「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

音楽の話題が中心になるかもしれませんが日々の雑感など書いていけたらと思っています。

フランク・ザッパ風の曲を創ってみましょう(7)

2009-09-09 00:04:06 | 音楽(DTM)
誰にも顧みられず、また誰も望んでいませんが「ロックにあってロックを超えたカリスマ」フランク・ザッパ風の音楽を創るべく、いろいろ考察しようという自己満足記事を連載しています。

前回までで一般的に音楽に求められる「メロディー」と「ベース」を持った、フランク・ザッパ風の音楽の骨格を創りました。

こうして出来上がった骨格をそのまま演奏しても相当前衛的ですが、更にメロディーをハモらせることでより厚みを持たせられます。

◎「何?この和めないグレゴリア聖歌・・・」
ハモりをするためには和声法をきっちりやって対位法もきっちりやって胃がキュンッとなるような研鑽を積む必要があります。と普段の私なら申し上げますが今回はザッパです。どうせへんてこりんなんで、調性やらましてやクラシックで多用するとEWあたりではフルボッコにされる平行移動など「鼻かんでチンッ!」のノンプロブレムです。先の5.で記述している「ハモると4度や5度ばかり」をどんどん施してやりましょう。
4度や5度でハモりながら旋律を平行で動かすと、12平均律の場合は東洋的と言いますかエスニックと言いますかとにかく冗談で演奏した京劇のようになります。
合唱経験、特にめったにはおられないでしょうが、グレゴリオ聖歌を歌われた経験があるとおわかりいただけるのですが、生の声でハモった5度や4度の美しさは天上からステンドグラスを通して降り注ぐ光のようです。
DTM音源は音律を設定してやることができ(るものもある)ますが、ザッパの場合はむしろこの鋭く金属的に響く4度、5度を活かしてやったほうがより前衛さが増すように思います。

メロディー、ベース、ハーモニーはこれで出来上がりました。これでも十分に曲としては成り立ちますが、アクセントとインパクトを明確にし、エネルギッシュでリズミカルな音楽にするためにも打楽器の存在は無視できません。

次回は最終回になりますがフランク・ザッパ風の打楽器アプローチを考察いたします。

フランク・ザッパ風の曲を創ってみましょう(6)

2009-09-07 00:06:17 | 音楽(DTM)
誰にも顧みられず、また誰も望んでいませんが「ロックにあってロックを超えたカリスマ」フランク・ザッパ風の音楽を創るべく、いろいろ考察しようという自己満足記事を連載しています。

第3回でフランク・ザッパの創る音楽の公倍数的な特徴を浅く広くまとめたのですが、「変なスケールを組み合わせて変なメロディーを作る」および「2.16分音符、32分音符、三連符、六連符を組み合わせた複雑な音形が頻出する」という特徴を考察しました。

しかし変なメロディーを創ったつもりでもベースがそれにぴったり寄り添っていては「脈絡なく転調の多い曲」で終わってしまいます。
そこでベースは第3回でお話した特徴の中の「4.メロディーと全然関係なさそうなことをやっている」ベースを創ります。

◎メロディーと関係ないベースを創ろう!
バロックより前の単声の音楽が複数声の音楽になっていき、初期バロックにおいてメロディーとバスを重視した音楽が主流になった時代から、ベースは音楽を和声とリズムの両面からサポートする重要なパートでした。
もしそのサポート役が突如あらぬ方を向き始めたら・・・。
と言うことで先に説明したとおりメロディーが変な動きをしているわけですから、それを殊更強調するようなベースを創ります。ただし「メロディーと関係ないベース」とは言っても故ジャコ・パストリアスのように我が道を行くベースではありません。あれは単に協調性が無いと言うか目立ちたがり屋だっただけです。

・音使い
先のメロディー創りの際のアイディアにならって説明しますと、「ペンタトニックをアウトサイドに移動させた場合」は、ベースだけは元のコード範囲に残っていればいいと言えます。この場合は勝手にメロディーが離れて行ってしまうわけですが、結果として聴き手側にしてみるとベースが関係ないことをしているように聴こえます。
対して「転調が限られた変なスケールを使っている場合」は、適用しているスケール自体が調性感の希薄な変わった響きをかもし出しているので、ベースも無理に村八分になる必要は無く、このスケール・ノートの中で音を使ったほうがいいと考えられます。
ただしこの場合はリズム的なアプローチで「関係ないこと」をしましょう。
・音形(リズム)
フランク・ザッパのアレンジするベースは感覚的な表現になりますが、「メロディーと付かず離れずでラインを弾きつつ、ドラムスのようにフィルインまで入れている」ように感じます。
言葉で表現しても難しいのでザッパのアルバムに耳を傾けていただくのがいいのですが、キメのような音形の部分は同じ音形でベースも動き、比較的旋律的に動いているときはそれを崩すような音形を弾いている場合が多そうです。

抽象的で申し訳ありませんが、これらの音使いでの留意点と音形(リズム)での留意点を勘案してベースラインを創ります。

「音使いと音形(リズム)での留意点を勘案した変なベースラインとメロディー」

以上で一般的な音楽に必要な「メロディー」と「ベース」の骨格が出来上がります。

次回はこの骨格に肉付けをし、より厚みがあり前衛的な響きになるよう考察を進めます。

フランク・ザッパ風の曲を創ってみましょう(5)

2009-09-05 00:05:00 | 音楽(DTM)
誰にも顧みられず、また誰も望んでいませんが「ロックにあってロックを超えたカリスマ」フランク・ザッパ風の音楽を創るべく、いろいろ考察しようという自己満足記事を連載しています。

第3回でフランク・ザッパの創る音楽の公倍数的な特徴を浅く広くまとめたのですが、「変なスケールを組み合わせて変なメロディーを作る」特徴とともに今回はリズム的なアプローチで更に特徴を掴んだ手法を考察します。

音使いは前回までのアイディアを駆使したとして、音形を考えなくてはいけません。フランク・ザッパの創るメロディーは第3回で列記の中にある「2.16分音符、32分音符、三連符、六連符を組み合わせた複雑な音形が頻出する」という特徴があります。

◎音楽に合わせてノッていると脱臼しそうな音形を創ろう!
よく人間は鼓動が2拍子なので2拍子の行進曲や、4拍子のダンス音楽は自然と体がノレると言われます。同様に8分音符や16分音符も偶数音符なのでリズムも取り易く、ノリもいい感じがします。これを大きく裏切るとせっかくノリノリだった体は急ブレーキをかけられたかのごときインパクトを受けます。16分音符を4回叩きすぐに3連符を叩き、8分音符を4回叩く。といったことをするとまるで電車が急激に減速するようなリズムを感じます。先のとおりの変なスケールをこういう気まぐれに創ったかのような音符に当てはめて、音使いと音形の両面からありえなさそうな気持ち悪いメロディーに挑戦してみてください。

「ペンタトニックが変な組み合わせになっており、転調が限られた変なスケールを使い、脱臼しそうな音形を駆使して創られた変なメロディー」

メロディーができたところでそれを支える他の要素を付加する必要があります。
次回はそんな要素の一つである「ベースライン」を考察します。

フランク・ザッパ風の曲を創ってみましょう(4)

2009-09-03 00:03:50 | 音楽(DTM)
誰にも顧みられず、また誰も望んでいませんが「ロックにあってロックを超えたカリスマ」フランク・ザッパ風の音楽を創るべく、いろいろ考察しようという自己満足記事を連載しています。

第3回でフランク・ザッパの創る音楽の公倍数的な特徴を浅く広くまとめたのですが、前回からこれらを少し具体的に考察させていただいています。

フランク・ザッパの音楽の特徴で実は一番やっかいなのは「3.ロックやジャズのようなコード進行にメロディーを乗せる音楽では無く、変なスケールを組み合わせて変なメロディーを作る」である。と前回はお話して具体的な手法を考察しました。

今回も引き続き変なメロディーを作ることが容易なスケールの使い方を検証します。

・転調が限られた変なスケールを使う
何か難しい言葉が出てきましたがこれはフランスの近代作曲家O.メシアンの著書「我が音楽語法」に書かれている言葉(だそう)です。
簡単に言ってしまえば例えば長音階(ドレミファソラシド)は平均律12音の中に11個あります。

  ドレミファソラシド
  ド♯レ♯ミ♯フ♯ァ♯ソ♯ラ♯シ♯ド♯
  レミフ♯ァソラシド♯レ
  ・・・・・・
と順番に半音づつ上がっていけばそうなります。

ところがドビュッシーが多用した。と言われる全音音階は平均率12音の中に2個しかありません。ドから始めるとドレミファ♯ソ♯ラ♯ド。ド♯から始めるとド♯レ♯ファソラシド♯。この音階はあとはレから始めようがソから始めようが、必ずドから始めたものかド♯で始めたもののどちらかと同じになります。
つまり平均率12音の範囲では一回しか転調の可能性が無いスケール。非常に調性が希薄なスケール。そこを逆手にとって普通だと歌えない変なメロディーが作り易いスケールと言えます。
同様にコンビネーション・オブ・ディミニッシュド・スケールも3個しか無いので、変なメロディーが作り易いスケールですね。
「コンビネーション・オブ・ディミニッシュド・スケールってなんだ?」
と言う方はどこかジャズ理論かメシアンについて書かれたマニアなサイトを探してみてください。

これらをあまり深く考えずに組み合わせながらメロディーを創ってしまおう。ということです。

音使いについて2つの手法をお話しましたが、次回はリズム的なアプローチで更に特徴を掴んだ手法を考察します。

フランク・ザッパ風の曲を創ってみましょう(3)

2009-09-01 00:02:00 | 音楽(DTM)
誰にも顧みられず、また誰も望んでいませんが「ロックにあってロックを超えたカリスマ」フランク・ザッパ風の音楽を創るべく、いろいろ考察しようという自己満足記事を連載しています。

前回はフランク・ザッパの創る音楽の公倍数的な特徴を浅く広くまとめました。
今回はこれらを少し具体的に考察させていただきます。

前回お話した特徴で実は一番やっかいなのは「3.ロックやジャズのようなコード進行にメロディーを乗せる音楽では無く、変なスケールを組み合わせて変なメロディーを作る」です。

そこで変なメロディーを作ることが容易なスケールの使い方を検証します。

合言葉は「歌えるメロディーなぞおととい来やがれ!」です。

◎変なメロディーを創ろう!
例えばピアノの鍵盤をグチャグチャと弾いたり、かわいい愛猫にシンセサイザーの上を歩かせたりして創る。というある意味アッパーな考えもありますが、ここは一応知性を持って対応したいと思います。

・ペンタトニックのアウトサイドへの変な移動
ジャズをかじられるとわかるのですがアドリブの基本に、コードの上でペンタトニック・スケールを使うものがあります。一般的なのは例えばマイナー・コードであればそのルートの短三度上から始まるペンタトニックを使います。

  Exp.Am7の場合はCで始まるペンタトニック(ドレミソラ)

ちなみにここで言うペンタトニックは俗に「よなぬき(長音階の4番目の音と7番目の音を抜いたもの)」と呼ばれるもので、沖縄の音階や邦楽音階の壱越などではありません。念のため。
ペンタトニックを素直に使い続けるとセンスがあればジミ・ヘンドリクスになり、センスが無いとどこかの音頭になります。そんなにみんなセンスがあるわけでは無いのでジャズの世界ではアウトサイドへ移動する。ということをやります。
アドリブなので極めて感覚的で大雑把な判断ですが「少し同じペンタばっかり弾き(吹き)すぎてるなぁ・・・」と感じたら全然関係無いペンタトニックを弾い(吹い)たり、少しだけ、例えば一音だけずらしたり比較的近い音構成のペンタトニックに移動したり(これをアウトサイドへの移動と比べてインサイドへの移動と言います)します。これもセンスがあればハービー・ハンコックになり、センスが無いと単なるへたくそか難しく考えすぎて元に戻れなくなった人になります。


イ短調
Am7のコード
Cで始まるペンタトニック(ドレミソラ)

この場合はコードの構成音とCで始まるペンタトニックの間ではレ音だけが非和声音ですので、最もコードに合致したペンタトニックとなります。
これに比較して例えばGで始まるペンタトニック(ソラシレミ)を使うと、シ音とレ音以外の音はすべて和声音です。また先のCで始まるペンタトニックと比較するとシ音以外は同じ音が構成音に入っています。なので極めてインサンドなペンタトニックと言えます。

・Gで始まるペンタトニック(ソラシレミ)はCで始まるペンタトニック(ドレミソラ)に極めてインサイドな関係

しかしB(H)で始まるペンタトニック(シド♯レ♯ファ♯ソ♯)はコードの構成音に対して、一つとして同じ音が無いことから非常にアウトサイドなペンタトニックです。

・B(H)で始まるペンタトニック(シド♯レ♯ファ♯ソ♯)はCで始まるペンタトニック(ドレミソラ)に極めてアウトサイドな関係

これらを組み合わせながらメロディーを創ってしまおう。ということです。

例)以下のように組み合わせてメロディーを構築していく
Cで始まるペンタトニック→Gで始まるペンタトニック→B(H)で始まるペンタトニック→Gで始まるペンタトニック→Cで始まるペンタトニック

次回も引き続き変なメロディーを作ることが容易なスケールの使い方を検証します。