【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【雄鶏ジャラケー】

2008年04月11日 | アジア回帰
 
 早朝5時になると、床下で雄鶏が鳴き始める。

 これを聴いた村中の雄鶏がこれに呼応し始め、あたり一帯が「コケコッコーー」の大合唱である。

 もう少し眠らせて欲しいのだが、こればかりはどうしようもない。

「あ、今日もジャラケーは元気だよ」

 目覚めた嫁のラーが、寝惚け声ながらうれしそうに笑う。

 雄鶏の名前は、ジャラケー(タイ語でワニ)という。

「ワニのように強くたくましく育ってほしい」という願いを込めて、ラーがそう名付けた。

         *

 若い雄鶏のジャラケーは、まだうまく鳴くことができない。

 なんだか蛙が押しつぶされたような声で、「ゴケコッコ」「ゴケコッコ」。

 他の鶏たちのように「コケコッコーー」と最後の音を美しく伸ばすことができず、なんだか情けない。

 ちょうど、鳴き始めの頃のウグイスのようにうまく音を転がすことができないのである。

 だが、ふとんの中でその鳴き声に耳を傾けていると、不器用なだけに愛しさが増してくる。

         *

 以前に書いたように、母鶏と4羽のひよこ(ジャラケーの兄弟姉妹)が隣家のバカ息子に喰われてしまったため、私としては一日もはやくジャラケーの子どもたちが見たいと思っている。

 ところがラーの報告によると、ジャラケーはその気なのに、もう一羽の生き残った雌鶏にそっぽを向かれっぱなしなのだという。

「そうか、お前さん、女性にもてないのか・・・。まあ、めげずにしっかり頑張れよ」

 朝の餌をやるたびに、私はしゃがみこんでそう彼に語りかけているのだけれど、今のところその励ましも効果がないようである。

 やれやれ。

 父ちゃんは、何かと忙しい。

タイ・ブログランキング 人気ブログランキングへ


 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【料理コンテスト】 | トップ | 【ハッピーソンクラン!】 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア回帰」カテゴリの最新記事