シェルティー ラン吉

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ポチの思い出ものがたり 5

2012-06-11 22:27:02 | ポチの思い出ものがたり

ポチは、親もわからない、ノラ犬でした。

 

昭和二十年代、三十年代頃には、そこここにノラ犬が闊歩していました。

 

戦後まもない頃は、ヒトの生活も、闇市などに支えられた貧しい時代でした。

そんな時にでも、イヌをかわいがるヒトはたくさんいました。

だから、ノラ犬も、なんとか食いつなぎながら町なかで生きてこられたのでしょう。

戦争中でさえ、イヌの供出のお達しがあっても、隠してでも愛犬を手放さなかった人々もいたということです。

 

ポチがS少年の家に住みついた頃、戦後の復興にむけて、日本が進みはじめたその頃。

家と家との間には塀どころか垣根もないような、生活共同体がありました。

板塀の平屋のトイレは、もちろんポッチャンです。

みそや醤油を貸し借りしあう、長屋のようなご近所づきあいでした。

家と家との間には空き地もいっぱいありましたから、道なんて歩かずに、空き地をつっきって、家までの近道を通るのは当たり前でした。

 

そんな時代でしたから、ポチは、S少年のうちに住みついたとはいえ、当然のことながらお家の外にいました。

保健所に登録もしない、首輪さえしない、半分ノラのような生活です。

ポチは、S少年のおうちにいれば、ねぐらとエサの心配がいらなくなったので、ウロウロしなくてすむようになりました。

それで、居ついただけかもしれません。

 

でも、ねぐらといったって、えんがわの下にかってにもぐり込んで寝るのです。

エサといっても、ねぎの入ったみそ汁かけご飯をもらえるだけです。

それでも、家族のみんながかわいがってくれるので、ポチは、S少年のうちの子になったつもりだったのでしょう。

 

ポチにとっては、落ち着けるねぐらとエサと愛情の他には、なにもいらなかったのです。

 


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