シェルティー ラン吉

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「仮称 メイちゃんの保護ストーリー 4」 ポチの思い出ものがたり-番外編- 2

2014-05-15 00:16:55 | ポチの思い出ものがたり

「仮称 メイちゃん」は、N子さん家族のもとで、まるでわが孫のようにたっぷりの愛情をうけて、安心して暮らしはじめました

ところが、一週間ほどした時のことです

おしゅうとめさんが、N子さんに言いました

「わたしは90歳をすぎて、命ももうそんなに長くはない

体もあちこちつらいし、天国にいる夫から早くお迎えが来ないかなとおもうこともある

なので、老いて死にむかう犬が目のまえにいるのは、つらくて耐えられない・・・

犬の面倒をみてあげることもできそうにないし・・・

この犬をひきとってうちで飼うのは、やめてもらえないかしら・・・

前のシロちゃんが死んだ時のことも頭にうかんで、はなれないの・・・」

 

このように言われては、家庭内の平和を最優先にしてきたN子さんは、いくらかわいい保護犬のためとはいえ、自分のわがままを貫くことはできません

夫は「メイちゃん」をほんとうの家族としてむかえようと何度も提案しましたが、高齢のおしゅうとめさんの心はかたくなでした

こうなっては、はやく新しい飼い主をみつけて、「メイちゃん」のおうちを確保しなくてはなりません

N子さんは、一日に何回も犬をつれて散歩にでかけては

「この子は、今うちで保護している捨て犬です、どなたか飼ってくださる人はいませんか」

すれちがう人みんなに声をかけて、新しい飼い主さんをさがしました

 

すると、この話をききつけた近所のスナックのママさんが、さっそく新しい飼い主候補さんを紹介してくれました

スナックの常連さんが最近飼い犬を亡くしてさみしくて、新しい飼い犬をほしがっているというのです

ママさんのお店にその人が来ているというので、N子さんはさっそく「メイちゃん」をつれて行くことになりました

が、その時、スナックのママさんはキッパリ

「お店の中には入らないでちょうだい、メイちゃんは預かっていくわね」

と言って、メイちゃんを抱くと、すたすたとお店にはいり、戸をしめようとします

「あの、もしも、その人とうまくいかなかったら、うちでも飼えるので、この子をかえしてください!

キャリーも預かっていますから、いつでも迎えにいきますから!」

N子さんは、スナックの店中にむかって、そう叫ぶのが精いっぱいでした

目のまえでメイちゃんを連れていかれ、お店の戸もしめられてしまい、あまりに急なことで一体なにがおこったのか・・・

N子さんは、心の準備もなく、お別れのキスもできないまま、メイちゃんとひき離されてしまい、ただただ茫然としてしまいました

いくら、あたらしいおうちがメイちゃんに必要だったとはいえ、こんなにも無情な別れがあるでしょうか・・・

 

自宅のまえのアパートから保護して一週間ほど、N子さんはひたすら、メイちゃんに愛情をそそいできました

かつての飼い犬「シロちゃん」にそっくりの子が、突然ふってわいたかのように目のまえに現れたのです

N子さんにとっては、この一週間におこったことが、まるで奇跡のようでした

アパートの廊下に放置され狂ったようにほえていた声が、実は、小さな白犬の悲痛のさけびだったとわかった時・・・

はじめてその犬を抱き上げた時の、甘えた声とぬくもりに流した涙・・・

人なつこく、抱っこをせがむまなざし、その無条件の愛くるしさといったら・・・

N子さんは、短い間でしたが、心のそこからメイちゃんをいつくしんできました

それが、突然メイちゃんが手元からいなくなり、N子さんは夜通し泣きました

 

翌朝、目のはれあがったN子さんをみて、おしゅうとめさんも泣きました

「あなたにつらい思いをさせようとしたわけじゃないのよ・・・

でも、あなたをこんなに悲しませてしまって・・・

ごめんなさいね、ごめんなさい・・・」

N子さんとおしゅうとめさんは、かわす言葉もなく、ひたすら一緒に泣きつづけました

 

N子さんの家から、もう「メイちゃん」はいなくなってしまったのです・・・

 


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