タイがうらやましい!
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たばこ規制:「禁煙先進国」タイに学ぶ
◇陳列販売禁止/飲食店も対象/活発な教育、啓発
世界で毎年540万人がたばこが原因で死亡しており、今世紀中には10億人がたばこで死亡する恐れがある--。世界保健機関(WHO)は08年の報告書で警告した。日本を含め対策の遅れが指摘される中、アジアの「禁煙先進国」とも呼ばれるのが、タイだ。90年代から受動喫煙防止などを法制化し、多様な施策を通じてWHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)を着実に履行している。実情を知ろうと、バンコクを訪ねた。【柴田真理子】
タイ国内に約700店舗を展開するコンビニ「108ショップ」。商品棚にたばこは見当たらないが、レジの後ろには「たばこ販売中」の張り紙。店員がレジ下の扉を開けると、たばこがずらりと現れた。陳列販売が法律で禁じられているためで、客が求めるまで商品を隠している。自動販売機での販売も禁止だ。
たばこのパッケージには、歯がガタガタになったり、のどを切開した人のショッキングな写真が印刷され、リスクを警告している。同店本部の男性社員(31)は「以前は、たばこを吸うのが格好いいと思われていたが、今は吸わない方が格好いい。僕の周りでは、たばこよりスポーツがはやり」と話した。
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飲食店も禁煙で、食事しながら喫煙はできない。違反者には最大で罰金2000バーツ(約5400円)、店側には同2万バーツ(約5万4000円)が科せられる。
市内の多国籍料理店「プローン」では、飲食エリアと離れた屋外に、喫煙スペースを設けていた。男性客たちが食事中に席を外し、一服しにやって来る。1日30本吸うという男性(51)は「どこの店も店内が禁煙なのは同じで、不自由には思わない」。店内にいた別の男性客(55)は、4カ月前に禁煙したという。「吸う時に外の喫煙場所に行かねばならず、面倒になった。肺がきれいになった気がするよ」と笑った。
深夜に若者でにぎわうパブ「ミューズ」でも、客たちはフロア外の喫煙スペースや屋外に出て吸い、店内の空気はさわやかだ。オーナーのスラパン・チャウパークナムさん(32)は喫煙者。「客が吸うとにおいがつくし自分も吸いたくなるから、店内は禁煙がいい」と話した。
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喫煙は18歳からだが、中学や高校での禁煙教育にも力を入れている。小児科医のネットワークが学校を回り、生徒に禁煙クリニックを紹介することも。数回のカウンセリングで禁煙に成功する子どもも多いという。
「特に効果があるのは、たばこで疾患になった人に会わせること」と話すのはサミティベート病院の小児科医、ベンジャマーッ・ピサンサラキッさん。「喉頭(こうとう)を失い声が出なくなった患者の団体などがボランティアで協力してくれる。患者の体験談は写真の何倍もの効果がある」という。
15~18歳の喫煙率は年々下がっている。ベンジャマーッ医師は「学校に通っている子はまだいい。親のない子や路上生活の子に喫煙者が多い」と課題も挙げた。
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「タイ健康増進財団」は、政府と一連のたばこ対策を進めてきた。たばこ税と酒税の2%を運営資金とし、禁煙を推進するNGOや医療団体などに助成している。「クイットライン」と呼ばれる相談ダイヤルもその一つで、電話でカウンセラーが禁煙を指導。希望者には年6回、追跡調査もする。
財団顧問のプラキッ・ワーティーサーテュキッさんは「たばこを買いづらく、吸いにくくする政策によって、喫煙者への医療対策も効果が上がる。また、たばこの増税は、未成年や貧困地域の喫煙率を下げるのに有効だ」と語った。
タイの取り組みにも不徹底な面はある。ポイ捨ては禁止だが路上喫煙は許されており、警告写真のない“ヤミたばこ”も出回っていた。だが、禁煙の取り組みは確実に広がっており、市民の意識も高い。訪れたバンコク市内のほとんどの店舗は「法に従う。売り上げに大きな影響はない」と口をそろえていた。
