白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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SGW杯予選その9 大橋拓文-首藤瞬

2022年09月26日 22時42分31秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
金曜日に永代塾囲碁サロンにて、日曜の碁ろりんラジオの公開収録を行いました。
色々と予定外のこともありましたが、無事収録できて良かったです。
振り返るともっと面白く話せたなと思う場面も多々ありましたが、これも経験ですね

さて、本日は私がSGW杯予選に出場しましたが・・・。
それはさておき、昨日途中まで書いて力尽きた記事を先に投稿したいと思います。
予選13枠、大橋拓文七段(黒)と首藤瞬八段の対局です。

1図(実戦)
黒1の肩ツキに、受けずに白2と肩ツキ返し!
黒もAやBと受けずに黒3~7!
そして白8の転戦!
多くの方々には意味の分からない展開ではないでしょうか。
私もよく分かりません(笑)。

この進行を端的に表現するなら、お互いに価値の高い地域に
先回りしようとしたということです。
しかし、価値の高い地域は1手ごとに微妙に変化していくので、お互いにそれを敏感に感じ取った結果、このような複雑な進行になったということでしょう。



2図(実戦)
これも何とも言えない打ち回しですね。
黒1、3と打ったときは中央の価値が最も高いと判断していたわけですが、白4と打たれた時点で隅の方が価値が高くなったと判断したわけです。
もっとも、このあたりは理論や数字よりも感覚によるところが大きいでしょう。
棋士が100人いれば、100通りの選択があってもおかしくない場面だったと思います。



3図(実戦)
白が中央の巨大化を狙い、黒は9と値切りにいった場面です。
こうなってみると、黒×と白×が黒にとってプラスになっているというわけですね。
白は中央を小さく囲う気にはならなかったようで、白Aから攻めかかる展開になりました。



4図(実戦)
実戦は黒1、3と中央の荒らしに成功し、白は黒×を取る展開になりました。
もっとも、白はそれをあえて手放す道を選ぶのですが。

本局は感性のぶつかり合いといった印象の一局でした。
変化も多く面白かったですね。




永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。2020年7月から共同経営者になりました。

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