戸市の市章

  が付いているのか聞くぐらいの人間である。シャネルも何も分かっていない。

   シャネルのスーツにエルメスのバックにルブタンの靴、母が付いて来ればこんなには買ってもらえない。それにセンス

  の問題もある。

   その日の夜、悦子は写真を見て驚いた。天敵、青木圭介である。

   悦子と圭介は大学時代、同じゼミであった。しかし、いまさら断れない。


   お見合いはお仲人さんのお宅でとの話であった。ご自宅は神戸市西区学園西町4丁目。母校の近くであれば、きっと

  話が弾むとの配慮である。ご遠慮なくと言われても、ご遠慮しなければいけない訳がある。長居をしては何時ボロが出

  るか分からない。


   キャンパススクエアは敷地面積18.600㎡。ダイエーグルメシティーを核店舗に約45店の広々としたショッピング

  センターである。キャンパススクエアの、とある小さな喫茶店である。いや、喫茶店は一軒しかない。まさかシャネルの

  スーツでミスタードーナツでお見合いをしたとなれば末代まで物笑いの種である。

   おかげでお見合いは自己紹介程度で無事に終わった。


   喫茶店を出た二人である。開口一番悦子が言った。

   「圭介はなぜ断らなかったのよ」

   「てっきり悦子が断ると思った。武士の情けだ」

   「へえ、圭介は優しかったんだ」

   「それより、なぜ悦子が断らなかった?」

   「まさか相手が圭介とは思わなかったから‥‥‥。服を買ってもらった」

   「それで、すごいかっこう」

   「それがほめ言葉?」

   「いや、馬子にも衣装」

   「ぜんぜんほめ言葉になっていない。いいでしょう。シャネルのスーツにエルメスのバック。で、今からどうする?」

   「もう少し早ければ、小寺緑地の桜が綺麗かったんだけど」
  
   小寺緑地は、母校のすぐ近く小寺大池を囲む大きな緑地で西側には数多くの桜が植えられ、散策できるようになってい

  る。シーズンにはお花見でにぎわう。

   公務員は桜が好きである。しかし、ルブタンの靴でそんなところは歩けない。やっぱり公務員は無神経であると悦子は

  思った。

   「アクティ学園西町に一本だけ遅咲きの桜がある。名前は知らないけれど、かわいい白い花がさく」と圭介が言った。

                                   以下「団地小説短編集」でお読みください。   

  
       

   悦子と圭介の出身校は学園都市にある神戸商科大学?あれ?

       

   離れ見ないといけません。神戸商科大学でなくて兵庫県立大学です。なぜか石碑と看板、二つあります。これには

  深い事情が。

       

   そんなわけで、圭介と悦子がお見合いをしたのはキャンパススクエアのとある小さな喫茶店。しかし今はクリーニング

  屋さんになってしまいました。

        

   小寺大池周辺は桜の名所です。写真 左 に見える団地はアミティ学園西町。木々の中に見える屋根は兵庫県立大学

  です。小寺緑地は桜の季節はお弁当を持ったお花見の人々で賑わいます。

     

        

   アクティ学園西町に一本だけ遅咲きの桜の木があります。「団地小説短編集」の表紙の桜です。かわいい白い花が

  咲きます。736号棟の西になります。
      
        

   アミティ学園西町はユニバーシアード神戸大会の選手村として団地の一部が使われました。団地の入口に参加選手の

  サインを集めたメモリアルプレートがあります。アミティとは「友好・親善」の意味です。そして小説神戸学園都市の

  オチとなります。学園都市にユニバーシアードの遺構が沢山ありますのでまたご紹介したいと思います。

   あれ!「アミニティ学園西町」誰か間違ってますね。


              UR賃貸住宅 学園都市現地案内所

        

   UR都市機構の学園都市現地案内所がアクティ学園西町735号棟1階にあります。(学園多聞線 神戸外大向かい)

   団地についての詳しいことはUR都市機構のホームページをご覧下さい。また現地案内所でお尋ねください。



       UR賃貸 10の団地と10話の物語

          団地小説短編集 500円+税

           明石市松が丘2丁目3-7

        明石舞子団地 明舞センター 松が丘ビル2階

           ザ・ダイソー明舞団地店 西隣

           明舞書店で好評発売中

     

小説キャナルタウン 8 新兵庫運河物語 3 JR和田岬駅

2017-04-14 08:38:06 | 日記
      JR和田岬駅の春

   近年は1日の乗降客も五千人を割る状態でが続いていますが人々の和田岬線と和田岬駅への愛は変わりません。

        

   兵庫駅から御崎公園の桜の横を走り抜けて電車が入ってきます。

        

   電車から乗客がどっとホームにあふれます。今年も綺麗に桜が咲きました。たくさんの人が携帯で写真を撮ってい

  ます。「今年は1週間遅かったなあ」そんな会話がが聞こえます。皆さん三菱重工に急ぎます。(三菱重工専用線とも

  言われる和田岬線。和田岬駅のお客さんはほぼ三菱重工か関連会社の人たちです。)

        

