伝統医療(わが国では通常、漢方もしくは東洋医学という)は、しばしば迷信として片付けられる。近代医学(西洋医学)には科学的に実証できないものは採用しない原則があって、事実として治療効果が認められるにもかかわらず、鍼灸などの伝統医療は科学的証明に欠けると見做され採用されないのである。
こうした西洋医学一辺倒の考えに挑戦した人がいる。間中喜雄博士(1911~89)である。人物紹介に「1935年、京都大学医学部卒後、小田原市で開業。1940年代から漢方と鍼灸の研究を志し、東洋医学の普及、発展に貢献した。東洋鍼灸専門学校校長、北里研究所客員部長、鍼灸トポロジー学会会長などを歴任」とある。この間中先生と教え子の板谷和子氏の共著『体の中の原始信号~中国医学とX-信号系』(地湧社)は、その足跡の記録である。
同書は「自然界の中の信号」の見出しで次のように書いている。
<ブドウ酒の鑑定家は一口酒を含むと、どこの何年産の銘柄であると直ちに弁別する域に達することが可能である。ブドウ酒には八百種以上の成分があり、その成分が産地、生産時の天候、保存年月、保存方法等による変化で微妙に異なってくる。化学分析でこれを正確に解析しうる日も来るかもしれないが、現在では困難である。
…こういう原始的な感覚が弁別している「物質の量」を考えてみると、非常に微量である。…その量はおそらく10のマイナス24乗以下、すなわち分子の域より少ない量ではあるまいか。
…生物界に飛び交い、その生態を支配している信号系(情報系)はこの程度のレベルで作動していると考えてよい、いろいろの事実がある。>
事実のいくつかを挙げると以下のものがある。
◇皮膚は色を弁別する
◇皮膚が言葉を聞く
◇発作が起こりやすい時間
◇「陰陽五行」と体の反応
◇「易経」とDNA暗号の不思議な一致
興味のある人はご一読をお薦めしたい。
間中先生は中国の著名な気功家・焦国瑞師との対談で、ヨーロッパの中国研究者の多くが、中国には錬金術や易学などの科学らしいものは存在したけれども、ヨーロッパ的意味での科学はなかったと主張するのに反論して次のように語っている。
<ヨーロッパの人が言うところの、そのような「にせ科学」が横行していたにもかかわらず、中世までに中国で大変立派な技術が生まれていたことは事実です。中世までに中国からヨーロッパに伝わったとされる技術は印刷術、火薬、羅針盤に代表されるように20あったそうです。ところが、逆にヨーロッパから中国に伝わったとされるものは、たった二つしかありませんでした。
…技術というのは、剣術にしても武術にしてもそうですが、これを文字で正確に表現することは不可能です。ですから、文字だけを見ると、それは一種の暗号文です。…そこで、私たちは古代の文化を伝承するために、古代の暗号をわれわれの手でもう一度解読しなければなりません。>(『気功学の未来へ』=創元社)
この解読作業の成果が『体の中の原始信号』という訳だ。これを読めば、自分の体が「小宇宙」であることがよく理解できる。そして、<古い医術>にますます魅せられるのである。
こうした西洋医学一辺倒の考えに挑戦した人がいる。間中喜雄博士(1911~89)である。人物紹介に「1935年、京都大学医学部卒後、小田原市で開業。1940年代から漢方と鍼灸の研究を志し、東洋医学の普及、発展に貢献した。東洋鍼灸専門学校校長、北里研究所客員部長、鍼灸トポロジー学会会長などを歴任」とある。この間中先生と教え子の板谷和子氏の共著『体の中の原始信号~中国医学とX-信号系』(地湧社)は、その足跡の記録である。
同書は「自然界の中の信号」の見出しで次のように書いている。
<ブドウ酒の鑑定家は一口酒を含むと、どこの何年産の銘柄であると直ちに弁別する域に達することが可能である。ブドウ酒には八百種以上の成分があり、その成分が産地、生産時の天候、保存年月、保存方法等による変化で微妙に異なってくる。化学分析でこれを正確に解析しうる日も来るかもしれないが、現在では困難である。
…こういう原始的な感覚が弁別している「物質の量」を考えてみると、非常に微量である。…その量はおそらく10のマイナス24乗以下、すなわち分子の域より少ない量ではあるまいか。
…生物界に飛び交い、その生態を支配している信号系(情報系)はこの程度のレベルで作動していると考えてよい、いろいろの事実がある。>
事実のいくつかを挙げると以下のものがある。
◇皮膚は色を弁別する
◇皮膚が言葉を聞く
◇発作が起こりやすい時間
◇「陰陽五行」と体の反応
◇「易経」とDNA暗号の不思議な一致
興味のある人はご一読をお薦めしたい。
間中先生は中国の著名な気功家・焦国瑞師との対談で、ヨーロッパの中国研究者の多くが、中国には錬金術や易学などの科学らしいものは存在したけれども、ヨーロッパ的意味での科学はなかったと主張するのに反論して次のように語っている。
<ヨーロッパの人が言うところの、そのような「にせ科学」が横行していたにもかかわらず、中世までに中国で大変立派な技術が生まれていたことは事実です。中世までに中国からヨーロッパに伝わったとされる技術は印刷術、火薬、羅針盤に代表されるように20あったそうです。ところが、逆にヨーロッパから中国に伝わったとされるものは、たった二つしかありませんでした。
…技術というのは、剣術にしても武術にしてもそうですが、これを文字で正確に表現することは不可能です。ですから、文字だけを見ると、それは一種の暗号文です。…そこで、私たちは古代の文化を伝承するために、古代の暗号をわれわれの手でもう一度解読しなければなりません。>(『気功学の未来へ』=創元社)
この解読作業の成果が『体の中の原始信号』という訳だ。これを読めば、自分の体が「小宇宙」であることがよく理解できる。そして、<古い医術>にますます魅せられるのである。