【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【家出終結】

2009年03月22日 | アジア回帰
 家出をしてよかったことのひとつに、新しい人たちとの出会いがある。

 とりわけ、宿を替えたことで初めての食堂に通いつめることになり、そこの女主人とその常連客たちとはすっかり顔なじみになってしまった。

 この食堂(といってもビルとビルの隙間にプロパンガスをおいて調理しているのだが・・・)では、焼き飯、ラッナー(太麺)、春雨サラダなど全部で7種類くらいのメニューしか供していないのであるが、どれも私の味の好みにぴったりで、3日も通いつめると自ずと全メニューを制覇することになる。

 一軒の食堂のすべてのメニューを味わい、そのすべての料理に合格点をつけるのというのは、私の短からぬ人生においても初めての体験であり、飯時になるとこの店に足が向くのも当然だろう。

       *

 これに加えて調理を一手にまかなう女主人の人柄がさっぱりしており、開店してまだ2週間目という初々しさも、わがオムコイの麺屋に似通ったところがあり、奮闘する女主人の姿についつい嫁のラーの姿を重ねてしまう。

 せめての客寄せにと、店先に張られたタイ語のメニュー板に拙い日本語訳を書き添えたのも、その共感のせいである。

 さらには、日ごと夜ごとに集う常連客が実にユニークで、片言のタイ語と英語で交わす会話の合間に笑い声が絶えない。

 おかげで、この店にいる間は自分が家出をしていることなどすっかり忘れる始末だ。

       *

 久しぶりに日本語の本がじっくり読めたこと、これまた久しぶりに英語の映画がじっくり観れたことなど、今回の家出には他にもさまざまなリフレッシュ効果があったけれど、やはり人との出会いほど面白いものはない。

 それもあって、丸3日間も携帯電話の電源を切りっぱなしだったのだが、4日目の朝になるとさすがに気持ちが揺らいで、ついつい携帯の電源を入れてしまった。

 途端にラーからの電話が入り、かなり神妙に反省している様子だ。

 その時点では、この束の間の自由をすぐに打ち切る気にはなれずに電話を切ったが、その夜にかかってきた数度の電話の果て、ついに矛先を収めることにした。

「明日の朝、チェンマイに迎えに行きたい」

 という彼女の申し入れにOKを出し、すぐさま宿を引き払って定宿に移った。

 これにて、家出は終結。

 新しく出会った人たちと、ラーもすぐに仲良くなることだろう。

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7 コメント

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はじめまして (モカ)
2009-03-22 21:12:16


家出の原因が気になるんですけど
らーさんが反省していたってことは
きっとらーさんが悪いことしたんでしょうね

くんたさん以外にも村に日本人のかたって
いらっしゃいますか???
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「横っ面を、ひっぱたけ」 (K.SUZUKI)
2009-03-22 21:53:09
新婚時代、出来るだけ早い機会に、かみさんの横っ面をひっぱたけということを聞いたことがあります。
 小生は実行したことはありませんが、現在のかみさんと一緒になりたての頃、貴兄と煮たようなことを何回かしたことがあります。
 本気半分、将来のため半分。
言葉も、生活習慣も異なる国のものが、夫婦生活をはじめたわけで、そう簡単に相手が理解できるはずはありませんが、日本人を伴侶に選んだ以上、そうわがままばかりは通せないんだよと行動で言い聞かせたつもりでした。
 女ことが功を奏したのか、四半世紀すぎた今では、タイ人の女性にしては、出来すぎの伴侶になりました。
 貴兄の家出の話を読ませていただいて、昔のことを思い出し、書き込みをさせていただきました。
 末永く、お幸せにお暮らしください。
「オムコイ」と先住民族「カレン」に魅力を感じているファンです。
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Unknown (なかちゃん)
2009-04-16 16:36:18
クンター様
久々のコメントです。
いつも楽しく拝見させて頂いてます。ここ最近ブログの方の更新がされてませんけど何か何かお有りになったのですか?
余計なお節介だという事は十二分に承知しておりますが..。(^_^;)
お身体等壊されてる様でしたらくれぐれもお大事に。(>_<)
っという事でまたの更新楽しみにしております。
返信する
何があったのでしょう。。。 (im8p)
2009-04-21 22:53:36
心配しています。
ほぼ、1ヶ月間、更新がありませんね。
その前は、あたらしい料理店の開始など、微笑ましい話題で満ちていたのが、突然、大人の家出、となり驚きました。
いかがお過ごしですか?
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ピーのせい? (管理人)
2009-04-22 16:37:08
コメント、ありがとうございました。
また、1ヶ月後の遅すぎるご返事をお許しください。
「家出の原因」は、滝に店を出した途端に、嫁のラーが“酒量”と“感情”をコントロールできなくなったからですが、カレン族の見立てによれば、滝にピー(悪霊)がいて、これが悪さをしたのではないかということです。そういえば、一緒に泊まり込んだ男たちは「ひと晩中、滝で洗濯をする音が聞こえて眠れなかった」とか、「昔むかしここに住んでいた巨大の象の夢を見た」とかいって、一晩で滝から逃げ出してしまいました。また、ラーの友人が突然ヒキツケのような症状を起こしたこともあります。
 私が「家出」してから、ラーは親戚代表に頼んでピーに焼酎と鶏をお供えしてお祓いをしてもらったそうです。
 ところで、わが村に住んでいる日本人は私ひとりです。かつては、ひとりの日本人男性が住んでいたそうですが、ピーのせいか(?)アル中になって亡くなったという話を聞いたことがあります。
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四半世紀、ですか。 (管理人)
2009-04-22 16:51:58
「横っ面」どころか、柔道技で投げ飛ばすわ、頭から水はぶっかけるわ、かなり手荒なこともしておりますが、敵はかつてのモエタイの猛者、しかも軍隊経験者で、なかなか効果があがりません。

 今回の「家出」は、かなり効果的でしたが、1週間もするとケロリと忘れてしまうので、バカバカしくなってしまいました(苦笑)。

 それにしても、タイで四半世紀とは、敬服の限りです。
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元気です。 (管理人)
2009-04-22 17:05:46
 長い間ご心配をおかけしましたが、本日、ようやくブログを更新し、コメントにもご返事を書くことができました。

 ソンクランでは、今年もやはり腹をくだしてしまいましたが、それも今は回復し、去年のような入院騒ぎにはなりませんでした。

 それだけ、私の胃腸も鍛えられたということでしょうか。

 ご心配いただいた方々に、改めてお詫びとお礼を申し上げます。
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