白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AlphaGo Lee対Zero 第5局

2017年10月31日 23時58分55秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日はAlphaGo Lee対Zeroの棋譜紹介シリーズです。
決してこればかりやるつもりはないのですが、時間が無い時はとりあえずという感じで・・・。



1図(テーマ図)
Lee対Zeroの20局には、同じ碁形で白Aと打つパターンと、本局のように白1と打つパターンがあります。
白1は人間も使っていた手ですが、Zeroは特に有力とみているようですね。
ただ、人間に使いこなせるものかは定かではありません。

さて、黒4の後は上辺黒の勢力圏を縮小させる白BやC、あるいは白の勢力圏の拡大を図る白DやEといった手が思い浮かびますが・・・。





2図(実戦)
Zeroの選択は白△でした。
ここでも三々に入るのですね・・・。
Zeroにとっては三々が空いていれば入るほうが普通のようで、むしろ入らない碁を見ると驚くレベルです。





3図(実戦)
黒9までを交換してから、白10と上辺に入って行きました。
黒11と挟んで戦いになりますが、こうなると白が先に三々に入ったことの是非が問題になります。
普通なら黒に厚みを作らせた分戦いが不利になるので、白にとってマイナスと考えます。





4図(変化図)
ただ、Zeroの主張するところも一応は理解できるような気もします。
例えば、このような進行を想定してみましょう。
赤印のところが黒地になりますが、かかった手数の割に黒地は小さく、黒△の働きは不十分です。
いわゆる厚みを囲った形ですね。

なお、この図はあくまで白の意図を分かりやすく説明するためのものです。
白にとって都合過ぎるので、実際にこう進むわけではありませんが、大体こんなイメージということをご理解頂ければ十分かと思います。

意図は理解できても、実際に上辺の白を上手く捌けるかどうか?
かなりの力が必要になると思いますが、Zeroにはそれが可能なのですね。
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