禁煙政策の有効性について、国立保健医療科学院(埼玉県)の吉見逸郎・たばこ政策情報室長は「WHOの国際がん研究機構は、公共スペースなどの全面禁煙化により、心筋梗塞(こうそく)など急性の心疾患の発症者を10~20%減らせるとしている。受動喫煙の害は予想以上に大きく、防止の徹底が求められる」と話している。
◇92年から法規制…喫煙率21%に減少
タイは92年に「非喫煙者健康保護法」「たばこ製造管理法」を制定した。指定の公共の場所を禁煙とし、たばこ広告の規制などを盛り込んだ。日本の健康増進法より10年早かった。
その後も、禁煙区域の拡大や包装の警告表示義務づけ、たばこ税率の段階的引き上げなど、規制を強化した。07年の喫煙率は21・22%で、法制化前の91年の32%から減少。07年は男性41・70%に対し、女性が1・94%と低い。
東京衛生病院の宮崎恭一・健康教育科課長は「タイは若者に人気の女優も協力し、大キャンペーンを繰り広げてきた。政府とNGO、医療団体の連携が強く、日本も見習うべきだろう」と話している。
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◇WHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)
05年2月に発効した国際条約で、今年7月現在、日本やタイを含む166カ国・地域が締約している。たばこの健康被害をはじめ、社会や環境、経済への影響からの保護を目的とする。価格や課税措置による需要減少、受動喫煙の防止、広告や販売の規制などの対策を盛り込んでおり、締約国は国内法に反映させ、施策の実施が求められる。タイでは07年、第2回締約国会議が開かれた。
毎日新聞 2009年9月7日 東京朝刊
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とにもかくにも、飲酒店の全面禁煙、これだけは日本も早く実現してもらいたいところ。
しかしながら、民主党マニフェストには、この点に関して、ざっと見た限りは、一言もなし。まだまだ既得権益に縛られた民主党かもしれません。
タイを見習いましょう!
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たばこ規制:「禁煙先進国」タイに学ぶ
◇陳列販売禁止/飲食店も対象/活発な教育、啓発
世界で毎年540万人がたばこが原因で死亡しており、今世紀中には10億人がたばこで死亡する恐れがある--。世界保健機関(WHO)は08年の報告書で警告した。日本を含め対策の遅れが指摘される中、アジアの「禁煙先進国」とも呼ばれるのが、タイだ。90年代から受動喫煙防止などを法制化し、多様な施策を通じてWHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)を着実に履行している。実情を知ろうと、バンコクを訪ねた。【柴田真理子】
タイ国内に約700店舗を展開するコンビニ「108ショップ」。商品棚にたばこは見当たらないが、レジの後ろには「たばこ販売中」の張り紙。店員がレジ下の扉を開けると、たばこがずらりと現れた。陳列販売が法律で禁じられているためで、客が求めるまで商品を隠している。自動販売機での販売も禁止だ。
たばこのパッケージには、歯がガタガタになったり、のどを切開した人のショッキングな写真が印刷され、リスクを警告している。同店本部の男性社員(31)は「以前は、たばこを吸うのが格好いいと思われていたが、今は吸わない方が格好いい。僕の周りでは、たばこよりスポーツがはやり」と話した。
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飲食店も禁煙で、食事しながら喫煙はできない。違反者には最大で罰金2000バーツ(約5400円)、店側には同2万バーツ(約5万4000円)が科せられる。
市内の多国籍料理店「プローン」では、飲食エリアと離れた屋外に、喫煙スペースを設けていた。男性客たちが食事中に席を外し、一服しにやって来る。1日30本吸うという男性(51)は「どこの店も店内が禁煙なのは同じで、不自由には思わない」。店内にいた別の男性客(55)は、4カ月前に禁煙したという。「吸う時に外の喫煙場所に行かねばならず、面倒になった。肺がきれいになった気がするよ」と笑った。
