タツノヒノエ

神仏への道-神社仏閣巡りから、古代の神々との出会い

高野山天狗伝説 不死の命を捨てて猛火から高野山を守った天狗・・・

2022-08-16 07:37:38 | 神社仏閣 神仏 御神霊 ウカノミタマ女神 ニギハヤヒノミコト 

高野山教報で、以前紹介されていた、高野山の「天狗伝説」です。

(うる覚えなので・・・全体だけ、かいつまんで紹介します)

ある時代のこと、

ある修行僧が朝顔を洗って、鏡を見ると・・・

「自分の姿が映りません」。

「とうとう俺も、天狗になったか・・・」

天狗には、死後、天狗に成る場合と、

生きたまま天狗になる場合とがあると聞きます。

その僧侶は生きたまま天狗になったパターンです。

(生きたまま天狗になる場合、自分の姿が鏡に映らない・・・と言うものがあるとか)

鏡に映らないとは、他人様から自分の姿が見えなくなることを意味します。

がっかりする修行僧・・・すると、傍に複数の天狗たちが見えてきました。

「お前も天狗界の住人になったな。そうがっかりするな。最初は戸惑うことも多いが、これで良いことの方が多い。空は自在に飛べるし、なにしろ不死身だから死ぬことがない」と、先達の天狗が言いました。

「だが、いくつか気をつけなければならない。不死身の天狗でも消滅することがある。天狗の吐く息は猛烈に強い。が、最後の一息を吐ききったら、不死身の天狗でも消滅してしまう。そこを注意したら、不死身の天狗界の住民だ」

天狗になった修行僧は、先達の天狗たちと天狗界の中で生きていました。

ある時、火事が起き、高野山の山々を焼き尽くしていきます。

僧俗合わせて、高野山の伽藍が火災に見舞われないよう頑張りますが、

運悪く火勢は、高野山の主要な伽藍の方に向かってきます。

天狗になった修行僧は、天狗の団扇で風を起こし、火勢が伽藍に来ないよう頑張りますが、火勢は徐々に高野山の建物に迫ってきます。

天狗は、「天狗の猛気の吐息」で火勢を消そうと猛烈な息を吐きだします。

火勢はそがれますが、それでもまだ伽藍に迫ってきます。

(天狗の最後の一息だけは、吐き出してはならんぞ。不死身の天狗と言えど、最後の一息を吐きだしたら、消滅してしまう。くれぐれも注意しろよ)

修行僧の天狗に迷いはありませんでした。

迫ってくる火勢から高野山を守るために・・・

「最後の猛気」を吐き出します。

さしものも猛火も、天狗の猛気に負け、

風向きが変わり、

高野山の伽藍は守られたのでした。

修行僧の天狗は消滅し、

大きな一枚の金色 (こんじき) の羽が落ちていたのでした。

・・・・・


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする