JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「化身」

2016-12-25 | 映画(DVD)
「妄執・異形の人々 文芸篇」

「化身」1962年 大映 監督:森一生 原作:今東光 35mm

門前に捨てられ寺で育てられ僧となった梵仙。持ち前の美貌に女たちはメロメロになり、尼さんや芸者、女学生と次々に関係を持つが・・・。原作者の今東光を思わせる生臭坊主の一代記。モテモテのイケメン僧侶を演じるは勝新太郎。勝新をめぐる女たちの中には、この年に結婚した中村玉緒も。

不知火検校を当てたあとでその後座頭市、兵隊やくざのヒットシリーズを出す前の勝新の茶目っ気たっぷり美青年僧侶ぶりは自伝的要素も強いと思われる今東光原作にぴったり嵌った感じで痛快。
メロメロにされる女優陣が、キャスト名からあまり期待していなかったが、これがまた良い。

尼僧舜海の中田康子、「坊さん抱いて寝てみりゃ可愛いものよ・・・」坊頭鬘。
三年越しで想いを寄せる祇園芸妓・紋弥の万里昌代。この人、キツ目の美人だが日本髪が案外いけるじゃない。後半には頭を丸めてなお可愛らしく。
紋弥の姉さんであり最終的には奪う形となる文弥には中村玉緒。あれ?自分の印象ではこの人若い頃から声は変わらないと思っていたけど感違いでしたか、本作では普通の声。
実生活でも口説き落とした頃ですから勝新とのキスシーンは迫真。
紋弥姉さんのお旦は嫉妬深く紋弥を激しくお仕置き責めしますが、このSMシーンは音声だけでのお楽しみ。襖が開けられてもそこにあられもない姿の玉緒さんは居らっしゃいません。
女子画学生で江波杏子。エキゾチックさが芸妓や尼さんの中に入るのだから際立つ。ツンデレのデレ感が可愛い。

イケメン僧侶・梵仙(勝新太郎)に翻弄される四人四様の女側の心情もなかなか切なく面白い。

梵仙、強いのなんの。あれだけ喧嘩に強ければ、自信も漲りますますモテモテ。
その強さたるは、そんじょそこらのヒーロー物を遥かに超えた圧倒的なもの。

敵対側は始めはチンピラから中堅、仕舞いには親分まで登場と順にグレードを上げていくのですが。果たして本当にグレード上がってんのっていうぐらい皆、梵仙の前ではヘタレ。普通は正義の味方も一度は窮地に立たされたりするもんですが、そんな事は一切無い強さでお姫様(文弥・玉緒ちゃん)救出。

どうしても勝新のアクション・シーンになると笑いが漏れちゃう。

今東光=勝新太郎コンビは要注意だな。



シネマヴェーラ渋谷

にほんブログ村 映画ブログへ blogram投票ボタン


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Sun Ra "It's Christmas Time" | トップ | Mark Ribot 2016 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(DVD)」カテゴリの最新記事