深夜に若者でにぎわうパブ「ミューズ」でも、客たちはフロア外の喫煙スペースや屋外に出て吸い、店内の空気はさわやかだ。オーナーのスラパン・チャウパークナムさん(32)は喫煙者。「客が吸うとにおいがつくし自分も吸いたくなるから、店内は禁煙がいい」と話した。
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喫煙は18歳からだが、中学や高校での禁煙教育にも力を入れている。小児科医のネットワークが学校を回り、生徒に禁煙クリニックを紹介することも。数回のカウンセリングで禁煙に成功する子どもも多いという。
「特に効果があるのは、たばこで疾患になった人に会わせること」と話すのはサミティベート病院の小児科医、ベンジャマーッ・ピサンサラキッさん。「喉頭(こうとう)を失い声が出なくなった患者の団体などがボランティアで協力してくれる。患者の体験談は写真の何倍もの効果がある」という。
15~18歳の喫煙率は年々下がっている。ベンジャマーッ医師は「学校に通っている子はまだいい。親のない子や路上生活の子に喫煙者が多い」と課題も挙げた。
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「タイ健康増進財団」は、政府と一連のたばこ対策を進めてきた。たばこ税と酒税の2%を運営資金とし、禁煙を推進するNGOや医療団体などに助成している。「クイットライン」と呼ばれる相談ダイヤルもその一つで、電話でカウンセラーが禁煙を指導。希望者には年6回、追跡調査もする。
財団顧問のプラキッ・ワーティーサーテュキッさんは「たばこを買いづらく、吸いにくくする政策によって、喫煙者への医療対策も効果が上がる。また、たばこの増税は、未成年や貧困地域の喫煙率を下げるのに有効だ」と語った。
タイの取り組みにも不徹底な面はある。ポイ捨ては禁止だが路上喫煙は許されており、警告写真のない“ヤミたばこ”も出回っていた。だが、禁煙の取り組みは確実に広がっており、市民の意識も高い。訪れたバンコク市内のほとんどの店舗は「法に従う。売り上げに大きな影響はない」と口をそろえていた。
禁煙政策の有効性について、国立保健医療科学院(埼玉県)の吉見逸郎・たばこ政策情報室長は「WHOの国際がん研究機構は、公共スペースなどの全面禁煙化により、心筋梗塞(こうそく)など急性の心疾患の発症者を10~20%減らせるとしている。受動喫煙の害は予想以上に大きく、防止の徹底が求められる」と話している。
◇92年から法規制…喫煙率21%に減少
タイは92年に「非喫煙者健康保護法」「たばこ製造管理法」を制定した。指定の公共の場所を禁煙とし、たばこ広告の規制などを盛り込んだ。日本の健康増進法より10年早かった。
その後も、禁煙区域の拡大や包装の警告表示義務づけ、たばこ税率の段階的引き上げなど、規制を強化した。07年の喫煙率は21・22%で、法制化前の91年の32%から減少。07年は男性41・70%に対し、女性が1・94%と低い。
東京衛生病院の宮崎恭一・健康教育科課長は「タイは若者に人気の女優も協力し、大キャンペーンを繰り広げてきた。政府とNGO、医療団体の連携が強く、日本も見習うべきだろう」と話している。
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◇WHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)
05年2月に発効した国際条約で、今年7月現在、日本やタイを含む166カ国・地域が締約している。たばこの健康被害をはじめ、社会や環境、経済への影響からの保護を目的とする。価格や課税措置による需要減少、受動喫煙の防止、広告や販売の規制などの対策を盛り込んでおり、締約国は国内法に反映させ、施策の実施が求められる。タイでは07年、第2回締約国会議が開かれた。
毎日新聞 2009年9月7日 東京朝刊
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とにもかくにも、飲酒店の全面禁煙、これだけは日本も早く実現してもらいたいところ。
しかしながら、民主党マニフェストには、この点に関して、ざっと見た限りは、一言もなし。まだまだ既得権益に縛られた民主党かもしれません。
タイを見習いましょう!
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