   電車はここで折り返し運転となりますがホームは人であふれています。運転手は専用の階段で下りて線路を歩いて

  反対側の運転席に移動します。(小さくて見えにくいですが。)車掌さんは乗客の後を歩いて移動します。

   写真 右 和田岬線は昼間は電車の運行がないので有名ですが、駅に人通りが絶えることがありません。道路があっても

  なぜか無人駅は通路代わりです。人々は普通に歩いています。お友達と会えば立ち話をします。
    
        

   今年の花の散り方はおかしいです。犯人は雀?花をとって、子房をつぶして蜜を吸うっています。

       次は、今電車が通過した御崎公園です。

        

   御崎公園は運南地区では最大の桜の名所です。隣は神戸ウイングスタジアムです。キャナルタウンウエスト七号棟

  も見えます。

       神戸ウイングスタジアムと言えば

   番外編 7 高尾団地・大将軍駅解体 姫路モノレール軌道撤去(2017.3.31)の参考資料 御崎西住宅解撤去工事

  がすぐ近くです。行ってみましょう。

        

   まるで設計図を見る様な解体工事の一瞬の間の奇跡の光景です。しかし、リアルすぎて切ない気持ちになります。その昔、

  鉄筋の高層住宅を「蜂の巣長屋」と言ったそうですが半分壊れた蜂の巣の様な感じもします。

   ネットで公開された入札結果を調べてみました。

             高尾ビル解体撤去工事  姫路市

   鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造)10階建 延面積8,150㎡  

     落札金額 366,000,000    予定価格 415,872,000

             御崎西住宅解体撤去他工事  神戸市

   鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート 11階建(一部9階建)

     (延面積は記載ありませんが1階部分はピロティで戸数は92戸で高尾ビルよりも一回りか二回り小さい?)

     落札金額 80,616,600(税込) 予定価格 88,830,000(税込)

   色々条件は違うと思いますが解体方法によって随分工費が違うものです。

       ではさっき見えたキャナルタウンウエストに行きます。

        

   キャナルタウンウエスト7号棟の見事な裾模様です。

         

   やっと雨が上がって盛り上げっています。実は桜が咲いている広場はUR都市機構ではありませんでした。

                     和田岬線のお話は回を改めて予定しています。

小説タウンハウス 2 再録 小説タウンハウス 第1回 アカシザウルス

2017-04-07 06:42:49 | 日記
    小説タウンハウスは春から始まって秋祭りで終わる短編小説です。数回に分けてブログで再録します。

   分割掲載のため副題を付けています。石ヶ谷公園は明石市の西部、神戸市西区に接する大きな公園です。小説タウンハウス

  はここから始まる、2キロメートル四方の超ローカル小説です。地図を見ながらお楽しみ下さい。


         
       
       
   健太がのどを渇かして帰ってきた。もう明石ザウルスを5回は滑ったであろう。明石市の石ヶ谷公園の明石ザウルス

  は35mの長いすべり台を持つ巨大恐竜型の超大型複合遊具で、健太のお気に入りである。お茶を飲みながら、「お父

  さん。お母さんににた人見つけたよ。また会ったらお父さんにも教えてあげる」と言うと、また出かけて行った。

        

        

                     

   妻の京子は昨年の夏に亡くなった。健太はもう5歳。母の死がわからないわけでは無い。きっと母を忘れないために

  無意識に似た人を探しているのだと思うと、英一の返事はいつもあいまいになってしまうが、健太がここまで言うのは

   初めてだある。

   健太はすぐに帰ってきた。

   「おとうさん。こっちこっち」と手を引いて、「ほらあの人」と指さした。英一は思わず手をつないでごまかしたが、

  確かに、よく似ている。

   その時、相手も気が付いた。

   「もしかして本郷君?」

   英一は迷った。子供ずれである以上、姓は変わっていると思った。

   「やっぱり、山下さん」中学の同級生の山下恵子であった。

   中学を卒業して20年。姫路を離れてもう10年以上になる。明石で同級生に会うのは初めてだある。もっとも普通

  なら出会ってもお互いにわからないであろう。

   「理恵ちゃんご挨拶は?」恵子が言った。

   「山下理恵、4歳です」

   「本郷健太、5歳です」健太が答えた。

   「理恵ちゃん、良かったねお兄さんに遊んでもらいなさい」と恵子が言うと二人は飛び出して行った。

  

   順序から言うと、恵子が妻に似ているのではない。妻が恵子に似ていたのである。

   「本郷君、今日は奥様は?」恵子が聞いた。

   京子に癌が見つかったのは、妊娠がわかって間もなくの時であった。子供を諦めて医療に専念する選択もあったが

  京子は生むことを望んだ。子供のためにずいぶん頑張ったが昨年の夏に亡くなっていた。

          注 現在では出産と癌治療の両立の研究が進んでいます。

   「山下さんは?」英一は遠慮がちに聞いた。

   「私は、シングルマザー」

   美人で秀才であったあった恵子から意外な言葉が返ってきた。

   その時、健太と理恵が帰ってきて、恵子が言った。

   「次の日曜日は、おばさんがお弁当を作るからみんなで石ヶ谷の中央体育館にお花見に行きましょう」

        

                                                 つづく 
   
   小説タウンハウス他9話「団地小説短編集」

          明石市松が丘2丁目3-7

      明石舞子団地 明舞センター 松が丘ビル2階

          ザ・ダイソー明舞団地店 西隣

         明舞書店で好評発売中