【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【ぼちぼちでんな】

2009年03月01日 | アジア回帰
 
 開店後1週間は、やたらと忙しかった。

 いわゆる“お祝儀客”が毎日のように店を訪れ、ひとりでグッティオ(タイ・ヌードル)とソムダム(パパイヤ・サラダ)を供するラーは、きりきり舞いだ。

 私はもっぱら裏方に回り、仕込みや買い出しを手伝うくらいであったが、そのうちに焼酎の販売も始めることになり、それをビニール袋に小分けにする作業がなかなか手間がかかる。

 この作業や仕込みは甥っ子のひとりが手伝ってくれるのであるけれど、すべてが初めてのことなので、午後6時半頃に閉店すると、3人ともぐったりと疲れ切ってしまうのだった。

     *

 それでも2週間が過ぎると、客足も落ち着き、作業にも多少は慣れてきたので、それほど浮き足立つことはなくなった。

 ここ数日は近所の常連客がぽつぽつと訪れる程度で、談笑しながらの接客は気楽なものだ。
       *

 写真は、近所でバイクの修理工場を営むハー・バーツ(仕事が暇になると店に冷水を飲みに来るので、ラーがそのたびに“5バーツ寄越せ”と冗談をいうことから、このあだ名をつけた)と、その愛娘である。

 ちなみに、彼女が着ているのは未婚者のみに許されている白色の民族衣裳だ。

 彼女は、ルクチン(肉団子)が大好きで、それを数分煮込む間も待ち切れずに駄々をこねる。

 ラーは、そんな彼女の様子を見ると目を細め、大量のルクチンをサービスする。

 それは、彼女だけに限らず、友人や親戚がグッティオやソムダムを注文するたびに、ついつい麺を大盛りにしたり、大量の具をサービスしたりする。

 万事がこの調子だから、利益が出るまでには相当の我慢が必要だろう。

 しかし、友人や親戚に囲まれて幸せそうに冗談を交わしているラーの笑顔を見ていると、“まあ、これも開店プロモーションの一環と位置づけるしかあるまい”と苦笑するしかない。

 関西風にいえば、“まあ、ぼちぼちでんな”というところだろうか・・・。

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