【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【田植えの準備】

2008年05月21日 | アジア回帰
 
 本格的な雨季を前に、村のあちこちで田植えの準備が始まった。

 写真は、牛の世話を任せている甥っ子のジョーが耕運機を操作しているところである。

 この耕運機は人から借りたもので、かなり年期が入っている。

 エンジンの調子が悪く、ギアも突然抜けたりするので、まるで暴れ牛を制御しているみたいだ。

 甥っ子がたびたび泥に足をとられそうになるので、見ている方もハラハラドキドキである。

 昔は水牛や牛を使って田んぼを耕した(山の奥では未だに象を使っている村もあるという)そうだが、この故障がちな耕運機よりも水牛の方がはるかに制御しやすく、効率的なようにも思えるのだが・・・。

         *

 ちなみに、甥っ子の家は田んぼを持たず、人の田んぼで田植えから収穫までを行って、1年分の米を分けてもらっている。

 労働量の割りには、実入りが少ない。

 そこで、私自身が田んぼを持って彼に米作りを任せようかとも思ったのであるが、なかなかいい場所が見つからない。

 何度か売り込みはあったのであるが、いずれも水の確保が難しかったり、家から遠すぎたり、値段が高すぎたり。

 そうこうする間に田植えの準備が始まってしまい、この計画は来年に持ち越しとなった。

          *

 そこで、嫁のラーが一計を案じた。

「クンター、彼のために新しい耕運機を買ったらどうだろう?そうすれば、彼の仕事もずいぶんと楽になるし、自分の持ち分の田返しが終わったら、今度は耕運機を持っていないほかの人の田んぼを耕してあげられる。人助けにもなるし、もちろんその分は収穫後に米で払ってもらうの。そうすれば、余った米を売ることもできるでしょう?」

「新しい耕運機は、いくらするんだ?」

「・・・甥っ子が25,000バーツって言ってる」

 ちなみに、田んぼを持たない私たちは昨年11月の収穫期に、2000バーツで飼料袋7袋(約140キロ)分の米を購入した。

 この2000バーツは、向かいの家が収穫期に必要な現金がないというので米と引き換えに用立てたものだ。

 すでに、米の大半は食べ盛りの息子や4人の甥っ子、友人、隣家の人々などの胃袋に収まってしまったが、約半年間で2,000バーツは安いものだろう。

 1年間の米代が4,000バーツとして、耕運機の値段で6年分の米が買える計算だ。

 問題は、“耕運機の出張レンタル”で確保した米が、どれくらいの量になり、いくらぐらいで売れるか、である。

          *

 嫁のラーは、「絶対に儲かる」と胸を叩くが、彼女ほど計算に弱い人間も珍しい。

 3ヶ月前ほど、彼女が同じように「絶対に儲かる」と断言した養豚業は、飼料代の高騰で赤字の気配濃厚である。

 甥っ子を助けたいのは山々だが、田んぼをめぐる神経戦は、この写真ほどにはのどかではない。

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